映画の心理プロファイル

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『ソウ』(2004 米)

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原題:『SAW』(103分)
監督:ジェームズ・ワン
脚本:リー・ワネル
出演:ケイリー・エルウェズ
    ダニー・グローヴァー
    モニカ・ポッター
    リー・ワネル

映画のオープニングは、いわば家の玄関。
どんな造りかで家全体の印象も随分違ってきます。
その意味では、この映画の玄関の扉は、デザインは意外性があっていいんだけど、建て付けにちょっと問題があったかな~と正直思ってしまいました。

     ※ネタバレしている箇所があるのでご用心くださいまし^^;。

脚本も兼ねているリー・ワネル扮するアダムは、バスタブに張られた水の中で目を覚まします。く、苦しいッ。慌てて跳ね起き、バスタブから這い出すアダム。
その際、もがいた拍子に足でバスタブの栓を抜いてしまい、そのせいで何かが排水口に吸い込まれてしまいます。
それがきっと後で重要な意味を持つことを観客に匂わせる、味のある演出です。
それはいい。だけどパニくっていたアダムには何かが排水口に吸い込まれたなんて気づく余裕はなかったはず。これが後で問題になります。
第一、なぜ意識を失っている人間が水中で目を覚ますのか・・・。
考えられるのは、最初は肩から上は水の上に出ていたのに、眠っている間にずり落ちてしまったという可能性。
だけど、それは後で考えたことで、映画を見てる時は水中のアダムの顔が息を止めてるようにしか見えなかった(演技力の問題?)ので、え?んん~ッ?

もし、アダムが気絶している間に水中に没することなく自然に目を覚ましていたら、バスタブの栓を抜いてしまうこともなかったでしょう。
となると、重要な“ある物”も排水口に吸い込まれることもなかったでしょうし、その“ある物”は暗闇ではとても目立つものだったので、アダムぐにその存在に気づいたはず。となると、後の展開は随分と違ったものになったことでしょうに・・・。
頭のいい犯人が果たしてそんな危険な物をバスタブに入れておくか?
そう考えると、お話自体が成立しづらくなってかなりヤバイ感じ(^^;)。 
       

その直後、自分の足が鎖につながれていることを知ってますますパニくるアダムに、闇の中から冷静・冷徹な声が響いてきます。
声の主は誘拐犯?
と思いきや、実はその声の主もアダム同様に足を鎖につながれて、この広くて古いバスルームに閉じ込められている男だということがわかります。
男はゴードン(C・エルウェズ)という名の外科医。冷静さが要求される外科医だから暗闇に閉じ込められていても冷静でいられたんだろうか。あとでそう思いもしましたが、闇の向こうで誰とも知れない人間のわめき散らす声を聞いて果たしてあれほど冷静でいられるだろうか・・・というのが見ている時の感想でした。
しかも、それほど沈着冷静ならば暗闇の中でボウッと光る「×」の文字が、この時点で目に入っていたであろうに・・・(こんなこと書いても、この映画を見た人じゃないと理解できないと思いますが)。

本来なら、こんな重箱の隅をつつくような見方はしたくないタチなのに、オープニングでいきなり違和感を味わったために、どんどん斜に構えて見るようになっちゃった自分が恨めしかったな。
この作品を観た夜は疲れていて神経が高ぶっていたので、人の心理を無視した登場人物たちのちょっとした行動(というか脚本)が気にさわってしまったのかも・・・。

・・・と、出会い頭はちよっと違和感を覚えたものの、ストーリー自体はすこぶるスリリングで、前半はあの秀作『CUBE』のような雰囲気を漂わせ、中盤からは謎の連続猟奇殺人鬼“ジグソウ”をめぐってサスペンスフルに展開していきますから、息をつく暇もないほど。
それだけに出だしが惜しかったなあ・・・そう思います。


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by kiyotayoki | 2005-04-29 12:09 | 映画(さ行)

『インファナル・アフェア 無間序曲』(2003 香港)

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原題:『INFERNAL AFFAIRS Ⅱ』(119分)
監督:アンドリュー・ラウ
    アラン・マック
脚本:アラン・マック
    フェリックス・チャン
出演:エディソン・チャン
    ショーン・ユー
    アンソニー・ウォン
    エリック・ツァン
    カリーナ・ラウ
    フランシス・ン
    チャップマン・トウ
    フー・ジュン 

