映画の心理プロファイル

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『交渉人』(1998 米)

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原題:『THE NEGOTIATOR』(139分)
監督:F・ゲイリー・グレイ
出演:サミュエル・L・ジャクソン
    ケヴィン・スペイシー
    デヴィッド・モース

『狼たちの午後』を書いていたら、籠城モノの秀作としてこの作品があるの
を思い出しました。

ローマン(S・L・ジャクソン)はシカゴ警察東地区で人質事件の交渉人と
して辣腕をふるっていました。
ところが青天の霹靂。ローマンは警察年金に絡む汚職事件と同僚の警官
殺しの濡れ衣を着せられて一転、警察から追われる身に。
窮地に立ったローマンは大胆な行動に出ます。内務捜査局のオフィスに
乗り込み、捜査局員ら4人を人質に籠城してしまったのです。
ビルの周囲は、アッという間に警官隊が幾重にも包囲。周辺のビルの屋上
には何人もの狙撃手が配置され、蟻の這い出る隙間もありません。
けれど、ローマンは交渉のプロ中のプロ。
籠城犯に対して警察がどう出てくるかは全てお見通し。
警察側が連れてきた交渉人などは、ローマンの誘導尋問に乗せられて
「ノー」と言ったばかりに
「ノーは言わない、それが交渉人のイロハだろうが!」と、一喝される始末。
そんなローマンが最初にした要求は、「30分以内に西地区の交渉人、
セイビアン(K・スペイシー)を連れてこい」でした。
ローマンとしては、同じ地区の警官はもう誰も信用できなかったのです。

ローマンは事件の真相に迫るため、人質にとった捜査局の大物に狙いを
定めます。この男の口を割らせることかできれば、すべての謎が解けるに
違いない。
しかし敵も曲者。ちょっとやそっとでは口を割りそうにありません。
そこでローマンが使ったのが、ちょっとした心理テクニック。
わざと何かを思い出させる質問をしたのです。
すると男は思わず視線を右上のほうに泳がせました。それを見逃さず、
「今、ウソをつこうと考えてるだろう!」と断言。
すると、男の顔に動揺の色が。

右利きの場合、人は何かを思い出そうとすると視線が無意識に左上の
ほうに、新たに何かを考えよう(つまりウソをつこう)とすると右上のほうに
動くという特性があり、ローマンはそれを使って、男のウソを見破ったので
す(まあ、そんなことぐらいで「参りました」という人はいないので、この場
合はそう断言することで相手を動揺させることが第一の目的だったと思わ
れます)。

この籠城でも、後半になると人質がローマンに同情し、協力するようにな
ります。それもこれもローマンの『自己開示』に人質たちが心を動かされ
たからに違いありません。
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by kiyotayoki | 2004-08-31 16:00 | 映画(か行)

『狼たちの午後』(1975 米)

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原題:『DOG DAY AFTERNOON』(125分)
監督:シドニー・ルメット
脚本:フランク・ピアソン
出演:アル・パチーノ
    ジョン・カザール
    チャールズ・ダーニング

『スピード』同様、事件に巻き込まれた人たちが相当な緊張状態を強いられる
ドラマです。
アカデミー脚本賞を受賞したこの作品の舞台は“銀行”。
その銀行を無計画に襲った当然の報いとして、人質をとって籠城をせざるを得
なくなったのが、ソニー(A・パチーノ)とサル(故J・カザール:『ゴッド・ファーザ
ー』で気弱な次男を演じた彼です)の2人組。

気の小さいサルは、警官隊に包囲されてパニック状態。それをクールなソニー
が叱り飛ばしたりなだめたりして警官隊と交渉を始めます。
一方、人質になった人々は戦々恐々。凶器を手にした2人が自暴自棄になっ
たら何をしでかすかわかりません。

ところが、膠着状態が続くうち、ソニーたちと人質の人々の心理に微妙な変化
が見られ始めます。敵対する同士なのに奇妙な連帯感が芽生え始めたので
す。中には2人に同情して、積極的に支援をする人質まで現れる始末。

