映画の心理プロファイル

『フィアレス』(1993 米)

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原題:『FEARLESS』(122分)
監督:ピーター・ウィアー
脚本:ラファエル・イグレシアス
音楽:モーリス・ジャール
出演:ジェフ・ブリッジス
    イザベラ・ロッセリーニ
    ロージー・ペレス
    トム・ハルス
    ジョン・タートゥーロ
    ベネチオ・デル・トロ

先日の『刑事ジョンブック 目撃者』に続いて、
このピーター・ウィアー作品を久しぶりに観た。
最後はまたティッシュが必要になった。
そして、人間と宗教との関わりについて、柄にもなくしばらく思いにふけってしまった。

人間が神なる存在を創りあげた理由、その根源は「死への恐怖」だったのだろう。
この映画の主人公、ジェフ・ブリッジス扮するマックスは、飛行機の墜落事故で極限ともいえる死の恐怖を味わい、それを乗り越えて以来、生きることへの畏れすらなくしてしまったフィアレス男。
死への恐怖がないのだから、彼が神を信じないのは当然かもしれない。

けれどその一方で、マックスは炎上する機体からこともなげに、そして救世主のごとく生存者を救出していく。
それは、死を恐れないからこそできた行為でもあった。
その姿に、助けられた人々は彼に神を感じ、その慈愛にすがろうとする。
神を信じない男が神のごとき存在になってしまう皮肉・・・。

マックスにその気があって、計算の働くとりまきがいたら、即席で新興宗教でもできそうな勢いだ。
けれど、ピーター・ウィアーと原作・脚本を兼ねたラファエル・イグレシアスは、そんな話にはしなかった。そっちのほうがストーリーを展開していくには楽だったろうに。
ひとりの男がいかにして神や専門家の力を借りずに魂の救済を行うかという、困難な道のほうを選んだ。
それだけに、事故で我が子を失い、ただただ神にすがろうとする女性カーラ(ロージー・ペレス)をマックスがどう救済するのか、またそれをどう映像化して表現するのか、固唾をのんで見守った。

うーん、ウィアー監督、こうきたか。そして、ある意味神になりそこねた男を、ああ、こうやって人間に戻してやったか・・・
それに感動してやっぱりうるっとしちゃった。

この映画のもうひとつの魅力は、なんといっても主役のキャスティング。
ジェフ・ブリッジス、いい役者さんです。これがオスカーをかすりもしなかったのが不思議なくらい(この年は、トム・ハンクスが『フィラデルフィア』で受賞)。
いかにもプエルトリカンなロージー・ロペスも良かった(こちらは助演でノミネートされたらしい)。

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こちらは墜落現場から超然と姿を現した主人公の映像。

『フィールド・オブ・ドリームス』(1989)といい、これといい、トウモロコシ畑が生と死の境界線みたいになっている。
それにふさわしい場所だってあちらの人は思っているのかな。





この映画で、精神分析医を演じているジョン・タートゥーロのことを調べていたら、
彼の次回出演作が『サブウェイ・パニック』(1974)のリメイク作だということがわかった。

『サブウェイ・パニック』といえば、ウォルター・マッソーが地下鉄ジャックを企むロバート・ショーと対決する面白い映画だった。
今回は、それをデンゼル・ワシントンとジョン・トラボルタでやるらしい。
どんな風にリメイクされているか、興味津々♪


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by kiyotayoki | 2009-04-29 13:12 | 映画(は行)