映画の心理プロファイル

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『モンスターズ・インク』(2001 米)

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原題:『MONSTERS.INC.』(92分)
監督:ピート・ドクター
音楽:ランディ・ニューマンIf I Didn't Have You
声の出演:ジョン・グッドマン(石塚英彦)
       ビリー・クリスタル(田中裕二)
       メアリー・ギブス
       ジェームズ・コバーン
    
ディズニー&ピクサーが作った夢と遊び心いっぱいの大ヒットアニメです。
子どもにとって、自分の部屋の電気を消してベツドに入ってから眠りにつく
までの時間はまさに“逢魔が時”。オーバーに言えば人間界と魔界をつなぐ
吊り橋をふらふらしながら渡っているような気持ちになる時です。
それくらい子供にとって(子供でなくても)闇は不安と恐怖心をかきたてます。
“金しばり”にあうのも決まってこういう時ですしね。

ちなみに“金しばり”のことを心理学では
『入眠時幻覚(スリープ・オン・セット・レム)』といいます。
金しばりが起きるのは、だいたい寝入りばな。普通なら、意識のレベルが
落ちていく(眠りに落ちていく)のと同時に筋肉も弛緩していきます。
ところがたまに、例えば疲れがたまっている時などは意識のレベルが落ちそ
うで落ちない時があります。つまり半覚醒状態になるということ。なのに筋肉
は弛緩していく。つまり、半分目覚めているのに、体は動かない状態になるの
です。それに気づくと、途端に人は恐怖に襲われます。何しろ、体を動かそう
にも動かないのですから。その恐怖が時に幻覚を見せてしまったりするので
す。それが“金しばり”の正体。わかってしまうとちょっと味気ないですね。
でも、どんな幻覚を見るかは、その人のイマジネーション力にかかっています。
オリジナリティあふれる金しばり体験を味わった人は、想像力豊かな人と
言えるかも。

この作品の面白いところは、恐いめにあう子供ではなく、恐いめにあわせる
側、つまりモンスターの視点で描かれているところです。
子供部屋のクローゼットの向こう側に広がるモンスターたちの世界。
彼らは夜な夜なドアをギィィッと開けては子供たちを怖がらせているのですが、
実は彼らはモンスターズ・インク(モンスターズ株式会社)のれっきとした社員
なのです!
なぜ夜ごと怖がらせているのかといえば、子供達の悲鳴がモンスターシティ
の貴重なエネルギー源だから。面白い発想ですねえ。
もっと面白いのは、強面のモンスターたちが実は子供が大の苦手という点。
そんな彼らの世界に小さな女の子ブーが紛れ込んだことから、モンスター界は
とんでもないことに・・・・。
大人が見ても見応え十分。未見の方は是非!
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by kiyotayoki | 2004-09-30 09:37 | 映画(ま行)

『スパイダーマン』(2002 米)

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原題:『SPIDER-MAN』(121分)
監督:サム・ライミ
原作:スタン・リー
出演:トビー・マグワイアー
    ウィレム・デフォー
    キルステン・ダンスト
    ジェームズ・フランコ

失った“絆”を取り戻したいという思いは、この映画の主人公が一番強いの
かもしれません。

主人公ピーター(T・マグワイアー)は幼くして両親を亡くしていました。
幼いピーターは伯父夫婦に引き取られ、人一倍の愛情をそそがれて育てられ
たようです。そのせいでしょうか、ピーターは几帳面で内向的な男の子に育ち
ました。
 ※フロイトによれば、几帳面な性格は幼児期の排便のしつけに由来するとい
  います。いつでも好きなときに排便する快感を「しつけ」によって奪われると
  反抗心が生まれますが、幼さゆえにその反抗心は抑圧され、その反動と
  して几帳面な性格が形成されるというのです。

そんな性格のせいか、ピーターは小1の頃からずっと思い続けている隣家の
メリー・ジェーン(MJ:K・ダンスト)に恋を打ち明けることができないでいます。
失った絆の代わりに新たな絆を育みたいのに、それができないもどかしさ。

