映画の心理プロファイル

『刑事ナッシュ・ブリッジス』(1996~2001 米)

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原題:『NASH BRIDGES』
出演:ドン・ジョンソン
    チーチ・マリン


1996年から米CBSネットワークで放映され、6シーズンも
続いた人気ポリスアクションドラマ。東京圏ではテレビ東京でやってましたね。
ここでなぜ紹介するかというと、一時期マニアックに収集していた「飛び降り
自殺を止めるシーン」があったから。
飛び降り自殺を止めるためには、いろんな心理テクニックが使われているの
でとても参考になるんです。それが主人公のキャラにぴったり合ったものだっ
たりすると思わず拍手したくなっちゃうんだなっ、これが。

主人公ナッシュ・ブリッジス(D・ジョンソン)は、サンフランシスコ市警SFPD
の特捜班SIUのチーフを務める敏腕刑事。ナッシュは相棒のジョー・ドミンゲス
(C・マリン)と共に難事件を次々と解決していくんですが、そんなナッシュの
特技はマジック。
そのマジックを使って、ナッシュは自殺を未然に防ぐのですから拍手もの。

今回検索してみてわかったんですが、「飛び降り自殺を止めるシーン」があっ
たのは、第2シーズンの第10話『天使と悪魔』の回。
ナッシュとジョーが車でサンフランシスコの坂道を走っていると、渋滞にぶつ
かります。渋滞の原因は、坂の上でシスコ名物の路面電車が立ち往生してい
たため。よく見ると、路面電車の上に天使の格好をしたホームレス風の男が
手榴弾を手にして仁王立ちしているではありませんか。
2人が近づくと、「来るな!来るとこれを爆発させるぞ」と男が叫びます。
ナッシュはそんなのお構いなしに、見物してたおばさんの買い物袋から卵を
1個拝借すると路面電車の屋根に上っていきます。
焦った男は「俺は本気だぞ!」と手榴弾のピンを抜いて捨てます。
ナッシュはそのピンを拾うと、片方の手に卵、もう片方の手にピンを持って
こう言います。
「このピンと卵でお前を助ける」
「そんなことができたら奇蹟だ」
「そうかい、じゃちょっとした奇蹟を見せてやるよ。これからこのピンを卵に押し
込んで消し去って見せる」
そういうとナッシュは得意のマジックで卵の中にピンを押し込んでしまいます。
「ど、どうやったの?」と素直に驚く男にナッシュは、「マジックだよ、ほら見て
みな」と卵をポイッと男に放る。
それを男が受け取ろうとした瞬間、ナッシュは男の手から手榴弾をもぎ取り、
隠し持っていたピンを装着し直します。
自殺道具を取り上げられた男は自殺の意欲をなくして、一件落着。

ここで使われたのは『ミスディレクション(誤導)』という心理テクニック。
これは相手の意識を誤った方向へ誘導し、その間に目的を達成する方法。
人の意識は動くものにつられやすい(集中しやすい)という心理法則がありま
す。ナッシュはその心理法則を活用して卵を放り投げたのです。
当然のごとく男の視線は飛んでくる卵に集中します。落ちたら簡単に割れて
しまう卵ですから、それをうまくキャッチしようと、男は余計神経を集中したこと
でしょう。
人間はひとつのことに集中すると、ほかの部分は無防備状態になります。
手榴弾を持つ手の握力も若干弱まったはず。だから簡単にもぎとることがで
きたというわけ。
ナッシュは相手の意識を「飛んでくる卵」へ誘導し見事目的を達成したのです。
   ※ちなみに、ナッシュに助けられた天使男は、その後、順レギュラーとして
    ドラマにちょくちょく顔を出すようになりましたっけ。
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by kiyotayoki | 2004-09-06 10:11 | 映画(か行)