『ストックホルム症候群』という言葉、どこかで聞いたことありますよね。
1973年にスウェーデンのストックホルムで実際に起きた銀行強盗事件で、
同じような現象が起こったのでこう呼ばれているんですが、
長らく一緒にいると、被害者が犯人に同情して、自分たちを助けてくれるはず
の警察に反感を覚えるようになるというのです。
これも、『スピード』同様、緊張してドキドキしたのを恋をしてドキドキしたと勘違
いしてそういう心理状態になるのでしょうか。
多少、それもあるかもしれません。
けれど、膠着状態になると脈拍数も落ち着いてきますから、その効果はあまり
期待できないかも。
それより、長らく同じ空間にいると、いくら敵対する関係であってもうち解けてき
ます。世間話や身の上話もするようになります(特に、罪を犯しているほうは自
分の行為を正当化するために打ち明け話をしたがる傾向があります)。

実は、それが互いの心理に変化をもたらすきっかけになるんです。
心理用語では『自己開示』といいますが、「実は、俺・・・」と話すだけで、聞く側
に親近感が生まれるのです。

女(男)友達の恋の悩み相談や失恋話につき合ってるうちに、互いに好意を抱
くようになってカップルになっちゃったという話、よく聞きますよね。
あれも『自己開示』がなせるワザ。
こちらが心を開くと、『好意の返報性』の心理が働いて、相手も心を開くので、
互いに好感を持ち、愛情さえ抱くようになるのです。
「実は、俺(私)・・・」は、いわば恋の魔法(呪文)のようなもの。
恋を引き寄せたい人は、是非活用してみてください。

そうそう、この映画、『ソードフィッシュ』(2001)で、トラボルタ扮する謎の男が
やたら絶賛していました。だからというわけではありませんが、未見の方には
おすすめの映画の一本です。
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by kiyotayoki | 2004-08-31 10:10 | 映画(あ行)

『スピード』(1994 米)

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原題:『SPEED』(115分)
監督:ヤン・デ・ボン
出演:キアヌ・リーブス
    デニス・ホッパー
    サンドラ・ブロック

もう10年も前の作品なんですね。でも、あのノンストップのスピード感は今見ても色褪せてはいないはず。
時速50マイル(80キロ)以下になると爆発する路線バスの乗客を救うために孤軍奮闘するSWAT隊員ジャック(K・リーブス)と復讐心に燃える爆弾魔(D・ホッパー)との攻防を描いたジェット・コースター・ムービー(この言い方ってもう古い?)です。

乗客のひとりアニー(S・ブロック)と助け合って、命からがらバスからの脱出に成功したジャックは、自分の体の下でまだ息をはずませているアニーにねぎらいの言葉をかけます。
するとアニー、「今、私に手を出そうかなって思ってるでしょ」
「手を?じゃ、だそうか」と笑顔で応えるジャック。
「フフ、やめといたほうがいいわよ。危険な状況下で芽生えた恋は長続きしないんだから」

これは、心理学的に見ると興味深い会話です。
実際、「危険な状況下で芽生えた恋は長続きしにくい」のですから。
危険な状況下では、人は緊張・興奮して心拍数が跳ね上がります。
一方、好きな人の前でも、人は緊張・興奮して胸が高鳴ります。
心臓がバクバクするのはどちらも同じ。だもんだから、人間って混同しちゃうみたいなんですね。つまり、危険な状況下で異性に出会うと、心臓がドキドキしてるので、これは恋に違いない!・・・って。