また性格とひ弱な体、そしてヘタに頭が良かったのが災いしたのか、高校でピ
ーターは恰好のいじめの対象になっていました。級友とも絆が築けない悲しさ。

ピーターの悲劇はまだ続きます。
遺伝子操作で生まれた特殊な蜘蛛に刺されたピーターは、無敵の肉体を手に
入れます。
MJの気を引くために車を買おうと決心したピーターは、その力を利用して
勝てば賞金3000ドルがもらえるというプロレス試合に参加。見事チャンピオン
を倒します。勇んで賞金をもらいに事務室へ。けれど、もらえた賞金はたった
100ドル。がっかりして事務室を出るピーター。
入れ替わりに侵入した強盗が事務所から逃走するのを、ピーターはわざと見
逃します。「ボクをだました罰だ。ざまあみろ」という気持ちだったのでしょう。
ところが、皮肉にもその強盗が逃走車を奪うため、ピーターを迎えに来た伯父
を拳銃で射殺してしまったのです。
あの時、自分が見逃さなければ伯父さんは殺されることはなかったのに・・・。
最後に伯父さんと話した時、
「大いなる力には大いなる責任がともなうんだぞ」と忠告してくれたのに、自分
は「父親ぶらないでくれよ!」とひどい言葉を返してしまった。
自分は伯父さんにつらい思い、哀しい思いをさせたまま死なせてしまった・・・。
ピーターは自分で自分を優しくつつんでくれていた大切な絆を断ち切ってしまっ
たのです。
津波のように襲ってくる後悔の念にピーターはただ耐えるしかありませんでした

ピーターがスパイダーマンとして世のため人のために生きる決意をしたのは、
その日からでした。伯父が遺した「大いなる力には大いなる責任がともなう」
という言葉を実践するため。そして、失った“絆”を取り戻すために。
ニューヨーク800万人の市民から“信頼”を得られれば、ひょっとしたら失った
ものを取り戻せるかもしれない。ピーターはきっとそう思ったのでしょう。
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by kiyotayoki | 2004-09-29 10:03 | 映画(さ行)

『八日目』(1996 ベルギー・仏)

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原題:『LE HUITIEME JOUR』(118分)
監督・脚本:ジャコ・ヴァン・ドルマン
出演:ダニエル・オートゥイユ
    パスカル・デュケンヌ
    ミュウ=ミュウ

人が求めて止まないのは「愛」というよりは「絆」なのだなと、改めて思わせて
くれる映画です。
考えてみると、母胎にいる間、人は母親と“へその緒”でつながっています。
ところが、生まれた途端、その絆は無慈悲(?)にも鋏でプツン。
人が人と物理的につながっているのはたった十月十日だけ。そのあとの長い
一生を、人はへその緒なしで生きていかなければならないのです。
人が絆を求めて止まないのは、そのせいかもしれません。

経営コンサルタントをしているアニー(D・オートゥイユ:この年のカンヌ映画祭で
男優賞受賞)は典型的な仕事人間で家庭は二の次。そのせいで妻は娘を連れ
て、お定まりの里帰り。
イライラしてワゴン車を飛ばすアニー。というのも、娘に誕生日のプレゼントを
渡したいのに妻が許してくれないから(このあたりは前回の『フォーリング・ダウン』と
同じ展開ですね)。電話でのやりとりを思い出すだけで怒りがこみあげてきます
が、アニーにも弱みが。仕事人間の悲しさで、誕生日当日は祝ってやることが
できないのです。せめてプレゼントだけでも先に届けよう。そう思って深夜、車で
家を出たのでした。
と、ドスン!とにぶい音。犬をはねてしまったのです。
そばには飼い主らしい若者が呆然と突っ立っています。その顔を見て、まとも
に会話は通じないと判断したアリーは、若者を家に送り届けることにします。
そう判断したのは若者が典型的なダウン症の顔をしていたからです。
若者の名はジョルジュ(P・デュケンヌ:カンヌで男優賞を同時受賞)。施設から
抜け出し、母親に会いに行くところでした。
やっと母親が住むという家にたどり着きドアを叩くと、出てきたのは見知らぬ男。
男は、ジョルジュの母親は4年前にすでに死んでおり、空き家になった家を自分
が買ったのだと告げます。

ジョルジュもアニーと同様に、家族との“絆”を断ち切られていたのです。
心に同じ空しさを持つ2人は、それぞれの絆を取り戻すべく、そして新しく生ま
れた絆を育みながら車で旅を続けます。

