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映画の心理プロファイル

『手錠のままの脱獄』(1958  米)

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原題:『THE DEFIANT ONES』(97分)
監督:スタンリー・クレイマー
脚本:ハロルド・ジェイコブ・スミス
    ネイサン・E・ダグラス
音楽:アーネスト・ゴールド
出演:トニー・カーティス
    シドニー・ポワチエ
    セオドア・バイケル

子供の頃(小中学生時代)に観た映画で印象に残っている作品を10本挙げろと言われたら、きっとこれ、入れると思うな。
TVの洋画劇場で観たんだと思うけど、オープニングの脱走シーンから、主人公2人のいがみ合い、そして、物悲しい中にも力を出し切った充実感漂うエンディングまで、これくらい記憶に残っている映画も珍しい。

事故を起こした護送車から、手錠(手鎖)でつながれた2人の囚人が脱走する。
が、2人は白人と黒人。互いに偏見を持ち相手を憎悪していた。
でも、追及の手から生き延びるためには、助け合わなければならない。
2人はそのジレンマと闘いながらも、逃亡の旅を続けていく。
・・・・と、インパクトが強いわりに子供にもわかり易いシンプルな展開だったのも印象に残った理由のひとつだろう。
なんで肌の色が違うだけでこんなにいがみ合わなきゃならないんだろう、という素朴な疑問もそれに拍車をかけたかな。

もちろん、主演の2人に当時、親近感を覚えていたってこともある。
白人の囚人を演じたのは、『グレートレース』の前歯キラリ男、トニー・カーチスだったし、
黒人のほうは、『いつも心に太陽を』のスマートな先生、シドニー・ポワチエだったんだもの。
(当時は『お熱いのがお好き』や『野のゆり』はまだ観ていなかったと思う)

あとで知ったことだけど、白人の役は、企画の段階ではマーロン・ブランドが第一候補だったらしい。
もしマーロン・ブランドだったら、もっとメッセージ性が強まったんだろうな。
そして、オスカーをポワチエと2人で獲得していたかもしれない(カーチスとポワチエも候補にはなった。でもこの年オスカー像をかっさらったのは『旅路』のデヴィッド・ニーヴンだった)。
けど、親近感は減っただろうな、確実に。子供にはブランドはちょっとヘヴィだもの(^^ゞ。

ブランドとカーチス、年齢に差があるのかと思ったら、ブランドが1つお兄さんなだけ。同世代の俳優さんだったんだね。
ちなみに、撮影時、カーチスは32歳、相方のポワチエは2つ下の30歳。お2人ともまだ健在だというのか嬉しい(84歳と82歳)。

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改めて観てみて、印象に残ったのはオープニングとエンディングでポワチエが披露するブルージーな歌声でありました。
あと、原題の『THE DEFIANT ONES』。
「反抗的な奴ら」って意味なのかな。
英語のニュアンスはよくわからないんだけど、ONEには「人」っていう意味はあるけど、MANより没個性な感じがする。だから人間性を無視される囚人の2人のことを表現するのにはぴったりな言葉だなぁと、ちょっと感心してしまったのでした。


by kiyotayoki | 2009-09-09 10:36 | 映画(た行)