人気ブログランキング | 話題のタグを見る

映画の心理プロファイル

『突破口!』(1973 米)

2.3年前のオスカー受賞作『ノーカントリー』を観た時、なんか似たような設定の映画があったんだけどなぁと思いながら、
なかなか思い出せなかったんだけど、この映画がそうだったんだな。
マフィア絡みの大金を盗んだばかりに命を狙われるはめになった男の運命を描いた、懐かしい作品です。

『突破口!』(1973 米)_a0037414_1892954.jpg

原題:『CHARLEY VARRICK』(111分)
監督:ドン・シーゲル
原作:ジョン・リーズ
脚本:ハワード・ロッドマン
    ディーン・リーズナー 
音楽:ラロ・シフリン
出演:ウォルター・マッソー
    アンディ・ロビンソン
    ジョー・ドン・ベイカー

『突破口!』(1973 米)_a0037414_1623964.jpg
公開時のこの日本のポスター(←)を見たら、007みたいなアクション映画かしらん・・・
なんて勘違いしてしまうかも(^^ゞ。
実際に観てみると、スケールはかなり小さい。
世界を飛び回る007と違って、舞台となるネバダ州からはたぶん出ないで終わっちゃうし。
でも、見始めると、ついつい引き込まれてしまう映画なんですね、これが。
『突破口!』ってタイトルも、インパクトがあって強く印象に残るし♪

ウォルター・マッソー扮する主人公のチャーリー・ヴァーリックは、曲乗り飛行のパイロットから農薬の空中散布屋に転じた男。
でも実は、裏で銀行強盗を生業にしている男でもある。
ただ、大物は決して狙わない。標的にするのは田舎の小さな銀行ばかり。
だから、かっさらえる金額は1、2万ドルどまり。それでもチャーリーに不満はなかった。仕事は楽だし官憲の追及もそう厳しくはないから、ほとぼりが冷めればまた仕事ができる。

そんなわけで今回も軽くひと仕事・・・と思って仲間3人と銀行にやってきたんだが、いつもうまく行くとは限らない。
逃走用の車のナンバープレートから、パトロール中の警官が盗難車だと気づき、派手な撃ち合いになっちゃった。
なんとか逃走したものの、銃撃戦のせいで仲間の一人は即死。運転手役だった妻も重傷を負って結局死んでしまう。

『突破口!』(1973 米)_a0037414_15535921.jpg
計算違いは他にもあった。
手に入れた金は小額だと思っていたら、なんと75万ドルもあったのだ。
驚喜する若い相棒ハーマン。演じているのは、『ダーティ・ハリー』(1971)での狂気ぶりが忘れられないアンディ・ロビンソンだ。
だけど、チャーリーは浮かない顔。
あんなちっぽけな銀行にこんな大金がねむっている訳がない。
これはマフィアの隠し金に違いない・・・、そう踏んだのだ。

案の定、だった。
その頃、盗難の報を受けたマフィアのボス・ボイルは、早くも腕利きの殺し屋モリー(ジョー・ドン・ベイカー)を呼び寄せ、
チャーリーたちを追わせていた。
このジョー・ドン・ベイカー扮する殺し屋が、『ノーカントリー』で冷酷無比の殺し屋を演じたハビエル・バルデムを
ちょっと彷彿とさせる男なんだな。

地味なこの作品のクライマックスが案外派手になったのは、
ドン・シーゲル監督の腕もあるんだろうけど、ウォルター・マッソー扮するチャーリーを元曲乗り飛行士にしたのが
大きかったんだと思う。
おかげで映画館で観ても損はしないドラマチックなラストを迎えるんですよ、この作品♪
by kiyotayoki | 2010-10-20 18:48 | 映画(た行)