このお話の頭の部分で、経営コンサルタントのアニーが来場者に「セールスの
極意」を指南するシーンがあります。アニーによると、そのポイントは4つ。
①相手の目を見る
②笑顔
③自信に満ちた態度
④熱意を態度で伝える
これは、セールスだけでなく、恋愛にも使える心理法則です。
なぜ、これが効果的かといえば、相手との間に即席に“絆”を作り上げ、強める
(心理学風に言うなら「親和欲求」を高める)ことができるから。相手との間に
絆が生まれれば、セールスも恋も案外簡単に、そして思い通りに運べます。
アニーは絆づくりの極意を来場者に教えておきながら、実生活ではそれとは
相反する行動をとっていた。だから絆も寸断されてしまったんでしょうね。
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by kiyotayoki | 2004-09-28 09:09 | 映画(や行)

『フォーリング・ダウン』(1993 米)

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原題:『FALLING DOWN』(118分)
監督:ジョエル・シューマカー
出演:マイケル・ダグラス
    ロバート・デュヴァル
    レイチェル・ティコティン
    バーバラ・ハーシー

このところゲイの映画ばかり取り上げていて、そっちの趣味があると思われると
いけないので(まだ取り上げたい秀作はあるんですが)、今日は前回の
『フローレス』や『フォーン・ブース』と同じ監督が撮った作品のご紹介です。

「人は誰でも狂気を秘めている」
これは、ある精神科医の言葉です。
最近、理不尽な事件を耳にするたびに、この言葉を思い出します。
普段、私たちは狂気を心の奥底に押し込めて、正常を装いながら日常生活を
送っています。けれど、その狂気はちょっとしたことがきっかけで顔を出すこと
があるです。

このお話の主人公ビル(M・ダグラス)の場合もそうでした。
きっかけは“猛暑”と“交通渋滞”。遅々として進まない車の列。
いつもなら、グチをこぼしながらも我慢してハンドルを握り続けていたでしょう。
けれど、この日は違いました。怒りを爆発させたビルは後続の車が迷惑する
のもお構いなしに車をその場で乗り捨て、徒歩で目的の地へ向かいます。
目的地は別れた妻と娘の住む家。この日は娘の誕生日で、ビルはプレゼント
を届けようとしていたのです。
遅れる事情を妻に話そうと電話ボックスに入りますが、あいにく小銭がなく、
ビルは近くの食料品店へ。店主が両替はお断りというので、50セントのジュー
スを買っておつりをもらおうとすると、店主は横柄な態度で「うちは85セントだ」。
その言葉にまた怒り爆発(電話をかけるには25セント必要なんですね)。
店主の護身用のバットを奪い取ると、ビルはそれで店の陳列棚をぶち壊し、
1ドルをたたきつけレジから50セント取り出すと、
“どうだ、これで文句はないな”という顔で店主をねめつけて店をあとにします。

その後も万事この調子。自分の意にそわないことがある度にビルは怒りを
爆発させ、まわりのものを破壊していきます。そして、その度ごとに相手から
武器を奪取。その武器は、バットから始まって、ナイフ、マシンガン、ついには
バズーカ砲へとどんどんスケールアップ。つまり、どんどん社会にとって危険な
男になっていくのです。

話が進んでいくうちに、ビルという男の素性もわかってきます。
平凡なサラリーマンに見えたビルは、実は1ヶ月前に会社をクビになっており、
妻には逃げられ、危険なので子どもにも会わせてもらえないことなどなど。
ビルがぶちキレたのは、どうも今回が初めてではなかったようなんです。

ビルのように心が正常でなくなり、歪んでしまった人には、精神科医なら
『妄想性人格障害』という診断を下すことでしょう。
この人格障害の特徴は、猜疑心が強く人を信用しない。他人が自分をだます
のではないか、危害を加えるのではないか、といった妄想がいつも頭の中を
飛び交っている。一方で優越意識も強く、傲慢不遜なところも。
まさにビルがそうでした。
ひょっとしたらあなたの周りにも、この特徴を備えた人がいるかもしれませんね。
「人は誰でも狂気を秘めている」のですから、当然なのかもしれませんが・・・。

