映画の心理プロファイル

『ひまわり』(1970 伊)

原題:『I GIRASOLI』(107分)
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監督:ヴィットリオ・デ・シーカ
音楽:ヘンリー・マンシーニ
出演:ソフィア・ローレン
    マルチェロ・マストロヤンニ
    リュドミラ・サベリーエワ

『ニューシネマ・パラダイス』に続いて伊映画の秀作です。
衛星でやっていたので、超がつくほと久しぶりに再見。
シベリアの大地を埋め尽くす“ひまわり”と、H・マンシーニの物悲しいメロディは
観た当時の印象そのままでしたが、物語自体は随分違う印象を受けてしまいました。
30年以上経って、観る側の心がスレてしまったのか、当時の社会情勢や興味深いイタリア人気質などに
気をとられて素直に感動できなかった、というのが正直な感想。

戦争によって引き裂かれた夫婦の悲哀を描いたメロドラマです。
ナポリ生まれの情熱的な女ジョアンナ(S・ローレン)は、ソ連のシベリア戦線に送られたまま
帰って来ない夫アントニオ(M・マストロヤンニ)の行方を必死に探しますが、役所では埒が明かず、
ついに自分でソ連へ向かいます。
けれど、手がかりは戦地から送られてきた写真一枚っきり。
徒労の日々が続きますが、ある日、ついにその苦労が報われます。
写真の人物に心当たりがあるという女性が現れたのです。
喜んで案内された家を訪ねてみると庭で洗濯物を取り込んでいる女性の姿が。
ジョアンナの顔に不安の影が宿ります。
不安は的中。やっと探し当てた夫はシベリアの片田舎で別の女性(L・サベリーエワ)と結婚し、娘までもうけていたのです。
列車で仕事先から戻ってきたアントニオ。
生きた彼の姿を見、彼も彼女の存在に気づいたその時、ジョアンナは走り始めた列車に飛び乗ってしまいます。
絶望と怒り、そして家庭を築いている彼の立場を慮っての、彼女としては精一杯の行為でした。

この映画で印象的なのは、やはりタイトルにもなっている“ひまわり”です。
映画の作り手は“ひまわり”にどんな思いを託したかったのでしょうか。
いろんな見方があるでしょうが、ここでは色彩心理学の観点から見てみましょう。
ひまわりの黄色は「希望や願望などへの自己欲求が押さえきれずに外へ向かっていこうとする状態」を表す色。
とすると、無数の戦死者が埋まったシベリアの大地を黄色に染めるひまわりは、戦争のない世界を希求しているのかも。
また、エンディングに画面を埋め尽くすひまわりは、ジョアンナとアントニオがそれぞれの家庭のために
心の奥に押し込めてしまった相手への想い(叶うものなら二人で未来を築いていきたいという想い)を
その色で代弁していたのかもしれません。
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by kiyotayoki | 2004-08-22 10:13 | 映画(は行)