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映画の心理プロファイル

『ラッキー・ユー』(2007 米)

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原題:『LUCKY YOU』(124分)
監督:カーティス・ハンソン
原案・脚本:エリック・ロス
音楽:クリストファー・ヤング
出演:エリック・バナ
    ドリュー・バリモア
    ロバート・デュヴァル

ラスヴェガスを舞台にした、
主人公ハック(E・バナ)の
エディプス・コンプレックス克服物語
といった感じの映画でありました。

エディプス・コンプレックスというのは、
かの有名なフロイト博士が提唱した精神分析用語。
エディプス(オイディプス)王が父を殺して母を妻としたギリシャ神話にちなんで、
男の子が無意識のうちに異性である母親に愛着をもち、同性である父親に敵意や罰せられることへの不安を感じる心理を表した言葉(女の子の場合はエレクトラ・コンプレックスという)。

子供は「僕、大きくなったらお母さんと結婚する」とか「パパのお嫁さんになる」とか言ってくれる時期があるけど、それほど好きで好きでたまらない相手には残念ながら強力な恋敵がいる。
その恋敵というのが、男の子にとってはお父さんであり、女の子にとってはお母さんなんだね。

お母さんのハートをゲットする為には、お父さんが邪魔者になってしまうので、
お母さんを取ってしまうお父さんに憎しみを抱くんだけど、一方では、  
大好きなお父さんに憎しみなんていだいてはいけない、お父さんにも愛されたいとも思う。
その葛藤がエディプスコンプレックスの始まりになるという。
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普通は、少し大きくなればお母さん以外の異性へ愛の対象が移ったりして、自然とこのコンプレックスは解消するんだけど、主人公ハックはそれができなかったみたいだ。
というのも、父親(R・デュヴァル)がポーカーの賭け試合に夢中になり、大好きな母親を苦しめたあげくに離婚。その後、母は失意のうちに死んでしまう。
エディプス・コンプレックスは解消するどころか、父親への憎しみは敵意に変わっちゃった。
ハックが父親と同じ“プロのポーカープレーヤー”になったのは、父親の得意なものでギャフンといわせてやりたいという思いがあったからかもしれないね。

ただ、早く相手を負かしたいという欲求が強すぎるのか、強気かつ強引なので勝つ時は大勝ちするけど、負けると一文無しになっちゃう。で、のめり込みすぎて、今やミイラ取りがミイラになっちゃってる。
しかも、母親に強い思慕の念があるから(いわゆるマザコン)、いきおい女性関係はエッチはしても淡白なものにならざるを得ない。

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こういう男に恋をしたら女性は苦労するに決まってる。だけど、そんなハックと恋に落ちる女性がちゃんと登場する。それがドリュー・バリモア扮するビリー。クラブ歌手という設定なので、この映画では歌声も披露してくれる。
さて、彼女はハックをエディプス・コンプレックスの呪縛から解放してくれるでありましょうか・・・。

監督は、『L.A.コンフィデンシャル』で名をあげたカーティス・ハンソン。この人、まだ若いのかと思ってたら、結構キャリアのある人だったんだね。この世界へは脚本家としてデヴューしたらしいけど、その記念すべき第一作は、なんとラヴクラクト原作の『ダンウィッチの怪』(1970)だったんだって!♪

そうそう、この映画には、ワンシーンだけど、ちょっと印象に残る役でロバート・ダウニー・Jrも登場する。
ダウニー・JrファンのRuijiさんなら当然ご覧になってるんだろうな、この映画(^~^。

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by kiyotayoki | 2008-07-29 10:20 | 映画(ら行)