映画の心理プロファイル

『クワイエットルームにようこそ』(2007 日)

a0037414_11284842.jpg
監督・原作・脚本:松尾スズキ
主題歌:LOVES『Naked Me』
出演:内田有紀
    宮藤官九郎
    蒼井 優
    りょう
    平岩 紙
    大竹しのぶ

予告編の印象が強かったので、軽いノリのコメディ映画なのかなと思っていたら、案外、ホネのある作品だった。

冒頭に大きな謎をどーんと提示して、そこから始まる迷路に主人公と観客を誘い込んで、惑わせ驚かせながら少しずつ謎を解く鍵を拾わせていく構成はまさにサスペンス映画の手法だ。
それだけに、見始めたら目が離せなくなる映画ではありました。

a0037414_1684843.jpg
フリーライターの佐倉明日香(内田有紀)は、ある日目覚めると、見たことのない白い部屋でベッドに縛りつけられている自分に気づく。そこは、精神科の女子閉鎖病棟の中にある通称クワイエットルームと呼ばれる保護室だった。
なぜ私はこんなところに?どうして縛られてるの?自分ではそれが思い出せない。
これが大きな謎。

「ど」がつくほどクールな看護士(りょう)の説明で、自分が薬とアルコールのオーバードーズ(過剰摂取)で昏睡状態となり、ここに運ばれて来たことは判明する。
それでも、なぜ拘束までされているのかがわからない。
どうやら、自殺の危険性があると判断されたようなのだが、自殺なんてこれっぽっちも考えたことがないと思っている明日香にはどうにも合点がいかない。

なんとか拘束生活からは解放された明日香だったけれど、精神科の閉鎖病棟だけに周りにいるのは精神面に難しい問題を抱えた患者たちばかり。
洋画ファンなら、ここで名作『カッコーの巣の上で』(1975)や『17才のカルテ』(1999)を思い浮かべた人も多いことだろう。

ボタンの掛け違いは、明日香が自分は正常だと思っていたこと。
ところがどうもそうじゃなかったことが、患者や看護士、そして同棲中だった鉄雄
(宮藤官九郎)との会話の中から明らかにされていく。
その事実が、あちこちに散りばめられたスラップスティックなギャグに
ナハハと笑っているうちに突きつけられるのがちょっと怖い(っていうか、この監督の手練れなところかな)。

そして、そもそも正常って?異常って?その境目ってあるの?
そんな素朴な疑問が次々にわいてくる映画でもありました。
一応、正常な人間の部類に入る放送作家の鉄雄やその弟子(妻夫木聡)のほうがよっぽど壊れてる感じがするし(^^;。
心の闇となんとか折り合いをつけながら、自分の属する社会にしがみついていられる間は“正常”と認定してもらえるのかなぁ。

主役の内田有紀の体当たりの演技は、思いの外よかった。
摂食障害の女性を演じた蒼井優、ほのぼのナース山岸役の平岩紙、
過食症の中年女役の大竹しのぶといった面々もその個性が光ってた。

そんな中、セリフらしいセリフもないのに何気に目立っていたのが、
ホンモノ(!?)な感じのする箕輪はるかでありました(^^ゞ。

a0037414_16415522.jpg

[PR]
by kiyotayoki | 2008-10-19 10:47 | 映画(か行)