この現象を実験で証明したのがアメリカの心理学者、ダットンとアロンです。
実験に使ったのはカナダのバンクーバーにある2つの橋。
ひとつは深い峡谷にかかる吊り橋。吊り橋は安定で今にも落ちそうな恐怖を感じます。
もう一方は、コンクリート製の橋で頑丈で安心感があります。
実験は、2つの橋を男子学生に渡ってもらい、渡ったところで女性研究者のアンケートに答えてもらうというもの。
でも実はアンケートはカモフラージュで、学生がその女性にどんな感情を抱くかを観察するのが本当の目的だったのです。
結果は、吊り橋を渡った学生のほうが、コンクリートの橋を渡った学生よりも、ずっと多く女性を魅力的と答えました。
つまり、吊り橋を渡ったために高鳴った胸のドキドキを、目の前に美人がいたからドキドキしたのだと勘違いしてしまったのです。
しかも、人間の目は「見たいものを見る」ようにできているので、勘違いすると目の前の相手の顔が“恋をするのにふさわしくなる”ように修正されて、脳に伝達されてしまいます。まさに“恋は盲目”というやつ。

勘違いしたからって、それで恋が芽生えれば結果オーライじゃん。
そう思う人もいるかもしれませんが、生理的な心拍数の上昇はいつかは収まります。すると、修正効果がなくなり、あんなに素敵に見えていた相手の顔がそれほどでもなくなってしまうのです。
シークレットブーツを履いていた相手が、いきなり素足になったようなものですから、これは幻滅。一気に恋も冷めてしまいがち。
だから、「危険な状況下で芽生えた恋は長続きしない」のです。

にもかかわらず、ジャックとアニーは恋に落ちてしまいます。
さて、その結末は・・・。
答えは、ちゃんと続編『スピード2』で明らかにされていますよ。
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by kiyotayoki | 2004-08-30 10:06 | 映画(さ行)

『アメリカン・ビューティー』(1999 米)

原題:『AMERICAN BEAUTY』(117分)
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監督:サム・メンデス
脚本:アラン・ボール
出演:ケヴィン・スペイシー
    アネット・ベニング
    ゾーラ・バーチ

“赤色”が物語全体を象徴しているような作品です。
タイトルのアメリカン・ビューティーは、ポスターにも写っている薔薇の一品種
名。古くからある品種らしいけど、“アメリカン・ビューティー”なんて、まるで
“金正日花”みたい(同じ赤でも、こちらはベゴニアの一種らしいですけど)。

この物語をワンフレーズで言うなら、「あるサラリーマン家族の崩壊劇」。
42才のレスター(K・スペイシー)とキャロリン(A・ベニング)は、表向きは
一人娘のジェーン(T・バーチ)をこよなく愛す仲のいい夫婦。でもその内実は
家庭内離婚状態、いわゆる仮面夫婦です。
ある日、娘がやっているチアリーダーの演技を見に行ったレスターは、娘の
同級生アンジェラに一目惚れしてしまいます。
と、アンジェラのはだけた胸から深紅の薔薇の花びらがあふれ出てくるでは
ありませんか。
もちろん、そう見えているのはレスターだけ。
真っ赤な花びらは、ピチピチギャルに鼻の下を伸ばしているレスターの
心情の具現化でした。

赤は、一番熱く感じる色で、力があふれ出ようとするエネルギーの色。
フロイト流に言えば、リビドー(性的エネルギー)の高まりを表す色。
レスターの性欲・意欲の高まりを表現する色です。
けれど、赤が表すのはそれだけではありません。
赤は「怒り」を表す色でもあります。
それは、思い通りにいかない自分や周囲に対する怒り。
レスターのアンジェラへの性欲の高まりは、すべてにおいて思い通りにいかな
い現実への怒りのエネルギーが変容したものなのかもしれません。

物語が進むにつれ、心がそんな赤に染まっているのがレスターだけでなく、
家族みんなであることがわかってきます。
アカデミー賞で監督賞他5部門に輝いた作品ですし、未見の方はビデオで
でもご覧になってみては?
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by kiyotayoki | 2004-08-28 18:01 | 映画(あ行)

『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000 デンマーク)

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原題:『DANCER IN THE DARK』(140分)
監督:ラース・フォン・トリアー
音楽:ビョーク
出演:ビョーク
    カトリーヌ・ドヌーブ
    デヴィッド・モース
    ジョエル・グレイ

“緑色”がひとときの安らぎを与えてくれるのがこの映画。
『ドッグヴィル』のトリアー監督作品。
カンヌ映画祭でパルムドールと女優賞を獲得したものの、日本公開時は賛否が分かれた問題作です。