誰もが秘めている狂気。それが顔を出したとき、さてどうなるか・・・。
この映画はその恐怖を描いているのです。
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by kiyotayoki | 2004-09-27 11:12 | 映画(は行)

『フローレス』(1999 米)

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監督・脚本:ジョエル・シューマカー
出演:ロバート・デ・ニーロ
    フィリップ・シーモア・ホフマン
    バリー・ミラー

若い頃のゲイバー通いの体験から言うと、水商売で働くゲイの人たちは
大きく2つのグループに分けることができますね。
1つは“美形”グループ、もう1つは“キワモノ”グループ。
前者は、あくまでも美を追求する人たちで、おちゃめだけど気品もあるタイプ。
後者は、グロテスクなまでにおちゃめさと下品さを追求するタイプ。
(こんな風に決めつけちゃって大丈夫かしらん)
この映画に登場するゲイ(というよりドラッグ・クィーン)は後者のタイプです。

愛すべきブスなおカマちゃんを演じているのは、『コールド・マウンテン』でも
脇役でいい味を出していたフィリップ・S・ホフマン。この作品では、芸達者な
ロバート・デ・ニーロを食ってしまった感じがするほど。
お話は、超保守的な元警官ウォルト(R・D・ニーロ)とドラッグ・クィーンのラス
ティ(F・S・シーモア)との奇妙な友情を描いたヒューマン・ドラマです。

ごりごりの共和党支持者ウォルトは、アパートの階上で騒々しい音を立てる
おカマのラスティを心底毛嫌いしていました。
ある日、アパートにギャングが押し入る騒ぎがあり、警官の血が騒いだウォ
ルトは拳銃を取り出してギャングを追いますが、その途中で脳卒中を起こして
緊急入院するはめに。
退院後、医者に右半身マヒと言語障害を治すには歌の練習をするのが良い
と言われたウォルトは、恥を忍んで大嫌いなラスティの部屋に通うようになり
ます。
水と油のような2人ですから、レッスンは度々中断。何かというと衝突する2人。
そんな2人の間にいつしか奇妙な友情が芽生え始め・・・・。

誰にでも「生理的に嫌い」と感じる人が1人や2人はいるものです。
でも、だからってそういう人を敬遠してしまうのはちょっともったいないかも。

たしかにイヤな人と一緒にいるのは疲れますが、疲れるのは精神が緊張
してしまうせい。ても、緊張(ストレス)はだらけた心を活性させてくれると
いう効用もあるんですよ。
気心の知れた仲間とのつき合いは快いものですが、いつもそればかりでは
ぬるま湯につかっているようなものですから、心も体もふやけてしまいます。
一方、嫌いな人を前にすると、心が引き締まり、相手に負けたくないという
気持ちがわいてきますから、気力が充実し、やる気や向上心も高まります。
ウォルトのリハビリが進んだのも、毛嫌いしていたヤツにレッスンを受ける
緊張(ストレス)が良いほうに作用した結果ではないかと思われます。

さて、あなたには「生理的に嫌いな人」は何人ぐらいいますか?
「片方の手じゃすまない」という人は要注意。
あなたも嫌われている可能性が高いですから。
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by kiyotayoki | 2004-09-26 10:08 | 映画(は行)

『ベストフレンズ・ウェディング』(1997 米)

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原題:『MY BEST FRIEND'S WEDDING』(104分)
監督:P・J・ホーガン
出演:ジュリア・ロバーツ
    ダーモット・マローニー
    キャメロン・ディアス
    ルパート・エヴェレット

おかま(ゲイ)の人っていうと、「早口」「毒舌」というステレオタイプなイメージ
が勝手に出来上がっちゃってますが、この映画に登場するゲイの男性は
それとは正反対。物腰柔らかで優しく耳元て囁いてくれるようなタイプです。
あなたが女性で、ゲイの友人が持てるとしたら、さて、どちらを選ぶでしょうね。

ジュールス(J・ロバーツ)はニューヨークで働くシェフたちを戦々恐々とさせて
いる新進料理評論家。仕事が忙しくて恋は二の次。だから、変な気をつかわ
なくてすむゲイのジョージ(R・エヴェレット)はとても頼りになる、そして都合の
いい男友達でした。ジョージは彼女の本の担当編集者なのです。

