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映画の心理プロファイル

『パブリック・エネミーズ』(2009 米)

1930年代前半に「社会の敵(パブリック・エネミー)No.1」と称されたジョン・デリンジャーの半生を描いた作品。
1973年版でデリンジャーを演じたのは脇役俳優だったウォーレン・オーツ。今回は、いつも主役を張るジョニー・デップ。
そして、デリンジャーを追うパーヴィス捜査官は、いぶし銀のベン・ジョンソンから、やはりスター俳優のクリスチャン・ベイルへと替わった。
1973年版が脇役俳優の味で魅せる映画なら、新作はスターの輝きで魅せる映画というところでありましょうか。
さて、その出来映えは・・・。

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原題:『PUBLIC ENEMIES』(141分)
監督:マイケル・マン
原作:ブライアン・バーロウ
脚本:ロナン・ベネット他
音楽:エリオット・ゴールデンサール
出演:ジョニー・デップ
    クリスチャン・ベイル
    マリオン・コティヤール

監督も、ジョン・ミリアスからマイケル・マンに替わったけれど、
どちらもガンプレイは得意な人だから、その点では甲乙つけがたい。

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主人公のジョン・デリンジャーについては、本物に近いのはきっとウォーレン・オーツなんだろうな。
ジョニー・デップはカッコよすぎるし、洗練されすぎだものね。
だけど、デリンジャーの「汚れた金しか奪わない」「仲間は決して裏切らない」「愛した女は最後まで守る」といったマスコミが作り上げた“義賊”としての彼の信条を体現できている点は、デップのほうが上かも。

デリンジャーを追うパーヴィス捜査官は、貫禄・風格では断然ベン・ジョンソンの勝ち。
ただ、捜査能力はクリスチャン・ベイルのほうに軍配があがる。
当時としては、わりとまともに科学捜査を行っているし、盗聴も駆使している。それに、デリンジャーが監獄から脱走するや、愛人のビリーをぴったりマークし、盗聴で2人の電話の会話を傍受(そのわりに、抜けているところがあって、簡単にデリンジャーに出し抜かれたりするんだけど^^;)。
その点、強面のジョンソンは愛人ビリーを野放しにして、ひたすらマシンガンをぶちかますのみだった。

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デリンジャーの愛するビリーはというと、これはもう今回のマリオン・コティヤールのほうが断然光ってる。
不幸な生い立ちではあるけれど都会でひとりで生きていく術は身につけている女で、混血のせいか神秘的で毅然とした美しさの持ち主でもある。
1973年版のミシェル・フィリップスが演じたビリーは、ひたすらデリンジャーにつき従うだけの女だったけれど、こちらのビリーは一度は彼の求愛を拒んでみせる。芯の強い女なのだ。
その芯の強さが如実に表れていたのが捕縛されて激しい尋問を受けるシーン。
巨漢の捜査官はデリンジャーの居所を吐かせるために怒鳴りつけるのは当たり前、トイレにも行かせず、ビリーに殴る蹴るの暴行を働く。それに必死に立ち向かう彼女の姿、そしてエンディングに見せる彼女の居住まいは、さすがオスカー女優といった感じ。
この映画での一番の収穫は、マリオン・コティヤールの新たな一面を見ることができたことかもしれないな。

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1973年版は脇役俳優が光る映画だったけれど、こっちにも渋い脇役たちが登場する。
こちら(↑)は、デリンジャー逮捕のためにパーヴィスが呼んだ助っ人捜査官の面々。その登場の仕方は、まるで西部劇に出てくる助っ人用心棒のようででありました。
中でも目立っていたのは、真ん中のウィンステッド捜査官を演じたスティーヴン・ラング。この人、この冬の話題作『アバター』にも出ているようです。

音楽で印象的に使われているのは、当時流行っていたと思われるジャズの名曲『バイ・バイ・ブラックバード』。
歌っているのは、ダイアナ・クラール。
映画にもナイトクラブの歌手として登場するけど、この人の旦那ってエルヴィス・コステロなんだね。


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by kiyotayoki | 2009-12-28 10:38 | 映画(は行)