『キンキーブーツ』(2005 米・英)
原題:『KINKY BOOTS』(107分)
監督:ジュリアン・ジャロルド
脚本:ジェフ・ディーン他
音楽:エイドリアン・ジョンストン
出演:ジョエル・エドガートン
キウェテル・イジョフォー
サラ=ジェシカ・ポッツ
知らなかったけど、この映画の舞台となる英国のノーサンプトンという街は、20世紀の前半くらいまでは靴の都といわれて、靴工場や高級靴店が軒を並べていたんだそうな。
安価な大量生産品が出回るようになってからは、街は見る影もなく廃れてしまったようだけど、この映画に出てくる靴工場もかなり傾きかけています。もう倒産寸前。
父親の急死で、そんな靴工場を相続してしまった優柔不断な男が、ひょんなことからドラッグクイーンと二人三脚で工場の再生に奮闘する姿を描いた英国産ハートフル・コメディ。実話がもとになってるんだって。
こういう斜陽の町のワーキングクラスの群像劇はイギリス映画の得意とするところ♪
工場の復興をかけて主人公が作ろうと思い立ったのは、
男性用、それもドラッグクイーン用の風俗ブーツ、キンキー・ブーツ。
そのヒントをくれ、デザイナーも買って出てくれるドラッグクイーンを演じるのは、キウェテル・イジョフォー。この人、最近では『アメリカン・ギャングスター』にも出ていたけど、とにかく芸域の広い人。しかも印象に残る演技で魅せてくれる。
それに比べると、主人公を演じるジョエル・エドガートンは、いかにも田舎の木訥な青年って感じ。こんなに印象が薄くて、これからやっていけるのかなと心配になるほどだったけど、いやいや、さすが役者です。
『スモーキン・エース』(2006)では、まったく違う個性的な役柄(あっという間に殺し屋に殺されちゃうんだけど、顔型をとられて殺し屋がその男に成り代わるという役)でびっくり!
英国製ドラマの登場人物は、至言・名言もよく吐く。
この映画の中にもこんなセリフがあった。
「人が何を成し得たかは、他の人の心に何を残したかで測るべきよ」