映画の心理プロファイル

『プルートで朝食を』(2005 愛・英)

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原題:『BREAKFAST ON PLUTO』(127分)
監督・脚本:ニール・ジョーダン
原作・脚本:パトリック・マッケーブ
音楽:アンナ・ジョーダン
出演:キリアン・マーフィ
    リーアム・ニーソン
    ルース・ネッガ
    ローレンス・キンラン
    スティーヴン・レイ

随分前に録画していた作品。
ここんところ英国映画づいているので、その勢いを力にやっと鑑賞。面白かった♪
実のところ、キリアン・マーフィーのきれいだけれどちょっと病的にも見える顔が苦手で、観るのを後回しにしていたのだけれど、いやいやなんの、お話が進むにつれ彼の顔がどんどんキュートに見えてきたのでした。

不思議なタイトルだなと思っていたけれど、
プルートって、ギリシャ神話で冥界の王とされる神様で、冥王星につけられた名前なんだね。
でも、冥王星って惑星の仲間から外されて準惑星になった天体だよね。
この映画が作られた頃はまだ惑星だったと思うけれど、
惑星から仲間はずれにされちゃった冥王星って、まさにこの映画の主人公を言い表しているようで、余計に意味深&象徴的なタイトルなってしまった感じだ。

というのも、主人公パトリック・“キトゥン”・ブレイデンは、ゲイだから。
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主人公がゲイで、監督がニール・ジョーダンとくれば、すぐに思い出すのは『クライング・ゲーム』だけれど、主人公の置かれた状況は『クライング・ゲーム』のそれより過酷と思える。キトゥンが生まれたのは紛争まっただ中のアイルランドなのだから。

国が紛争や戦時体制にあると、中途半端は許されない。白か黒か。敵か味方か。はっきりさせなきゃならないし、それを強いられる。
なのに主人公は、男と女の境さえはっきりしないゲイなのだ。
ただでさえゲイの生きづらい時代(70年代?)だったのだから、キトゥンの人生がイバラの道になるであろうことは想像するに難くない。
実際、キトゥンの身には幾多の苦難がふりかかる。

・・・なあんて風に書くと、悲惨で暗~いお話かと思うかもしれませんが、
あにはからんや、この作品、コメディタッチなのです。しかもファンタジー仕立てにもなってる。
赤ちゃんの頃捨てられた性同一性障害のキトゥンの少年期からの波乱の人生が36章にわけられて軽快なテンポで綴られてく。
単純計算で、ひとつのチャプターにつき平均3分半!テンポがいいわけだ。
しかも、各章が盛りだくさんの70年代ポップスで彩られていて、音楽を聴いているだけで楽しくなっちゃう。
音楽に関しては、ジョーダン監督自らが選曲にあたったそうだ(作曲に名のあるアンナ・ジョーダンは監督の孫で、ピアノ曲を作って提供したんだそうな)。

キトゥンは、どんなに悲惨な状況下であっても、明るさを忘れず、自分に正直に生きていく。
そんなキトゥンにまわりも感化されて、つい手を差し伸べたくなってしまう。
そんな人と人のつながりを、時にシリアスに、時にハートフルに紡ぎ上げたジョーダン監督の力量に脱帽。
未見の方には、おすすめの一作です。



予告編のバックに流れる曲は、この映画の中でも使われている「風のささやき」。
映画『華麗なる賭け』のテーマ曲です。
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by kiyotayoki | 2009-01-21 12:09 | 映画(は行)