そんな彼女にシカゴに住む元彼のマイケル(D・マローニー)から電話がかかっ
てきます。別れた後も親友(ベストフレンド)として連絡は取り合っていたし、
「28までお互い独身だったら結婚しよう」と約束していた相手だけに、28歳の
誕生日を3ヶ月後に控えたジュールスとしてみたら、心ときめく電話でした。
ところが電話の内容は、
「4日後に結婚する。不安で眠れないんだ。シカゴに来てくれない?」
というもの。
電話を切ってすぐジョージに電話したジュールスは彼にこう宣言します。
「シカゴへ行って彼を取り戻す。そして結婚するわ!」
ジュールスの心に『リアクタンス(心残り)』の心理が芽生えたんですね。
「逃がした魚は大きい」とよくいいますが、手を伸ばせば届くところにいると
思っていた彼が、急に手の届かないところに行ってしまうと、とても大切な
ものを失うような気がして、なんとしてでも取り戻したくなるのです。

意気込んでシカゴに乗り込んだジュールス。
でも、いきなりカウンターパンチをくらってしまいます。
マイケルと一緒に空港に迎えに来た婚約者のキム(C・ディアス)から
「嬉しい!お姉さんができたみたい。ねえ、私のブライド・メイド(付添人)を
お願いしていいかしら。あなたに私の新しい親友になって欲しいの」
と、懇願されてしまったのです。
恋人を奪い返しに来たのに、なんと2人を祝福する役をあてがわれてしまった
わけです。

まあ、ジュールスは自ら不利な立場に自分を置いてしまったんですから、
仕方のない展開だったのかも。
『ホームグラウンド効果』というのをご存じでしょうか。
これは、「自分のならばりなら心理的に優位に立てる」という心理法則です。
野球でもサッカーでもホームグラウンドで闘ったほうが勝率かいいもの。
それは、なじみの場所だけに、相手より心理的に優位に立てるからです。
恋を自分のペースで運びたいのなら、初めての店より、行きつけの店を選ぶ
べし。これは恋の心理法則でもあります。
なのにジュールスは、敵地であるシカゴへ乗り込んでしまったのです。
味方は、ゲイの友人ジョージだけ。
さて、このハンディキャップを乗り越えてジュールスは、大金持ちの令嬢で、
年齢も20歳そこそこの若いピチピチ娘から元彼を取り戻すことはできるので
しょうか。

 ※なお、この映画で心優しきゲイを演じているルパート・エヴェレットは、実
  生活でも自分がゲイであることをカミングアウトしているんだそうです。  
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by kiyotayoki | 2004-09-25 08:59 | 映画(は行)

『プリシラ』(1994 豪)

原題:『THE ADVENTURES OF PRICILLA . QUEEN OF THE DESERT』
   (103分)
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監督:ステファン・エリオット
出演:テレンス・スタンプ
    ヒューゴ・ウィーヴィング
    ガイ・ピアーズ
    ビル・ハンター

真夏のオーストラリア・シドニーで毎年開催されるお祭りがあります。
『マルディグラ』というゲイとレズビアンの祭典がそれ。
はではでメイクときらびやかな衣装の集団がお色気と芳香をふりまきながら
街を闊歩するんですから、これは見もの。

この映画の主役も『マルディグラ』に出たらひときわ目立ちそうな3人のドラッグ
クィーン。夜ごとド派手なステージで観客を沸かせている3人ですが、化粧を
落とせば生身の人間。それぞれに人生があり悩み・苦しみを抱えています。

お話は、バイセクシャルのミッチ(『マトリックス』のエージェント・スミス役、H・ウ
ィーヴィング!!)に1本の電話がかかってくるところから始まります。
電話の主は元妻。元妻はオーストラリア大陸の真ん中あたりにある町アリス
スプリングスのホテルでマネージメントの仕事をしていて、そのホテルで
ショーをしてくれないかと依頼してきたのです。

ある思いを秘めて仕事をOKしたミッチは、恋人を亡くしたばかりのベルナデッド
(『コレクター』のT・スタンプ!!当時55歳!)とステージの相方フェリシア
(『メメント』のG・ピアーズ!!)を誘って、中古のバスで旅に出ます。
目的地までの距離3千余キロ。さすがにオーストラリアは広い!
その旅で、3人は様々な出会い、別れ、挫折を経験します。けれど、決して
日本映画のように陰湿にならないのは、途中でピンクに塗り替えられたバス
に象徴されるようにスクリーンがカラフルに彩られているからでしょうか。
それとも、彼女たちの歌と踊りに日陰を日向に変えるパワーがあるから?