オープニングからやってくれますね、この映画。
前作からさかのぼること約10年。警察署のとある部屋で、アンソニー・ウォン
扮するウォン警部が誰かを前に自分の新人時代の話を語って聞かせていま
す。誰に向かって話をしているんだろう・・・そんなちょっとした疑問がこちらに
浮かんだところを見計らったかようにカメラが引き始めます。
すると・・・。
ズン!という薄い衝撃音と共に画面に映り込んできたのは、机に広げたテイク
アウトの中華料理をがっつく丸っこい体のサム(E・ツァン)の姿。
「Ⅰ」を観た人ならここで軽いデジャ・ヴ体験をするはず。
「あれ、この風景どこかで見たぞ」
そう、「Ⅰ」でも似たシーンがあったんです。違うのは、サムの髪の毛が黒々と
していて、笑顔に屈託がないこと。
10年前のサムってあんな太々しい男じゃなかったんだ・・・そう思った時には
もうお話の世界に引き込まれているという次第。

お話は、『ゴッドファーザーPARTⅡ』と同じように過去にさかのぼります。
時代的には、1991年から、香港が中国に返還される1997年7月まで。
香港の人々が大きな不安とたぶん小さな期待に心を激しく揺らした時代で
す。
その時代は、香港の黒社会でも激震が起きていたのだ、という設定。
最初の激震は1991年。黒社会の大ボス・クアンが暗殺されたのです。
金と欲だけで結びついていた組織は早くもほころび始めます。幹部4人が
造反を目論んだのです。ただひとりサムだけは静観の構えを崩していません
でしたが・・・。
彼らの造反を阻止したのはクアンの息子ハウ(F・ン)でした。
インテリでひ弱そうに見えたハウは案外したたかで、4人の弱みをちゃんと握
っており、アメとムチで彼らの動きを封じ込んでしまいます。
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2人の若者、若き日のラウ(E・チャン)とヤン(S・ユー)が互いの組織に潜入したのはそんな時代だったのかぁ、と腑に落ちる展開。
2人がなぜそんな不安定な立場に身をおくことになったのか・・・、心の屈折の理由もここで明らかに。
また、なぜラウが真空管式のアンプにこだわったのか、なぜマリーという名の女性を恋人にすることになるのか、そして、なぜヤンは10年もの長きに渡って仮面をかぶって黒社会で曲がりな
りにも生きてこれたのか・・・それらの疑問にも次々に回答が出されます。
観ている私たちにこれでもかってほどカタルシスを味わわせてくれるわけです。
そして最後には、人間の業の深さに思い切りため息をついてもらおう・・・そんな作り手の意図にまんまとハマってしまうという仕掛け。うまいな~。

しかし、この「Ⅱ」の真の主役は若い2人ではなく、黒社会の撲滅に執念を燃
やすウォン警部と、まだ大ボス・クアンの忠実な部下だった頃のサムの2人
でしょう。
特に、気のいい太っちょサムがいかにして黒社会の冷酷なボスにのし上がっ
ていくかはこの作品の大きな見所。
「アナキン・スカイウォーカーがいかにしてダース・ベイダーになるか」と同じく
らい興味津々で見入ってしまいました。
そこで、サムの女房マリー(C・ラウ)が“極道の妻”か“毒婦”のごとき役回り
を演じるとは思いもよりませんでしたが・・・。

いやあ、これはもう「Ⅲ」を観に映画館へ行くっきゃないですね。

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by kiyotayoki | 2005-04-27 16:05 | 映画(あ行)

『インファナル・アフェア』(2002 香港)

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原題:『INFERNAL AFFAIRS 無間道』(102分)
監督:アンドリュー・ラウ
    アラン・マック
脚本:アラン・マック
    フェリックス・チョン
音楽:コンフォート・チャン
出演:アンディ・ラウ
    トニー・レオン
    アンソニー・ウォン
    エリック・ツァン
    ケリー・チャン

この映画で、トニー・レオンが演じる潜入捜査官を見ていて“やさぐれ”という
言葉が頭に浮かびました。
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警察学校でその才能を見出され潜入捜査官となったヤン
は、もう10年も暗黒街に身を置いているせいか自らの
アイデンティティを見失いかけている男。
それも当然かもしれません。なにせ彼が警官だと知ってい
るのは直属の上司であるウォン警視(A・ウォン)しかいないのですから。
彼を知っている10人中10人が「ヤンは麻薬組織のボス、サム(E・ツァン)の
片腕」と答えるでしょう。そんな中で自分を見失わずに生きるのは至難の業。
多少“やさぐれ”てしまうのは仕方のないこと。
・・・と、ここまで書いて、ふと考え込んでしまいました。
安易に使ってる“やさぐれ”って言葉、ちゃんとわかって使ってるんだろーか。
“やさぐれ”の「やさ」って“やさおとこ(優男)”の「やさ」だっけ?

