映画の心理プロファイル

『かいじゅうたちのいるところ』(2009 米)

公開されて間もない本作を観に新宿ピカデリーへ行って驚いた。
上映されていたのはこのシネコンで一番大きなスクリーン1。この映画への期待の大きさが感じられた。
な、なのに、入ってみたら観客はあっちに一人、こっちに一人。数えられるほどしかいない(^_^;)。

えええっ、夕方5時50分の回だけど、これって字幕版を選んだせい?
原作のセンダックの絵本は世界中で親しまれているし、以前は我が家にもあったけれど、案外日本じゃ認知度が低いのか?
それとも、声優や前宣伝に加藤清史郎くんを起用したのが裏目に出た???

・・・と、いきなりそんな戸惑いを感じながらの鑑賞と相成ったのでした。
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原題:『WHERE THE WILD THINGS ARE』(101分)
監督・脚本:スパイク・ジョーンズ
原作:モーリス・センダック
音楽:カレン・O カーター・バーウェル
出演:マックス・レコーズ
    キャサリン・キーナー

監督が監督だけに単純な子供向けファンタジーにはなっていないだろうとは思っていたけれど、
ううむ、子供を卒業した大人達に贈るほろ苦いファンタジーといった感じだな、この作品。
それだけに、単純に感動できる作品にはなっていない。
試写会を観た人、特にファミリー層の中には評価に戸惑った人もかなりいたことだろう。
口コミは想像以上に効く。不入りの原因はその辺りにもあるのかも。

だけど、個人的には観て損はない作品だと思いましたよ。
とにかく怪獣たちの造作がステキ。図体はでかいけど個性的で愛嬌たっぷり。CGも使われてるんだろうけど表情もとても豊か♪
エンドロールを見たら、着ぐるみの製作はジム・ヘンソンのプロダクションが担当してるんだね。さすがの出来です。

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お話のほうも、最近のADHD(注意欠陥・多動性障害)への関心の高まりもあるのか、主人公の男の子マックスの過敏さが丁寧に描かれていた。
多感なマックスは自分の感情をコントロールできず、自分がいかに孤独であるかを分かってくれない母親に怒りを爆発させ家を飛び出してしまう。
そして、いつの間にか空想の世界に飛び込んでしまったマックスは、小舟で大海へこぎ出し、不思議な島にたどり着く。

そこはかいじゅうたちの棲む島だった。
しかも、マックス同様、自分の気持ちをうまく伝えられないもどかしさで欲求不満のかたまりになってるかいじゅうたちの。

かいじゅうたちたちは、マックスが口からでまかせに言った「僕は王様だ」という言葉を信じてしまう。
かいじゅうたちは長い間、自分たちを導いてくれるリーダーが欲しくてたまらなかったんだね。
マックスはマックスで自分が自由にコントロールできる王国が欲しかった。
互いの思惑が一致して、マックスはかいじゅうたちに受け入れられ、幸せなひとときが訪れる。
かいじゅうたちの喜びの表し方がやたら豪快で、観てるこっちも嬉しくなっちゃうほど。

だけど、幸せな時間は長続きしない。
だってかいじゅうたちは自分の分身。マックスの心の闇が生み出した怪物なのだから。
自分さえコントロールできないマックスに、彼らをコントロールできるはずもない。
しかも、王様という地位には敬われるだけでなくみんなを幸せにするという義務もあるのに、マックスにはその力もアイディアもろくに持っていないのだ。

面白いなと思ったのは、ファンタジーの世界ではマックスは何も口にしないこと。
何か食べるシーンが一カ所ぐらいあっても不思議じゃないのに、それがないのだ。

考えてみたら、食べるということは生きているという証しかも。
それがないということは、勝手な想像だけど、マックス少年はファンタジーの世界へいっている間は仮死状態だったのかもしれないな。
その証拠にってわけじゃないけれど、現実の世界に戻ってお母さんの手作り料理をパクついてるマックスの表情はホントに生き生きと輝いていたし(^^。


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by kiyotayoki | 2010-01-24 22:23 | 映画(か行)