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映画の心理プロファイル

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『スイミング・プール』(2003 英・仏)

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原題:『SWIMMING POOL』(102分)
監督:フランソワ・オゾン
脚本:フランソワ・オゾン
    エマニュエル・ベルンエイム
音楽:フィリップ・ロンビ
出演:シャートロット・ランプリング
    リュディヴィーヌ・サニエ
    チャールズ・ダンス

前知識もあまりなく、夏だし、涼しげなタイトルだし、美女の水着姿を鑑賞するのもいいかなと思って気楽に見始めたら、うむ、むむむッ・・・・いかようにも解釈可能なミステリアスなお話で、見終わった後、思わず氷嚢が欲しくなってしまいました。
オゾン監督作品は初めてだったとはいえ、シャーロット・ランプリングが出てるんですから単なる官能映画であるはずがなかったんですけどね(^^;。
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英仏間の旅にはTGVを使う人が多いようで、主人公のサラ・モートン(C・ランプリング)もどんより曇ったロンドンから陽光ふりそそぐ南仏へ新幹線でやってきます。
推理作家でややスランプ気味のサラは、出版社の社長ジョン(C・ダンス)の勧めで彼の所有する別荘へ気分転換にやってきたのです。2人は深い関係にあるようで、サラはあとで彼が来てくれることを期待しています。
転地療法の効果はさっそく現れ、サラは軽快にパソコンのキーを叩き始めます。けど、平和なひとときは長くは続きません。別荘に突然、ジョンの娘ジュリー(L・サニエ)がやってきたからです。
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英国人のジョンと仏人女性のあいだに生まれたジュリーは自由奔放な女の子。日替わりで男を連れ込みプールでいちゃつくかと思えば、サラが耳栓をしなきゃならなくなるほどの嬌声をあげてメイクラブに励みます。その傍若無人ぶりにサラは腹を立てながらもジュリーの溢れる若さと美しさに女の本能を刺激され、彼女の行動を覗き見せずにはいられなくなります。そして彼女をモデルにした小説を書きたいと思い立ち、書きかけたミステリーをあっさり中断、パソコンに向かいます。キーを打つスピードの速いこと速いこと。今までの鬱憤を晴らすかのような仕事ぶり。実はこの彼女の行動がこの作品の謎を解く重要なポイントになるんですが・・・。

さて、世の中には「どうしても好きになれない」「生理的に嫌い」と感じる人がいるものです。サラにとってのジュリーはまさにそんな存在。一方、ジュリーもサラに対して似たような感情を抱いているようでした。
なぜ生理的に嫌いな人がいるんでしょう。心理学では、「それはその人が、あなたが抑圧している部分を平気で表に出しているからだ」と説いています。
たとえば、自分の中に淫乱な部分があるのに、それを認めたくなくて抑圧している人がいるとします。そういう人にとって、淫乱さを平気でアピールしちゃう人は癪にさわる存在になりがち。というのも、自分は抑圧してるのになんであんただけ・・・という嫉妬にも似た感情がわき起こってくるから。人前で平気で淫らなことをしてしまうジュリーをサラが嫌悪してしまうのは、自分の中にも“淫らな部分”があることを認めたくないからなのでしょう(無意識の中に抑圧してしまっている“もう一人”の自分を、ユングは“シャドー”と名づけています)。

このあと、物語は急展開します。ある深夜ジュリーが、連れ込んだ男をプールサイドで殺してしまうという事件が起きるのです。でも、どうも変。
殺人はサラが寝ている間に行われたのに、彼女は男の死を予感していたかのように執拗に安否を尋ね歩くのです。そして、水で流してしまえば消えてしまうような血の跡を都合よく見つけてサラを問いつめ殺人を白状させてしまいます。
そのワケを書くと、完全なネタバレになってしまうので、これ以上は書けません^^;が、もしこの映画をこれからご覧になる方は、いろんな意味で氷嚢を用意しておいたほうがいいかもしれません。   

    
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by kiyotayoki | 2005-07-30 18:55 | 映画(さ行)