調べてみたら、いやぁ調べてみるもんですね。
“やさぐれ”の「やさ」は、なんと「さや(鞘)」が反転した言葉で「家」のこと。
「ぐれ」は「外れる」こと。で、かつては「家出すること」「家出人」のことを“やさぐ
れ”と言っていたのだとか。それが転じて、「投げやりな様子」を言うようになっ
たらしいんですね。うーむ。
まあ、ヤンには帰るべき家がないという意味では“やさぐれ”という言葉は
やはり彼にふさわしいのかも・・・。
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一方、高倉健と松尾伴内を足して2で割ったような顔をしてい
るアンディ・ラウが演じるラウは、逆にボスのサムの命令で
警察への潜入を命じられ、10年の間に出世して組織犯罪課
の係長にまでなっている男。
勤務成績も抜群で、上司からの信任も厚く、エリート街道まっしぐら。
プライベートも充実していて、相思相愛の恋人もいる。
荒んだ心を癒すためカウンセリングに通っている“やさぐれヤン”とは大違い。
でも、やっていることはヤンと同じ。内通が彼の役目なのです。

そんな2人が、それぞれの存在に気づく時がやってきます。
ある麻薬取引とその摘発騒動が原因で、麻薬組織と警察のどちらにも内通者
がいることが明らかになったから。
その後のスリリングな展開、シャープな絵づくりは、さすがに各ブログサイトで
高い評価を得ているだけはあるなとうなってしまう出来の良さ。
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クールでしかも部下思いの警視を演じた
アンソニー・ウォンと、ふてぶてしい悪の総帥
を演じたエリック・ツァンもいい味出していまし
た。
これは、Ⅱ、Ⅲを観ないわけにはいかないでしょう。




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by kiyotayoki | 2005-04-25 23:25 | 映画(あ行)

『ガルシアの首』(1974 米)

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原題:『BRING ME THE HEAD OF ALFREDO GARCIA』
     (112分)
監督:サム・ペキンパー
原作:フランク・コワルスキー
脚本:サム・ペキンパー、ゴードン・ドーソン
出演:ウォーレン・オーツ
    イゼラ・ヴェガ
    ギグ・ヤング
    ロバート・ウェッバー
    エミリオ・フェルナンデス
    クリス・クリストファーソン

正直言って、これ、公開当時に観た時の自分の中での評価は5段階評価で2つ星くらいの作品でした。主人公があまりにも惨めなヤツで共感しにくかったからです。
でも、今回見直してみて評価が4つ星ぐらいに変わってしまいました。
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変わった理由は、やはり観るこちら側が監督や主演のウォーレン・オーツと同年代になったことが一番大きいのかな。主人公の惨めさは、男のロマンの行き着く先のひとつの姿だってことが実感できる歳になっちゃったというか・・・(^^;)。

全編に埃と汗、そして死臭までがまとわりつくこの作品の発端は、メキシコの大地主が愛娘を妊娠させた男ガルシアの首に100万ドルの賞金をかけたことでした。
その懸賞金目当てに無数の男達がメキシコ各地に散ります。
そのひと組が、とある酒場に聞き込みに訪れたことから、主人公との接点が生まれるのです。
主人公のベニーはその酒場のしがないピアノ弾き。どうやらアメリカで食い詰めて、流れ流されてこの店にやっとひっかかったという感じ。ベニーが暗い部屋でもサングラスを外したがらないのは、そんな惨めな自分の過去を覆い隠したいためなのかも。
それにしても、そのサングラスのイケてないこと!
レンズはレイバン風なのに、プラスチックの枠が四角いもんだから妙に大きくて、もう少し枠の色が明るかったらまるでオバサンメガネ。
そのイケてなさが男の惨めさを余計に醸し出してる感じ。