60年代のアメリカ。
東欧からの移民セルマ(ビョーク)は女手ひとつで息子を育てながら板金工場で働いています。
仕事は楽ではないものの、心優しい同僚(C・ドヌーブ)や理解ある大家に恵まれて、
なんとか日々の生活を送っていました。
そんな彼女の悩みは、遺伝性の病のため視力が失われつつあること。
しかも、息子も手術を受けない限り同じ運命をたどってしまうのです。
そのため彼女は残業までして息子の手術費用を貯えていました。

その無理がたたったのか、仕事でミスを連発、解雇の憂き目に。
しかも、頼りにしていた大家には貯めていたお金を盗まれてしまいます。
弱り目に祟り目というか、泣き面に蜂というか、不幸のドミノ倒しというか、とにかく、不幸が不幸を呼んでいく悲惨な状態。

そんな時、人間はどうするか。その対処法は人によって違いますが、彼女の場合は、空想への逃避でした。
空想の世界をつくり出し、その中に浸り込むことで、なんとか自分を癒し、心の均衡を取り戻そうとします。
この作品の上手いところは、彼女が空想の世界にいる時だけはミュージカル仕立てになるところ。
その世界にいる時だけは彼女はミュージカルスターになれるのです。

映画の中には何カ所かそういうシーンが出てきますが、スクリーンが緑に染まるのは、そんな空想シーンのひとつ。
主題歌とも呼べる『I'VE SEEN IT ALL』を彼女が歌う時です。
緑あふれる田園風景。それを映す川の水面も緑。そこにかかる鉄橋も緑。そして彼女のスカートも緑・・・。
緑は「穏やかで安らいだ気分にさせてくれる」色。その世界に浸り、歌うことで彼女はやっと心の平和を得ることができたのです。
それは、見ている私たちも同じ。緑の世界に浸ることで、
あまりにも残酷なストーリーに疲れ萎えそうになっている心が潤され、
もう少しこの物語につき合ってみようかなという気にさせてくれたのですから。
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by kiyotayoki | 2004-08-26 18:19 | 映画(た行)

『オータム・イン・ニューヨーク』(2000 米)

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原題:『AUTUMN IN NEWYORK』
監督:ジョアン・チェン
出演:リチャード・ギア
    ウィノナ・ライダー

ニューヨークの季節で個人的に好きなのはやっぱり秋。
空気のひんやり加減があちこち散策するのに丁度いいし、紅葉で黄や橙に
染まるセントラルパークは下手なミュージカル観劇より見物ですものね。
ただ、魔がさして毎年11月に開催されるN.Y.Cマラソンに出た時は、
疲労困憊(ゴールタイム:5時間52分)でそんなものを愛でる余裕はまるで
ありませんでしたけれど。

この作品は、そんな秋のニューヨークに芽生えた恋物語。
48才のおじさん(R・ギア)が22才の女の子(W・ライダー)と恋に落ちるという
同世代の男性から見れば夢のようなお話。
けれど好事魔多し。彼女の余命は1年もないと知らされ、本気になりつつあっ
た男は動揺します。

そんな2人の恋心に火をつけたのは、やはり色づく木々の葉も美しいセントラル
パークだったのかも。落ち葉を踏みしめながら歩くうち、2人の心はどんどん
密着していきます。

紅葉の橙色は、色彩心理学的には「自己アピールしたいという欲求の高まり」
を表す色。また「大胆な気分にさせてくれる」色。そんな色に囲まれていると、
人は自然に自分の想いを相手に訴えたくなるのでしょう。

恋をしたいのなら、意中の相手を紅葉見物に誘ってみては?
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by kiyotayoki | 2004-08-26 11:16 | 映画(あ行)

『恋人たちの予感』(1989 米)

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原題:『WHEN HARRY MET SALLY』(96分)
監督:ロブ・ライナー
音楽:ハリー・コニックJr.
出演:ビリー・クリスタル
    メグ・ライアン
    キャリー・フィッシャー