『トーチソング・トリロジー』(1988 米)

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原題:『TORCH SONG TRILOGY』
   (115分)
監督:ポール・ボガート
原作・脚本:ハーヴェイ・ファインスタイン
音楽:ピーター・マッツ
出演:ハーヴェイ・ファインスタイン
    マシュー・ブロデリック
    アン・バンクロフト
    ブライアン・カーウィン
    カレン・ヤング

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女性ジャズヴォーカリスト、カーメン・マクレエのアルバムに『TORCHY!』という名盤があります。収録されているのは、彼女の得意なトーチ(悲恋)ソングばかり。それで“トーチ・ソング”という言葉は知ってはいたんですが、それがタイトルにつくこの映画は見逃しておりました。
今回、見てみて、あちこちのブログで評価が高い理由がわかった気がしました。とにかく原作・脚本・主演のハーヴェイ・ファインスタインの存在感がスゴイ!(ポスター左から2番目)
彼が演じるのは、NYのクラブで女装して歌い踊る、いわゆるドラッグクイーン・アーノルド。印象的な目をしていますが、骨太がっちり型なのでお世辞にも美形とは言えないタイプ。しかも、歌声は浪曲師かと思うほどのダミ声。
でも、そんな外見とは裏腹に心は呆れるほど純。好きになった男にはとことん尽くす献身タイプなのです。その分、裏切られた時の痛手も大きいのですが、こんな自分を認め愛してくれる人を求めて恋心はいつも疼きっぱなし。
そんなアーノルドにファインスタインは芯からなりきってる感じ。それもそのはず、彼は映画になる前、オフオフブロードウェイの小さな芝居小屋にかかっていた頃から自分の分身のようなこのアーノルドを演じ続けてきたのですから。

タイトルにトリロジーとあるように、お話はアバウトながら3つのパート(恋物語)に分かれています。
1つ目は、1971年からの数ヶ月。アーノルドは、バーで声をかけてきたバイセクシャルのエドと恋仲になり、同棲を始めます。この時のアーノルドが健気なんです。寝起きの顔を見せたくない一心で目覚ましが鳴る前にベッドから抜け出し、髭を剃り髪をとかし香水つけて再びベッドにスネークイン。目覚ましで起きるエドを万全の体勢で待つのです。
が、その努力の甲斐もなく、エドに“女性”の恋人ができてあえなく破局。アーノルドは涙をこらえながらクラブでトーチソングを歌う日々を送ることに・・・。
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2つ目の恋は、1973年の冬から始まります。今度のお相手は21歳のアラン。もう二度と恋はしないと思っていたアーノルドだったのに、アラン(M・ブロデリックが初々しい!)のアタックとその美貌に負けて一緒に暮らすように。相思相愛の2人は、結婚して養子を育てようとまで語り合うのですが・・・。
3つ目のパートがあるということは、アーノルドはまたトーチソングを歌うはめになる、ということになりますね。
最後、3つ目の愛はもっとも強烈です。愛の対象は養子にもらった15歳の息子(この子もゲイ)と実の母。母を演じるのは故アン・バンクロフト。2人の愛憎交錯する罵り合いは壮絶の一語に尽きます。
息子を愛しながらも、その生き方を肯定できない母。母を愛しながらも、自分の生き方を受け入れてくれない母に怒りと悲しみの感情を抑えきれない息子。愛が深いほど、憎しみの感情も高まるのかも。
ある心理学者はこう言います。
「愛の反意語は憎悪ではなく、無関心。相手に関心を示さなくなることだ」
憎しみの感情があるあいだは愛のともしびも消えない。それを証明してくれるようなエンディングが切なくも心地よく、自然に涙腺をゆるませてくれます。
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by kiyotayoki | 2005-07-28 21:34 | 映画(た行)

『ジョーズ』(1975 米)

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原題:『JAWS』(124分)
監督:スティーヴン・スピルバーグ
原作・脚本:ピーター・ベンチリー
音楽:ジョン・ウィリアムズ
出演:ロイ・シャイダー
    ロバート・ショウ
    リチャード・ドレイファス
    マーレイ・ハミルトン

