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映画の心理プロファイル

『デリンジャー』(1973 米)

今、公開されているジョニー・デップ主演の『パブリック・エネミーズ』と同じく、
米国犯罪史上でも悪名高い銀行強盗、ジョン・デリンジャーの波乱に富んだ半生を描いたバイオレンス映画です。
デリンジャーを演じるのは、それまでは脇役専門の俳優だったウォーレン・オーツ。
そして、デリンジャーを執念深く追いつめていくGメンを演じるのは、これまた脇が主の俳優のベン・ジョンソン。
この映画は、脇役が輝いてる映画なんだな。

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原題:『DILLINGER』(108分)
監督・脚本:ジョン・ミリアス
音楽:バリー・デ・ヴォーゾン
出演:ウォーレン・オーツ
    ベン・ジョンソン
    ミシェル・フィリップス

実録物なので、映画の中には「プリティーボーイ・フロイド」「マシンガン・ケリー」「ベビーフェイス・ネルソン」といった当時悪名を馳せた連中が多数登場します。しかも、みんな“またの名”付き。
だもので、ジョン・デリンジャーのデリンジャーも、てっきり小型拳銃のデリンジャーから付けた変名だとばかり思っていた。
だけど、あちらはDeringer、こちらはdillingerでスペルも違う。本名だったんだね、この人は。

大恐慌に見舞われ社会が疲弊していた1933年、食い詰めた連中が全米各地で平気で法を破り暴れ回っていたようだ。
その中には、あのボニーとクライドもいたんだな(1934年5月23日射殺される)。

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デリンジャーとその一味も中西部で数々の銀行強盗を働いていた。
こちら(←)がご本人(この貫禄で30才!)。
だけど、紳士的な立居振舞いと鮮やかな銀行強盗の手口で大衆やマスコミからは義賊扱いされていたようだ。暗澹たる時代の欲求不満のはけ口になっていたのかな。

一方、一味を追跡するFBI捜査官パービスは・・・と書きたいところだけど、会話を聞いてるとFBIとはひとことも言わない。
で、気になって調べてみたら、FBI(連邦捜査局)ができたのは1935年なんだね。この時は、その前身のBOI(捜査局1908~1933)かDOI(捜査部1933~1935)の時代だったようだ。
ちらみに、この1933年という時代のシカゴを牛耳っていたのはフランク・ニティ(有名なアル・カポネは収監中だった)。

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銀行から現金を強奪する一方で、デリンジャーはビリー(エブリンの愛称)という仏人とインディアンの混血女性を誘拐まがいに連れ去り、愛人にしてしまう。もうやりたい放題。

やりたい放題といえば、銃撃戦も派手です。
ギャング団もGメンももう撃つわ撃つわ。
放たれる弾丸の量は『西部警察』も真っ青!
20世紀前半とはいえ、当時のアメリカはまだ19世紀の名残が色濃く、
目には目を、銃には銃で応酬するってのが当たり前の時代だったようです。

調べて知ったことだけど、これが監督デビュー作だったというジョン・ミリアスさん、
無類のガン・マニアで、全米ライフル協会の重役でもあるんだそうな。
それも納得の銃撃戦でありました(^^ゞ。


                一味の面々。それぞれの死に様が見どころ(?)の映画でもあります。
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by kiyotayoki | 2009-12-21 12:29 | 映画(た行)