喜久寿しさん
ご無沙汰しておりました。
でも、まさか、今宵、あなたの訃報を耳にするとはつゆも知らず・・・
行きつけの店といいつつ、半年以上のご無沙汰でした。
その間に、あなたはくも膜下出血で、一ヶ月も経たずに亡くなっていたのですね。
ごめんなさい。
自分のことばかりにかまけておりました。
店の前を通るたびに近いうち顔を出さなきゃと思いつつ、ついつい今日まで暖簾をくぐることはありませんでした。
暖簾をくぐれば、「いらっしゃいッ」と、いつもと変わらぬあの張りのある声で迎えてくれる、そう思って安心しきっていたから・・・。
亡くなって随分経っているのに、脳天気な客に父親の死を告げなきゃならなかった跡継ぎの息子さんの胸中はいかばかりだったでしょう・・・。
気丈に振る舞う息子さんと奥様の手前、自分だけ感情をあらわにしていいものかと悩むひとときでした。その反動で、帰り道は視界が歪んで歩くのも困るほど。
はた目には酷い酔っぱらいに見えたかも(実際、酔っぱらっていましたが)。
僕がつらい時、優しく叱咤してくれた大将。
あなたの思いやり、忘れません。
心からご冥福をお祈りいたします。