先日、BSでやっていたので久しぶりに観ることができました。
いきなりジョン・ウィリアムズによるあのサウンドが耳に響いてきて『ジョーズ』の世界に引きずり込まれてしまいます。そして、全裸で海に飛び込んだ女性の無惨な死によって不安と恐怖の世界の幕が開きます。
あれは全裸であることにスゴイ意味がありますね。身を守るものを何も身につけていないということで、本人も、観ているこちらも心理的にとても不安になりますもの。スパイなどを拷問にかける時、衣服をはぎ取るのも同じ理由からですものね。

お話はオープニングの惨劇から一転、太陽がさんさんとふりそそぐ平和なリゾートアイランドへ舞台が移ります。ここで主人公マーティン・ブロディが登場。ロイ・シャイダー扮するマーティンはこの小さな島の警察署長で、妻との会話から去年の秋に大都会NYから転任してきたばかりだということがわかります。島民からすれば新参者でありよそ者同然の男。
そんなマーティンにふりかかった災難、それが巨大ホオジロザメの出現でした。マーティンは市長を説得して海開きを中止させようとしますが、「これだからよそ者は困る」ってな顔で「そんな些細なことで大切な海開きを中止できるか」と取り合ってもくれません(結局、市長が自分の非を認めるのは、映画が始まって1時間10分近く経ってからのことです^^;)。
そんな風に、前半はサスペンスホラーの基本形をつくり出したヒッチコックの有名な言葉「ショックは最初に与えておけば、後はそれほど与える必要はない。観客が勝手に怖がってくれるからだ」を地でいく展開。ジョーズも背びれを見せるだけ。それでも充分恐い。
ジョーズがその巨体を現すのは後半、マーティンが鮫狩りの名人クイントと海洋学者のマットと共に海へのり出してからのことです。

そうそう、『リーサル・ウェポン3』(1992)で、メル・ギブソン扮するリッグスとレネ・ルッソ扮するローナが名誉の勲章である体の傷を見せ合い、張り合うシーンがありました。それを見た時、どこかで似たようなシーンがあったなあと思ってたんですが、『ジョーズ』だったんですね。
この映画で見せ合うのは、ロバート・ショウ扮するクイントとリチャード・ドレイファス扮するマットの2人。それまで犬猿の仲だった2人が意気投合するところも同じでした(^_^)v。

     
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by kiyotayoki | 2005-07-25 16:51 | 映画(さ行)

『ステップフォード・ワイフ』(2004 米)

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原題:『THE STEPFORD WIVES』(93分)
監督:フランク・オズ
原作:アイラ・レヴィン
脚本:ポール・ラドニック
出演:ニコール・キッドマン
    マシュー・ブロデリック
    ベット・ミドラー
    クリストファー・ウォーケン
    グレン・クローズ
    ロジャー・バード