この作品に限らず、『性同一性障害』を扱った作品には人を惹きつける何か
があります。なぜ魅力を感じるのでしょう。
その要因のひとつは、誰もが持つ『変身願望』を刺激するところにあるのかも。
フロイトと並ぶ深層心理学の大家ユングは、
「人は誰でもペルソナ(仮面)をつけて暮らしている」といいます。
『ペルソナ』とは、簡単に言えば、生きるのに都合がいいように自分でつくり上
げた『外面(そとづら)』のこと。
自分でつくり上げたものなのに、それが顔に貼り付いて取れなくなっちゃうと
息苦しくなります。人間、たまには別のペルソナをつけたくなるのです。
それを一時的に可能にしてくれるのが“化粧”です。
個人的な思い出ですが、20代の頃、お祭りに参加するのに派手なメイクを
してもらったことがあります。最初は気恥ずかしかったんですが、そのメイクの
おかげで普段の自分では考えられないくらい大はしゃぎしたことを覚えてい
ます。そして、鏡に映る変身した自分の顔を見てうっとりしたことも・・・(' ';)。
そういう経験は、化粧経験豊富な女性なら誰もがしていることでしょう。
見た目が変わると、人間って気持ちも変わるもの。
化粧をすることで、心の中に抑圧していた何かが表に出てくるのです。
ってことは、自分がどんな感情を抑圧しているか知りたければ、化粧をすれば
いいってことかな(コスプレもいいかも)。

“彼女”たちは、ド派手なメイクと衣装を身につけることによって、抑圧していた
ものを大放出できている。そういう彼女たちを見ていると、カタルシスを覚えるし、
なんだかうらやましくもなっちゃうんでしょうね。
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by kiyotayoki | 2004-09-24 09:32 | 映画(は行)

『リトル★ニッキー』(2000 米)

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原題:『LITTLE NICKY』(93分)
出演:アダム・サンドラー
    ハーヴェイ・カイテル
    パトリシア・アークエット
    リス・アイファンズ
    トム・“タイニー”リスターJr
    クエンティン・タランティーノ
    オジー・オズボーン

アメリカでは人気者らしいアダム・サンドラー主演のおバカ映画です。
この役者さんが演じるのは、だいたいいつも“気弱ないじけ虫”。
この作品にも懲りずに同じキャラで登場します。

今度の役は、地獄を支配する大王サタンの三男坊ニッキー(人間じゃない分、
ちょっと新鮮?)。三男坊とはいえ、サタンの息子ですから凶暴なヤツかと
思いきや、2人の兄にいじめられ続けている超いじけ虫。
その上、兄にシャベルで殴られて顔が歪んだせいで、自分の容姿にコンプレ
ックスを抱いているという設定(いつもと同じになってきたぞ)。
一方、長男のエイドリアン(R・アイファンズ)は、さすがサタンの息子らしく
悪知恵の働く冷血漢。次男カシアス(T・リスターJr)は頭の足りないマッチョ
マン。

そんな3人がパパサタン(H・カイテル!)に呼び出されます。
在位して1万年になるので、次の1万年、この地獄を誰が治めるかを決める
というのです。
ところが、いじけ虫のニッキーは最初から逃げ腰。
「どうせ選ばれっこない。地獄の大王はジョージ・クルーニーみたいにかっこよく
なくっちゃ。なのにボクはこんな顔だもん。それに兄貴たちの母さんはドラゴン
なのに、ボクの母さんはヤギだって兄貴たちが言ってたし・・・」

心理学では、こういうのを『自己ハンディキャッピング』と言います。
失敗した(選ばれなかった)時に備えて、それは自分の技量や意欲などの
内的原因によるのではなく、外見や経験不足などの外的原因のせいだと
予防線を張る心理をそう言うのです。
こうした“言い訳”をしたがる人は、だいたい“自己評価の低い”人。