聞き込みに来た男たちには知らぬ存ぜぬで通したベニーでしたが、実はガルシアを知っていたのです。というのも、ガルシアは彼の情婦エリータの元の男だったから。

エリータ(I・ヴェガ)からガルシアが交通事故にあって既にこの世にいないことを知ったベニーは内心ほくそ笑みます。聞き込みに来た男達はガルシアの首だけでも1万ドル(当初は千ドル)払うと言っていた。1万ドルあればこのはき溜めから這い出せる。
1万ドルあれば、どん詰まりの自分の人生にもうひと花咲かせることだってできる。墓を掘りさえすれば1万ドル。こんなうまい話を逃す手はない。
ベニーは、いやがるエリータを説得、ポンコツの赤いシボレー・インパラのコンバーチブルにギターとバスケットいっぱいの食料を詰め込んで、まるでハネムーン気分で町を出ます。見張りの男2人が後をつけてきているとも知らずに・・・。

こうして人生を諦めかけていたやさぐれ男の再起をかけた命がけの戦いが始まることになるんですが、途中で挿入される中年男ベニーと女の盛りを過ぎたエリータとの愛の語らいは、後がない2人だけに切なくて泣かせます。
「金ができたらどこへ行きたい?」
「私、またグアナファトへ行ってみたい。すごく素敵な街だったし」
「ふうん、誰と行ったんだい」
「・・・・」
昔の思い出話になると、こうやって会話はすぐに途切れてしまいます。
もちろん過去を封印しているベニーの口からは思い出話は一切出てきません。『自己開示』できない2人に過去はないのです。
かといって未来はもっとあやふや。
なんとかあるのは今だけ。それを共有するしかない2人なのでした。
けれどその今も突然、暴力的に奪われてしまいます。

傷心のベニーにのこされたのは、蠅がうるさくたかる腐ったガルシアの首と男の意地だけ。このあたりからお話は一気にペキンパー色が強まります。
なにせ“男の意地の爆発と暴走”こそペキンパー映画の真骨頂ですものね。
さて、その行き着く先は・・・

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Warren Oates(1928~1982)
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by kiyotayoki | 2005-04-24 15:48 | 映画(か行)

『1941』(1979 米)

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原題:『1941』(118分)
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ロバート・ゼメキス
    ボブ・ゲイル
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:ジョン・ベルーシ
ダン・エイクロイド
    ネッド・ビーティー
    三船敏郎
    クリストファー・リー
    ロバート・スタック
    ナンシー・アレン
    ウォーレン・オーツ
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象つながりで思い出した映画をご紹介。70年代初頭に頭角を現したスピルバーグが『未知との遭遇』(1977)に続いて世に送り出したコメディ大作です。ちまたでは失敗作と言われているようですが、なんのなんの、コメディ的要素満載、若手&手練れの出演者大熱演の楽しい作品です。
登場する象は、象は象でもアニメの象。象界の出世頭、ピッグネームの「ダンボ」くんです。
この映画の時代設定は1941年。実は、ディズニーアニメ『ダンボ』の米国での公開年も1941年なんですね。
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公開中の劇場へやってきて『ダンボ』を鑑賞するのはロバート・スタック扮するスティルウェル大佐。母親象と引き離されてしまうダンボを見て、強面で知られる大佐の目から涙がポロリ。
どうやら大佐、この映画を何度も見に来てはハンカチを涙で濡らしている模様。
ひょっとすると、大佐も似たような生い立ちなのかも。だから余計ダンボに共感しちゃったのかな。しかも、この人は空軍大佐。空を飛ぶ夢を実現させたダンボを自分と同一視して強い一体感を覚えたのでしょう。

いきなり『ジョーズ』のパロディで始まるこのお話の舞台は、日本が真珠湾攻撃した直後の米国本土・西海岸。
街では日本軍が今度は本土を攻めてくるのではないかといったデマが飛び交い、集団ヒステリー状態。そこへ本当に日本軍の潜水艦がやってきたものだから、混乱状態に一気に拍車がかかってしまいます。
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ヒステリー状態の市民を、ますます混乱の渦に巻き込むのは当時売り出し中のジョン・ベルーシとダン・エイクロイド。

