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映画の心理プロファイル

正月休みに読んだ本


年末年始に読んで面白かった本をご紹介いたしましょう。

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『白の闇』。
昨年末に観た映画『ブラインドネス』の原作です。
作者は、ポルトガルのノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴ。
ノーベル文学賞を受賞した作品と聞いただけで、「うわっ、難解そう」と身構えてしまいそうだけど、これは下手なパニック物より臨場感があり、文体に慣れたあとは一気に読んでしまった。
私たちの住む世界は、見る・見えることが前提として出来上がっている。それが突然見えなくなってしまったら、世界はどのように変貌し、人の心はどう崩壊していくのか・・・。
映画はそれが2時間に凝縮されていたけれど、小説のほうはもっと深みがあり濃密だった。

ただ、最初は戸惑った。
ページがびっしり活字で埋まっていたから。
改行がほとんどない上に、会話には鉤括弧もない。地の文と会話の文との間に区切りがないのだ。しかも、登場人物には誰も名前がつけられていない。たとえば、「医者の妻」、「斜視の少年」といった具合。
近頃の改行だらけの小説に慣れていると、突然、活字の海に放り込まれたような気分になっちゃう。でも、その文体に慣れると、文章が平易ということもあり、それが当たり前になって、いいリズム感が生まれ、読むスピードも上がっていく。

原作のある映画の場合、先に原作を読むべきか、それとも映画のほうを先に観るか、
悩むところだけれど、この場合は原作があとで良かったのかも。
映像化されたものを見ているせいか、想像力はやや阻害されるものの、映像作家がどんなところに力点を置き、どんなところをなぜ省いているかが理解できたし。


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『となりの車線はなぜスイスイ進むのか』
原題は「TRAFFIC: Why We Drive the Way We Do (and What It Says About Us)」。トム・ヴァンダービルト著。

こちらは、交通渋滞や交通事故を通じて、およそ合理的ではない人間の本質を明らかにしてくれる本。

渋滞はなぜいらいらするのか。
車に乗るとなぜ人格が(悪い方に)変わるのか。
人を型にはめて判断してはいけないと普段は言っている人が、車については妙にドグマチックになるのはなぜか。
道を増やしても交通渋滞が減らない理由。
カーナビのジレンマ(いちばんいいルートをカーナビが選ぶと、そこに車が集中してかえって遅くなる等々)。
車線合流はどうするのが最も合理的か・・・・
そうした車社会にありがちな話を、心理学や交通科学の見地から軽妙に説明してくれていて、とても興味深い一冊でした。

そのほかにも、
あまりにも車内で過ごす時間が長いので、米国のドライバー(とりわけ男性)は右腕より左腕の方が皮膚がんの発症率が高い。
とか、
古代ローマ人も渋滞に悩んでいた。
とか、
前の車が女性ドライバーの場合の方が、男性も女性もホーンをよく鳴らす。前の車が高級車だと、ホーンを鳴らしにくい。
とか、
駐車場が満車で待っている車があると、駐車していた車はなかなか出ようとしなくなる。
とか、
どんなに渋滞が激しくてもスターがアカデミー授賞式に遅刻しない理由とは。
・・・といった小ネタも満載の本でありました。
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by kiyotayoki | 2009-01-07 21:04 | 備忘録