本人は、言い訳をすることで体裁を取り繕えると思っているんですが、
それを聞くほうは「また言い訳しやがって」と不快に思うだけ。
つまり、『自己ハンディキャッピング』は、すればするほど周りからはダメ人間
の烙印を押されてしまうということ。
何かにトライする前に「今日は寝不足でさあ」とか「長らくやってないからなあ」
と言い訳しがちな人はご用心くださいまし。

さて、お話のほうは、「次の1万年、この地獄を支配するのは・・・・」のあとで
パパサタンが「それはまた私だ」とおちゃめに宣言してしまったおかげで、
上の兄弟2人が怒り出し、父親に反旗をひるがえしたために大変なことに!
「じゃあ、俺らは俺らで地上に別の地獄を造ってやらあ!」と飛び出して
行ってしまったのです。
そのショックでパパサタンは体が溶けていく病気にかかってしまいます。
頼みは、いじけ虫の三男ニッキーだけ。
さあ、ニッキーは地上の地獄化計画を阻止することができるでしょうか?!! 
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by kiyotayoki | 2004-09-23 09:57 | 映画(ら行)

『ホワイト・オランダー』(2002 米)

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原題:『WHITE OLEANDER』(109分)
監督:ピーター・コズミンスキー
原作:ジャネット・フィッチ(『扉』)
出演:アリソン・ローマン
    ミシェル・ファイファー
    レラー・ゼルウィガー

アストリッドという名の少女(A・ローマン)が強い母親(M・ファイファー)から
いかに自立したかを描いたヒューマンドラマ。
母一人子一人という家族形態はアメリカじゃありがちなんでしょうね。それだけ
に感情移入する人も多かったんでしょう、原作は全米でベストセラーになった
そうです。

アストリッド役のアリソン・ローマン(当時23歳)は、『マッチスティック・メン』
(2003)でもティーン・エイジャーを演じていましたが、この作品でも15歳の
役。幼顔が売りの女優さんなんでしょうか。

父親という存在を知らずに育ったアストリッドにとっては、美しいけれど独善的
で支配的な母親だけが世界のすべてでした。
タイトルの『ホワイト・オランダー』は白い夾竹桃という花の名。それは美しく
あるために毒を放つ花なのだそう。つまり、ホワイト・オランダーには母親
イングリッドの姿が投影されているんですね。
そのイングリッドが、ある日突然、殺人容疑で逮捕されてしまいます。
青天の霹靂。
その日から、未成年のアストリッドは里親の家を転々とすることになります。
転々しとしたのは、何もアストリッドがワガママだったからではありません。
どの里親も、終身刑で刑務所に収監された母イングリッドのお眼鏡にかなわな
かったから。
刑務所に入っからも、母は娘の人生をコントロールしていたのです。
娘の幸せを願う母ならば、陰ながら里親の家に根づくサポートをしてくれても
いいはずなのに、イングリッドがするのは邪魔ばかり。
なぜ?

母親から見た娘は可能性の塊です。娘は日々美しくなっていく。それにひき
かえ自分は歳をとるばかり、衰えていくばかり。だから母親は娘に嫉妬しや
すいのです。
アメリカの精神科医コーエンによると、母親の娘への嫉妬は次のような形で
現れるといいます。
●娘の自由を束縛し、自主性を摘み取る
●長所をほめず、欠点ばかり指摘する
●男は警戒すべきと教える
●職業的に自立できる教育を受けさせたがらない

「あんたのためなのよ」と口ではいいながら、実のところは娘を自分がいない
と何もできない操り人形に仕立てていくのです。
このような母親に育てられた娘は、引っ込み思案で依存心が強く、社会的な
成功を望まない性格になるといいます。
実際、アストリッドもそうでした。

この記事を読んでくださっている女性の方の中にも、母親の嫉妬を感じたこと
のある人(あるいは娘に嫉妬した人)って案外多いのかもしれませんね。
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by kiyotayoki | 2004-09-22 07:32 | 映画(は行)

『パイレーツ・オブ・カリビアン』(2003 米)