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日本の潜水艦の艦長には国際スタアの三船敏郎。それに同行している独軍参謀には、これまた国際スタアのクリストファー・リー。2人とも生真面目にギャグかましてくれます。
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お色気面を一手に引き受けているのは、ナンシー・アレン。
脇役陣も多彩で、日本軍潜水艦にひとりで立ち向かい、結局マイホームを自分で崩壊させてしまう愛国おじさんにネッド・ビーティー。
日本兵に拉致されながらも、潜水艦内を混乱に陥れるとぼけたおっさんには『博士の異常な愛情』同様テンガロンハットでキメてるスリム・ピケンズ。
その他にも、この頃は主役も張っていた個性派ウォーレン・オーツやおデブのジョン・キャンディ。見つけられなかったけどミッキー・ロークも出てるらしい。
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この映画の笑いが“爆笑”になりにくいのは、型にはまり過ぎているせいなのかも。ま、しかし、それまでのスピルバーグにはないコメディセンスは、新進脚本家としてこの映画に参加したロバート・ゼメキスの才能が寄与しているみたいですね。
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by kiyotayoki | 2005-04-23 19:17 | 映画(あ行)

『脱走山脈』(1968 英)

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原題:『HANNIBAL BROOKS』(102分)
監督:マイケル・ウィナー
脚本:ディック・クレメンス、イアン・ラ・フレネ
出演:オリヴァー・リード
    マイケル・J・ポラード
    ペーター・カルステン

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20日にソウルであった象の脱走騒ぎ
のニュースを見て、すぐにこの映画を
思い出してしまいました。
ドイツ軍の捕虜となっていたイギリス兵が動物園の象と一緒に
アルプス越えをしてスイスへと脱走を図る異色の戦争映画です。

原題からもわかるように、古代カルタゴの将軍ハンニバルが
ローマ軍に奇襲をかけるべく4万の兵と38頭の象を引き連れて
行ったアルプス越えの故事にヒントを得たような作品。
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主人公のブルックスを演じるのは、『グラディエーター』(2000)撮影中に
惜しくも心臓発作で亡くなった野獣系の怪優オリヴァー・リード(当時29歳)。
でも、この映画では暴力を嫌う心優しい男を自然体で演じています。
そんな彼に与えられた仕事は、動物園の雌象ルーシーの飼育係。

ところが友軍の爆撃で動物園が崩壊。ブルックスは生き残ったルーシーを
オーストリアに避難させるよう命じられます。それはブルックスにしてみれば願っても
ないこと。これでルーシーは命を長らえることができる。
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しかし見張り役のドイツ兵はそうは考えていなかった。
足手まといは即、殺すべきだ。
実際、彼はそれを実行しようとします。
それを阻止するため、ブルックスはやむなくドイツ兵を射殺。
こうしてブルックスの、象を連れた逃避行が始まるのです。

人ひとりでさえ敵地から脱走するのは難しいのに、馬鹿でかい
象を連れてどうやって逃げるのか。
彼が選んだのは、人目につきにくい山越えでのスイスへの脱出でした。
けれど、ただの山じゃない。眼前にあるのは険しいアルプスの山々です。
さて、ブルックスとルーシーは見事、山越えの脱出に成功するでしょうか・・・。

不可能にも思えるこの脱出行。唯一の救いは、人間の目はカメラと違って
あるはずがないと思っているものは、それがどんなに大きな物でも見えない、
あるいは見逃してしまいがちだということなんですが、さて・・・。

戦争映画なのに、雄大なアルプスの自然を背景にゆっくりゆっくり歩を進めていく
様は牧歌的でさえあり、さりとて激しい戦闘シーンがないかというと、さすがマイケル・
ウィナーだけあってハードアクションもちゃんと用意されている、しかも動物好きに
はたまらない、結構ポイントの高い映画ですよ☆
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by kiyotayoki | 2005-04-21 22:15 | 映画(た行)

上海その後

昨晩、上海の友人からメールをもらいました。
「日本人留学生が大学校内で誰かにペットボトルを投げつけられたんだって」と。

一昨日、中国政府がやっとデモ規制に乗り出したというニュースが流れましたが、
規制でできなくなる鬱憤晴らしがこれ以上こんな形で噴出しないことを祈るばかり
です。

大丈夫かな・・・。
抗日運動の象徴のような日である5月4日も控えているし・・・。
心配になってきました。
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by kiyotayoki | 2005-04-21 08:29 | 閑話休題

上海の覚え書き3 

『映画の心理プロファイル』なのに、上海のことばかり書いてもナンなので、
まずは映画のご紹介を。
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たまたま上海へ行く前に観たんですが、これ、なんと近未来の
上海が舞台となるSF映画なのです。

タイトル(原題も):『CODE46』(2003 英 93分)
監督:マイケル・ウィンターボトム
脚本:フランク・コットレル・ボイス
出演:サマンサ・モートン
    ティム・ロビンス

