映画の心理プロファイル

『第一容疑者 希望のかけら』(前・後編 2006 英)

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ああ、ヘレン・ミレン扮するジェーン・テニスン警視ともいよいよお別れかぁ・・・と、ちょっとしんみりしながら
前後編、約3時間を堪能させてもらった。

10月13日と14日、『第一容疑者』の最終章が放映されると知って、心待ちにしていた。
2006年の作品というから、本国の英国では彼女がエリザベス女王を演じた『クイーン』と同じ年に放映されたんだね。

このシリーズが始まったのは1991年というから、もう18年前。
ずっとNHKが放映してくれている。
当時は、主役のジェーン・テニスン(ヘレン・ミレン)もまだ40代で、確かシングルマザーだったような記憶がある。
そんな彼女が、バリバリの男社会である警察組織の中で、部下や同僚、上司たちから女性蔑視というストレスを受けながらも難事件を解決していく硬質な刑事ドラマだった。
その後出世して警視にまでなったテニスンだけど、この最終章ではいよいよ引退を間近に控えている。
撮影当時のヘレンの年齢が60歳だから、役柄とばっちりシンクロしてたんだね。

このブログで『第一容疑者』を取り上げたのはいつ頃だっけと調べてみたら、2005年の今頃だった。
本国では2003年に放映された前作の『第一容疑者 THE LAST WITNESS』(2003)がその時日本でもON AIRされたんだね。ということは、4年ぶりの放映だったのか。

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最終章である本作でも、ジェーン・テニスン警視は様々なストレスを抱え込んでいる。
家族を持たず仕事一途でやってきた孤独なテニスンにとって唯一の友は酒。
けれど、長年の飲酒がたたって依存症になってしまっており、ひどい時は記憶もなくしてしまう始末。
昼間でさえ、サンドイッチをビールで流し込むほどだから、飲酒運転は当たり前。警察官なのにね(^^;。
それを咎められ、上司からは引退の日まで休暇をとれとプレッシャーをかけられる。
また、父親が危篤になり、そのことで妹と諍いになる。
そんな時に起こったのが、14歳の少女失踪事件。あまたの難事件に関わってきたテニスンにとっては単純で楽な事件かと思われたのだけれど、そうは問屋が卸さなかった・・・。

最終章の章タイトルは「希望のかけら」。
テニスンは、捜査にあたりながら“希望のかけら”を探し求めてもがくのだけれど、
もがけはもがくほど、希望とは正反対の不幸、そして失望・落胆がまとわりついてくる。
そのたび毎に、テニスンの眉間の皺は深くなり、断酒を誓いながらも酒の量は増えるばかり。

このあたりの苦悩ぶりは、さすがオスカー女優という感じ。
『クイーン』と、どちらを先に撮ったのか、あるいは同時に撮影していたのか知らないけれど、“円熟”という言葉が今、これほど似合う女優はいないかも。
声をあてている寺田路恵さんも声に気品があって、しかも意志の強さが漲っていて素晴らしい。

NHKのサイトによると、米国でこの作品のリメイク化が計画されているんだそうな。
しかし、ヘレン=テニスンを超えるのは、難しそうだなぁ。


下の画像は、テニスンが“希望のかけら”を見出したくて、ある少女に見せた絵画。
18世紀、ロココ期の英国の画家ジョシュア・レイノルズが描いたThe Strawberry Girl(1773)という作品。
しかし、この子、見ようによっては、ちょっと恐い・・・よね(^^;

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by kiyotayoki | 2009-10-15 19:18 | TV