映画の心理プロファイル

『グッドナイト&グッドラック』(2005 米)

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原題:『GOOD NIGHT AND GOOD LUCK』
(93分)
監督:ジョージ・クルーニー
脚本:ジョージ・クルーニー
    グラント・ヘスロヴ  
歌  :ダイアン・リーヴス
出演:デヴィッド・ストラザーン
    ジョージ・クルーニー
    ロバート・ダウニー・Jr

撮影現場にいたら、さぞかし煙かったことだろう・・・
そう思うほど、終始紫煙が立ちのぼっている映画です。
男性の喫煙率はほぼ100%。愛煙家が見たら、「こんな時代に生まれたかった」って嘆くんじゃないだろうか。
ああ、それと現場にいたら、ポマードの匂いもプンプンしていたかもな。
だけど、モノクロ映像で、硬質で、終始緊張感が漂っているので、そのニオイは画面からはあまり伝わってきません。ですから、煙草嫌いな人が見ても大丈夫だとは思います(^^。

映画として面白かったかと問われると、ちょっと首を傾げてしまうかもしれません。でも1950年代当時のTV番組作りの現場の様子を知ることができ、また、マッカーシズムの嵐の一端をかいま見ることができる興味深い作品でした。
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監督・脚本を務めたジョージ・クルーニーのお父さんはニュースキャスターだったらしく、クルーニーはこの映画を「父へのラブレター」のつもりで作ったそうな。そのせいでしょうか、クルーニーの演じるTVプロデューサーが主人公であるエド・マロー(D・ストラザーン)を見る目はとても温かで、慈愛まで感じさせるものでした。頑固一徹に社会正義を貫くエド・マローに父親の姿を投影していたのでしょうね、きっと。
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報道番組「See it Now」の人気キャスター、エド・マローがターゲットにしたのは、当時、泣く子も黙るマッカーシー上院議員。マッカーシーは強大化する共産主義体制とその国々(ソ連や中国)に対する国民の不安を利用して、国内にいる共産主義者ならびにその協力者、また少しでもその疑いが感じられる人間を弾劾し、世の中から葬り去ろうとした人物。
国民はそんなマッカーシーに拍手喝采。その反共ヒステリーぶりは、9.11以降の反テロヒステリーと似ていますね。
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マッカーシーによる赤狩り旋風はハリウッドにも及んだことはご存じの通り。
あの喜劇王チャップリンでさえも、「共容的」というだけで、国外追放の憂き目にあい、アメリカを去らざるを得なくなります。
この映画には、自身の主演作でそのチャップリンを演じたロバート・ダウニー・Jrも出演しています。さて、彼はどんな思いでこの役を引き受けたんでしょうね。
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面白いなと思ったのは音楽の使い方。
BGMとしては音楽をほとんど使っていないのです。
その代わり、お話の節目節目に、局内の録音スタジオを映して、そこでジャズ歌手のダイアン・リーヴスにジャズのスタンダードナンバーを歌わせるの。

中でも印象に残ったのは、「HOW HIGH THE MOON」。
エラ・フィッツジェラルドの持ち歌のひとつとして有名ですが、映画の中ではダイアンがしっとりと哀切感たっふりに歌い上げてくれています。

Somewhere there's music
How faint the tune
Somewhere there's heaven
How high the moon

There is no moon above
When love is far away too
Till it comes true
That you love me as I love you

どこかからか音楽が流れてくる
でも、なんて微かな音色だろう
どこかに楽園がある
でも、月はなんて高いんだろう

月は見えず、私の愛も届かない
でもいつかは、私と同じくらい
あなたも私を好きになってくれたら・・・

試聴はこちらから

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上の写真が、本物のエド・マロー。57歳で亡くなったといいます。それだけ生放送のストレスは過酷だったということでしょうか。
ちなみに、マッカーシーはもっと早く48歳で、失意のうちに死亡。
2人が同じ1908年生まれというのは何か因縁を感じますね。
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by kiyotayoki | 2007-10-24 18:00 | 映画(か行)