監督が『ひかりのまち』など独特のしっとりした作風で知られるM・
ウィンターボトムだけに、舞台は近未来であるものの、描かれるのは禁断の切ない恋の物語。
主演は、身長が196㎝もあるらしいティム・ロビンスと、『マイノリティー・リポート』の怪演が印象に残るサマンサ・モートン。
環境破壊が進み、地球全体が砂漠化した近未来。人々は徹底管理により安全が保たれている都市部に密集して暮らしています。
その都市の1つが上海なんですね。
映画は、ティム・ロビンス扮する捜査官が上海に降り立つところから始まります。
その空港は、今回の旅でも利用した浦東国際空港。
タクシー乗り場、高速道路から眺める都市の景色、地下鉄・・・どれもついこないだ自分で見てきたものばかりなので懐かしいったらありゃしない・・・なーんて、たかが3泊4日の旅人のくせして、もういっぱしの上海通になってる自分がお恥ずかし^^;。

ま、いっぱしの上海通を気取れるのも、今回あちらでお世話になった友人のおかげ。
彼女とはもう20年来のつき合い(ご亭主よりつき合いだけは長いんです)。
作家でエッセイストで、ゴマとハナ2匹の犬の飼い主で、湯河原の駅前でうどん屋(『うさぎや』)までやっていて、静岡で留守番しているご亭主を寂しがらせてもいる、名古屋が生んだ怪女、もとい愉快痛快な女性です。
彼女の名は水野麻里
安心は好きだけど安定は嫌う彼女は、人生の新たな可能性を求めてこの2月から半年の予定で上海に語学留学中。
そんな彼女のおかげで、反日ストで騒然としている上海にいても、言葉に不自由することも、危険な目にあうこともなく(「いい歳した男が2人して、肉まんも買いに行けないんだから」とか皮肉はたっぷり頂戴しましたが)、面白くて貴重な体験をいくつもさせてもらいました。たとえば・・・
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①町全体が魚介類の市場になってる呆れるほど広
大な水産市場で魚介類を買って、それをレストラ
ンに持ち込んで、料理してもらって食べるという体
験は初めてだったしホント美味しかった!
その場所を教えてくれた留学生仲間の青ちゃん、
買い物につき合ってくれた中国滞在歴20年のケ
イコさん、ありがとう!

②彼女の留学先である上海交通大学は反日ストの
学生を大量に輩出しているところ。そこへ潜り込ん
で食べた学食の味は格別でした。
ご一緒した留学生の皆さん、どうぞご無事で。楽しい体験をたくさんして帰っ
てきてくださいね。

③彼女は交友関係も広くって、最後の夜、火鍋料理をご一緒したのは、夜の
街でボディーガードや裏(?)の仕事をなさってる上海人の羅さんでした。
昔、半年間、 日本滞在経験のある羅さんはカタコトの日本語で甲斐甲斐し
くサービスをしてくれ、 面白い裏話を聞かせてくれました(笑顔は可愛いけ
ど怒ると怖そう)。 チャンスがあったら、次回はもっとディープな上海を体験
させてもらおうかな。

その他、フォーク好きの彼女がステージに立つこともあるらしいライブハウス『温故知新』のマスターとも同じ熊本出身ということで楽しい時間を共有させてもらいました。
なにはともあれ、人は人を知ることで成長し、自分の世界・宇宙観を広げていくものだということを今回改めて実感させられました。
日本と中国や韓国との不幸な関係も、互いを知らないことがその大きな原因になっていると思います。自分の思い込みだけで一方は怒り、一方は怖がってる。
互いを知り、理解し、思いやること。
それが和解・友好の一番の近道だと思うのですが・・・・。
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by kiyotayoki | 2005-04-20 13:30 | 閑話休題

上海の旅 覚え書き2

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上海→東京のフライト中、米国リメイク版の『シャル・ウイ・ダンス?』
をやってましたが、フライト時間が短いものだから映画は途中で
プツンと終了。
『リアクタンス(心残りの心理)』といいますが、途中で勝手に終了
されちゃうと、そんなに興味のない映画でも続きが見たくて見たくて
仕様がなくなっちゃうんですよね。