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原題:『PIRATES OF CARIBBEAN』(143分)
監督:ゴア・ヴァービンスキー
製作:ジェリー・ブラッカイマー
出演:ジョニー・デップ
    オーランド・ブルーム
    キーラ・ナイトレイ
    ジェフリー・ラッシュ

言わずと知れた2003年の大ヒットムービーです。

17世紀、カリブ海では大海原を我がもの顔に荒らし回る海賊たちと、それを
取り締まるイギリス海軍とが日々刃や砲火を交え、火花を散らしていました。

総督の娘エリザベスは取り締まる体制側にいながら、海賊に憧れを抱く
少女。貴族の娘としてカゴの鳥同然に育った少女の目には海賊は自由の
象徴のように映っていたのかもしれません。

父とイギリス海軍の戦艦に乗っていた幼き日のエリザベスは、洋上を漂う
板きれの上に少年の姿を発見します。
助け上げられた少年の胸にはドクロマークの入った黄金のコインがぶら下
がっていました。それを見つけたエリザベスは咄嗟に隠してしまいます。
ドクロは海賊のマーク。ならばこの少年は海賊の仲間に違いない。それが
大人たちにわかったら彼の命が危ない!そう直感したからです。

以来、大人になった今日まで、エリザベス(K・ナイトレイ)はそのコインをためつ
すがめつ大切に保管していました。
そして、今は成長して鍛冶屋になっている若者ウィル(O・ブルーム)にはずっと
密かに思いを寄せ続けていました。
だから、総督である父親が提督昇進の決まっている海軍将校を結婚相手にと
奨めても、首を縦にふることはありませんでした。

『ハロー(後光)効果』という心理用語をご存じでしょうか。
美人は、外見が素敵なたけでなく、性格もいいに違いないと思われがちです。
また、高学歴の人は、知能が高いだけでなく、生活力も将来性もあると思われ
がち。
このように、その人のある特徴的な一面の印象が強すぎる(まぶしく輝いている)
と、それに幻惑されて他の面もみな同様に輝いていると判断する傾向が人には
あるのです。
当時の並の女性なら、提督に昇進する海軍将校と聞けば、それだけでハロー
効果が働いて、その人のすべてが素敵に見え、恋心を燃やしたことでしょう。
けれど、エリザベスはそうじゃなかった。
海賊=自由に憧れるエリザベスにとっては、高貴な身分は不自由の象徴。
だからハロー効果はまるで効きません(ハロー効果はマイナスにも働くので、
マイナス方向にはとてもよく効いていたと言えますが)。
エリザベスの目にまぶしく映っていたのは、ドクロのメダル。そしてそれを身に
つけていたウィルでした。だから、大して会話を交わしたこともなかったウィルに
恋心を燃やし続けてこれたんですね。

お話は、そのメダルを中心に転がり始めます。
メダルを奪おうとするキャプテン・バルボッサ(J・ラッシュ)率いる呪われた海賊
たちにエリザベスは連れ去られます。エリザベスに恋心を抱いていたウィルは、
彼女を助け出すため一匹狼の海賊ジャック・スパロウ(J・デップ)と手を組み
海賊船のあとを追います。
さて、2人は無事エリザベスを救出できるのか。なぜ海賊たちはメダルを欲しが
ったのか。一匹狼のジャックはなぜウィルに協力する気になったのか。
そして2人の恋は成就するのか・・・、と様々な興味で見る者の心をわし掴みに
しつつ物語は展開していきます。

この映画、続編が作られる予定のようですが、そうなるとちょっと気がかりなこと
が。エリザベスはハロー効果でウィルに恋をしています。ウィルのすべてが輝い
て見えているわけ。でも実はウィルのことをほとんど何も知らないんですね。
実際、つき合ってみたらどうなるか。
エリザベスには海賊=自由という思い込みがあります。
でも実は、ウィルは父親が海賊であっただけで、本人は海賊とは無縁の人。
一方、ジャックはれっきとした海賊です。
ウィルと実際つき合ってみてエリザベスが幻滅を感じた場合、今度はジャックに
対してハロー効果が効きだすことは十分に考えられます。
さて、続編での恋の行方は如何に。
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by kiyotayoki | 2004-09-20 14:36 | 映画(は行)