ヨーダの声で知られるフランク・オズの監督作品。
原作者は、若いころ愛読していたアイラ・レヴィン。以前(1975)にキャサリン・ロス主演で映画されたことがあるそうで、リメイク作なんですね、これ。
今回の主演は、30代後半になってもバービー人形のような美貌と体型を維持しているニコール・キッドマン。TVキー局の敏腕プロデューサー役を、水を得た魚のように演じています。その夫に扮するのは、万年青年マシュー・ブロデリック。でも体型はかなりおじさん化してます^^;。
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お話は、ニコール扮するジョアンナが不祥事の責任を取らされてTV局をクビになるところから始まります。夫のウォルターは妻の傷心を癒すには転地療法が一番と、自分もTV局を辞めてコネチカット州にある高級住宅地ステップフォードに家族で移り住むことにします。
そこは、時代を50年近く逆戻りしたような町。そう、ケネディが大統領に就任した頃のアメリカっていうか、人々(主に白人)が明るい未来を信じてアメリカンライフを楽しんでいた頃のアメリカが人工的に造り出されているのです。
時代を逆戻りしているのはそこに住む人々も同じ。50年代風のカラフルファッションに身を包み、みんな悩みなどカケラもないかのように笑顔また笑顔。
「ここは変!」と、ジョアンナは直感しますが、夫の勧めもありシブシブこの町で暮らすことに。
でも、その直感は不幸にも当たってしまうことになるんですね。
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この人工美の町のまとめ役は、超個性派俳優のクリストファー・ウォーケンとグレン・クローズ扮するマイク&クレア夫妻。2人を見ただけでこの町は相当怪しいゾって気になりますよね。
ジョアンナたちと同じ時期にここへ入居してきたロバータ(B・ミドラー)やゲイのロジャー(R・バード)も胡散臭い雰囲気に辟易。でも、パートナーである夫たちはなぜだかウキウキ。それもそのはず、このステップフォードは男権社会で、妻は貞淑でメイドのようにかしずく存在であらねばならないのです。まるで時代に逆行している町。なのに妻たちは文句も言わず、夫につき従い、笑顔を顔に貼り付けているのです。実はそれには怖ろしいワケが・・・。
・・・と書いていくと、スリラー仕立ての映画かと思いますが、かなりコメディ色の強い作品に仕上がっています。未見のオリジナルのほうはかなり怖い作品だったようですけどね。というのも1975年版が公開されたのはウーマンリブ華やかりし頃。続々と社会に進出してくる女たちに男たちが危機感や嫉妬心を募らせていた時代。まだ男にも「女に負けてなるものか」という気概があり、男の理想郷への憧れも強かったでしょう。だからこういうお話も成立し得た。
でも今や女性の社会進出は当たり前の時代。男にそんな気概などありゃしません。だから、コメディでお茶を濁すしかなかったんでしょうね。
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左は敏腕プロデューサーだった頃のニコールのいでたち。社会に立ち向かって肩で風切って生きていくために、弱い心をガードしてくれる黒でばっちりキメています。
一方、右はステップフォードの町に順応しようと努め始めてからのいでたち。ガードを緩め、「ひょっとしたらこれが女の幸せ?」と思い始めた彼女の心が淡いピンク色に表れていますね。
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by kiyotayoki | 2005-07-24 19:57 | 映画(さ行)

『パルコフィクション』(2002 日)

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(65分)
監督・脚本:矢口史靖
        鈴木卓爾
出演:真野きりな
    近藤公園 
唯野未歩子
    新川良々 
     他 

『ウォーターボーイズ』や『スウィングガールズ』の監督・矢口史靖と、学生時代からの盟友・鈴木卓爾が作ったキッチュなオムニバス映画。1時間少々の上映時間に5つの話が詰め込まれていますが、どの話もほのぼのしている上に、ゆるゆるギャグ満載なので、のんびり、まったりと楽しむことができます。

タイトルからもわかるように、お話は東京・渋谷に実在するファッションビル“パルコ”を舞台に展開します(監督がパルコから依頼され、パルコをテーマに作ったのですから当然か)。タイトルが『パルプフィクション』のもじりだということは映画ファンならすぐわかりますが、内容もタランティーノ作品同様“安っぽさ”“パチもん”風を装いながら、「おっ、お主、やるな」感をそれなりに醸し出しています(実際、超低予算で11日間で撮り上げたそうですが・・・)。
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お話は、
「パルコ誕生」(パルコという店名誕生秘話)
「入社試験」(パルコのヘンテコな入社試験の話)
「はるこ」(ボケ老人「はるこ」さんを助けようと奮闘する孫娘の話)
「バーゲン」(バーゲン品に目が眩んだ店員のトホホ話)
「見上げてごらん」(スカイスクレーパー症候群の店員と警備員の恋物語)
以上の5本。