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経済の爆発的発展と都市開発が進む上海。
それでも、昔ながらの上海の面影はそこここに残っ
ていました。
友人のアパートも周囲は煉瓦造りの古い建物が密
集する一角にあり、日本でいえば昭和30年代の、
そう、西岸良平の『三丁目の夕日』か、はるき悦巳
の『じゃりん子チエ』みたいな世界。
その向こうに建つ高層ビルとのコントラストが、また
いい感じ(写真はアパートの窓から見える風景)。

3泊、ここでお世話になったので宿泊費はゼロ。
食費も、たとえば昼食がビールを頼んでも3人で
480円(1人160円)。
ジューシーな肉まん(肉包子)が1個13円とか金銭感覚がマヒしちゃいそうな安さ!
なにせ一番豪華な夕食でも1人1000円位でしたから。
友人の勧めで試した全身マッサージは650円。足ツボマッサージが1時間で585円。
(ただし、コーヒーは飲む習慣があまりないせいか高い)
そんな具合で、航空券代を除くと、3泊4日でかかった費用は買い物代・お土産代を
含めても1万円弱と格安で旅を楽しむことができました。

ちょっとツラかったのは、トイレ事情。上海は水道の水圧が低いらしく、トイレに紙が
流せない!小はいいにしても大は困りますよね(^_^;)。
友人(女性)は、もう3ヶ月近く上海で暮らしているせいか慣れたもので「終わったら、
シャワーで洗えばいいじゃん」と事もなげにおっしゃる。
そう言われてもなあ・・・。で、結局、「大」のほうは毎朝、近所にある高級ホテルへ
行ってウォシュレット付きのトイレですますことに。
あ~助かった(文明国人^^;はホントひ弱で困ったもんです)。

あれれ、反日ストの話がどこかへいっちゃった。
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by kiyotayoki | 2005-04-19 12:09 | 閑話休題

上海の旅 覚え書き その1

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4月18日、午後1時半。無事、成田へ戻ってまいりました。
帰りは約2時間半のフライト。
近いんですね、上海って。
上海のライブハウス『温故知新』で知り合った日本の若者
は「松山からの直行便だと、たった1時間半ですよ~」って
自慢しておりました。
そんなに近いお隣の国への旅だったのに、今回は国と国の間にある政治の壁の
高さ険しさ、両国間の歴史認識の溝の深さを思い知らされた旅でもありました。

今回の旅の目的は、語学留学している友人(女性)の陣中見舞い。ただし、こちらは
1人ではなく、友人のご亭主と一緒。友人とご亭主は約3ヶ月ぶりの再会です。
(ひょっとしてボク、お邪魔虫だったのかな?)

15日(金)の夜に上海入り。
空港から上海の中心街にある友人のアパートまでは、安全を考慮してタクシーで。
でも成田空港から東京都心と同じくらいの距離があるのに料金は約1700円という
安さ(初乗りは約130円)!
この日は夜も遅いし、外は危険かもということで、友人宅で安いビール(大瓶が約40
円!)と友人の手料理で再会を祝って、早々に就寝。
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16日(土)、ネット情報によると反日デモの参加者は朝9時に人民広場に集結し、
日本の上海総領事館までデモ行進することになっていました。
で、その前に街を散策しようと、まず生鮮食料品の店と偽ブランドショップが軒を連
ねている「シャンヤン市場」へ。
さすが食の街上海。市場内は近郊から運ばれてきた生鮮食品から、どこで獲れた
のかわからない魚介類、それから食用ガエルやら豚の頭やらが屋台に山と積まれ
ておりました(でも、こんなのは序の口だったと後で唖然呆然とすることになるんで
すけどね・・・^^;)。
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デモ隊との遭遇は、ボクらがミスドーでモーニングコーヒーを飲もうとしていた時。
この時はまだ1000人位だったかな。隠し撮りしたのでロクでもない写真ですが、
整然とした行進だったので、「あ~、通達の効果が出てるんだね」と安堵していた
んです、この時点では。というのも、デモの主催者から「過激な行動は自粛せよ」
という指令が出ていたから。
(5分、ミスドーに入るのが遅れていたら、道でデモ隊と出くわすところでした^^;)

ところが、あとで聞いたら、このデモ隊の一部がこの後、日本総領事館のそばの
日本料理店を襲撃することになるんですね。
それを目撃した『温故知新』のマスターは、「今回も警官隊は見て見ぬフリでした
よ」と舌打ちしてましたっけ。
この続きは疲れたので、また次回ということに・・・。
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by kiyotayoki | 2005-04-18 21:42 | 閑話休題