こちらはニューヨークの冬だけでなく四季折々が楽しめる作品です。
というのも、この映画、ハリー(B・クリスタル)とサリー(M・ライアン)がNYに
移り住んでからの11年間を描いたラブストーリーだからです。
といっても2人は最初から恋愛関係にあったわけではありません。
そういう関係になったのは最後の1年位で、それまではつかず離れずの間柄
でした。

人間関係は第一印象が大事だといいますが、2人の互いの第一印象は最悪。
旅費節約のために交代で車を運転しながら生まれ故郷からNYへやってきた
2人は、ワシントンスクエアで別れるまで口論ばかり。特に、
「男と女の間に友情はセックスが介在するかぎりあり得ない」と言い切るハリ
ーのシニカルな物言いには、サリーは心底うんざりした様子。
心理学にも『初頭効果』という用語があり、第一印象がのちのちまで強い影響
力をもつことが様々な心理実験で実証されています。
事実、数年後に空港で偶然再会した時のサリーのハリーに対する態度は相当
よそよそしいものでした。
そんなサリーの心境が変化する時がやってきます。
書店で久しぶりに出会った2人、喫茶店で話をしている内にサリーは
「おやっ?」と思います。というのも、あんなに皮肉屋で言葉にトゲがあった
ハリーがなぜか謙虚なのです。いろんな人生経験をして丸くなった感じ。
思わずサリーは自分から「今度、お食事でも」と、誘いの言葉をかけてしま
います。
この心境の変化は、『新近効果』が生んだものと思われます。
これは、新しい情報のほうが強い印象を与え、それまでのイメージが一変して
しまう現象をいいます。

恋をした人の中には、
「初めて会ったときは下ネタばかり連発して下品な人って思ってたけど、
次に会ったら案外マジメな人だったんで、なんだか好きになっちゃったの」
などと言う人がよくいます。これこそ『新近効果』。
ですから、第一印象で失敗したとしても、恋をあきらめるのは早計。
次に会ったときに、初回とはまったく違った態度でのぞめば『新近効果』が
働いて、恋をゲットできるかもしれないんですから。
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by kiyotayoki | 2004-08-25 15:34 | 映画(か行)

『セレンディピティ』(2001 米)

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原題:『SERENDIPITY』(91分)
監督:ピーター・チェルソム
出演:ジョン・キューザック
    ケイト・ベッキンセイル

クリスマスシーズンのニューヨークってよほどロマンチックな
イメージが定着しているのか、この時期のNYを舞台にした恋愛映画をよく見
かけます。この作品もその一つ。
ジョナサン(J・キューザック)とサラ(K・ベッキンセイル)は、クリスマスの買い
物でにぎわうデパートで偶然同じ商品の手袋を手に取ろうとしたのがきっかけ
で知り合います。
2人は“幸せな偶然”という名のカフェ『セレンディピティ3』でお茶をすることに。
  ※ちなみにセレンディピティには「思いがけないものを発見する能力」という
    意味もあり、そういう能力を有する人をセレンディッパーと呼ぶんだとか。

意気投合した2人は偶然の出会いに運命を感じてしまいますが、ちょっぴり
冷静だったサラが(だってジョナサンは手袋を恋人に贈るために買おうとして
いたんですから)、これが本当の運命なのかを試そうと言い出します。
ホテルの何台かあるエレベーターに別々に乗って、偶然同じ階のボタンを
押してまた出会えたら、これは運命の出会いに違いない、と。
サラは23階を、ジョナサンは迷いに迷って23階のボタンを押します。
やっぱり運命の出会いだった?!
と観客が思ったのも束の間、ジョナサンのエレベーターに途中から乗ってきた
イタズラ坊主に邪魔されて23階への到着が遅れに遅れ、着いた時には
サラの姿はもうそこにはありませんでした。

数年後、ジョナサンはめでたく別の女性と婚約をすることに。なのに憂鬱顔。
というのも、彼は未だにあれっきりになったサラのことを忘れられずにいたの
です。
この時のジョナサンの心理を表す心理用語、それは、
『リアクタンス』(前にも出てきましたっけ)。
人は選択の自由を奪われると、その自由を回復したくなります。
例えば、街で配っているティッシュ。別に特別欲しいものじゃありませんが、
自分だけもらえないと、何だかとても欲しくなったりしませんか?
それは心に『リアクタンス(心残りの心理)』が芽生えたからです。

ジョナサンの場合も同じ。それっきりになってしまったからこそ、サラのことが
忘れられないのです。忘れられないだけでなく、「逃がした魚は大きい」と思う
のと同様に、思い出はどんどん美しく飾られていきますから、ジョナサンが
憂鬱になるのは仕方のないことかもしれません。

この映画は『リアクタンス』の心理を学ぶ教科書のような作品ですね。

  ※同じように、クリスマス・シーズンのNYで偶然の出会いから恋に落ちる
   映画があります→『恋におちて』(1984 R・デ・ニーロ、M・ストリープ)
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by kiyotayoki | 2004-08-24 10:00 | 映画(さ行)

『シティ・オブ・エンジェル』(1998)

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原題:『CITY OF ANGELS』(114分)
監督:ブラッド・シルバーリング
出演:ニコラス・ケイジ
    メグ・ライアン

“黒色”が印象的なのがこの映画。
主人公のセス(N・ケイジ)は死者の魂を天国に導く役目を担っている天使。
天使というと、全身真っ白のガウン姿が目に浮かびますが、この映画の天使
はかなり個性的。
全身黒ずくめで清潔感もあまりなく、途中からこの映画を見たら、
「今度のN・ケイジの役はホームレスかな」と勘違いしてもおかしくないほど。

そんな彼がある日、医者マギー(M・ライアン)に出会い、恋に落ちてしまう
ところからストーリーは弾み始めます。
天使と人間の恋は御法度。思い悩んだ末、セスは永遠の命を犠牲にして
天使から人間になることを決意します。

それにしても、なぜこの映画の作り手は天使を黒ずくめにしてしまったので
しょう。
色彩心理学的には、黒は「感情を抑制し、防御的な心」を表す色。
人間にその存在を知られてはいけない天使としては、いつも身も心もガード
していなければなりません。その意味では天使に黒の衣装はピッタリと
いえるかも。
また、黒は「無、死」をイメージさせる色。死んだ人間の魂を天国へ導くのが
役目の天使には、やはり黒がお似合いといえます。
作り手の意図もそのあたりにあるのかもしれませんね。
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by kiyotayoki | 2004-08-23 16:02 | 映画(さ行)

『オズの魔法使い』(1939 米)

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原題:『THE WIZARD OF OZ』(102分)
監督:ヴィクター・フレミング
原作:ライマン・フランク・ボーム
出演:ジュディ・ガーランド
    レイ・ボルジャー(かかし)
    ジャック・ヘイリー(ブリキ男)
    バート・ラー(ライオン)

黄色というと、まず最初に思い出すのがこの映画です。
ここに載せるためにデータを調べてわかったんですが、この映画の日本公開年は作られてから15年も後の1954年なんですね。戦争の影響がこんなところにも表れているんだなあ。

ファンタジーのお手本のような映画で、主人公の少女ドロシー(J・ガーランド)は大竜巻に巻き上げられ、気絶している間に夢の国オズにたどり着きます。
(画面はオズの国に着いた途端に白黒からカラーに変化)
故郷のカンザスに帰りたいドロシーは、夢の国の人々にどうしたらいいか尋ねます。すると、エメラルドシティに住む大魔王オズに頼めばいいとの答え。
「この黄色いレンガの道をたどればエメラルドシティに行き着きますよ」
そう言われて、ドロシーは愛犬トトと意気揚々と旅に出ます。
黄色は《未来への希望や願望》を表す色。

黄色いレンカの道は、ドロシーにとっては自分を故郷へ連れて行ってくれる希望の道だったんですね。
   
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by kiyotayoki | 2004-08-23 11:04 | 映画(あ行)