スカイスクレーパー症候群というのは、見上げた時に怖い目にあったことがトラウマになって、上を見るとすぐにクラっと倒れてしまう心の病のようです。そんな奇病に悩むパルコの店員・美都子(みとこ)はいつもうつむいて仕事をしています。そんな美都子に恋心を抱いているのがちょっとオタクっぽい警備員の大須(荒川良々)。
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大須はいつも陰から美都子を見守っていて、彼女が倒れるとどこからともなく現れて抱き起こしてくれます。この警備員がカッコいい男なら美都子もすぐに恋に落ちたんでしょうけど、お笑いの2人組「レギュラー」の片われ(左のほう)を縦にビョ~ンと伸ばしたようなヤツなので、なかなかそんな雰囲気にはなりません。美都子の同僚からはかえって「ストーカーじゃないの?」と気味悪がられる始末。さて、大須の恋は成就するのでありましょうか・・・。
・・・ってな話が5本目。これなどはまだちゃんとストーリーがあるほう。短い時間でいろんな味を楽しめる映画ですので、おやつの時間に見るには最適の作品かも。
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by kiyotayoki | 2005-07-22 16:01 | 映画(は行)

『宇宙戦争』(2005 米)

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原題:『WAR OF THE WORLDS』(114分)
監督:スティーヴン・スピルバーグ
原作:H・G・ウェルズ
脚本:デヴィッド・コープ
    ジョシュ・フリードマン
音楽:ジョン・ウィリアムズ
ナレーション:モーガン・フリーマン
出演:トム・クルーズ
    ダコタ・ファニング
    ティム・ロビンス
    ジャスティン・チャットウィン

これは映画館で観て正解の映画ですね。
先にご覧になった方が書いていらっしゃるように、かなりツッコミ甲斐のある映画ではあります。でも観ている間は、ツッコミを入れるの忘れておりました。特に前半は、宇宙人というかトライポッド(三本足)が津波のように襲ってくるので、主人公同様圧倒されっぱなし。
テレビで観たら、あの大迫力・大音量は半減するでしょう。すると、ツッコミを入れる余裕が出てくるし・・・。やっぱり映画館で観るのが正解だな。

この映画はロードムービーでもあるんですね。
トム・クルーズ扮するレイとその2人の子どもは、ニュージャージーからボストンまでの約300キロに渡る旅をします。でも、ただの旅じゃありません。圧倒的な力を持つトライポッドの攻撃にさらされながら、また、恐怖と怒りで暴徒と化した人間たちから逃れながらの旅です。
原作は読んでいませんがオリジナル版は観ているので結末は予想できるものの、スーパーマンでもなんでもないレイがどうやってお先真っ暗な状況を打開できるのかと心配になってしまうほど。しかも長男のロビーは、離婚して自分たちを捨てた父親レイに反抗してばかり。八方塞がりもいいところ。
戦後60年、すっかり骨抜きになってしまった日本人からすれば、いくら正義感にかられたからとはいえ絶対不利の戦場へ父の制止を振り切って向かおうとするロビーの心理は理解できないところ。そう思っていたら、最近読んだ本にこんなことが書いてあったことを思い出しました。
その本によると、アメリカ人は男性ホルモンであるテストステロンの分泌量が日本人より多いのだとか。一方、日本人は不安感を高めるセロトニンの分泌量がアメリカ人より多い。そのため、日本人は慎重で心配性の人が多く、アメリカ人は楽天的で大胆かつ攻撃的な人が多い、というのです。
これを真に受ければ、ロビーの行動も納得。それに「あっ、日本人は骨抜きになったんじゃなくて、もともとそうだったんだ」って思えて気が楽ですし(^^;。
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あ、ダコタ・ファニングちゃん、相変わらず芸達者です。
それに、手に刺さったトゲを見つけた時の彼女のセリフ、
「大丈夫、放っとけば自然にはき出されちゃうから」は、この映画の行方を暗示していたんですね。
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by kiyotayoki | 2005-07-20 12:04 | 映画(あ行)

『ラヴソング』(1969 香港)

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原題:『甜蜜蜜 
   Comrades,almost a love story』
   (118分)
監督:ピーター・チャン
脚本:アイヴィ・ホー
出演:レオン・ライ
    マギー・チャン
    エリック・ツァン

グロリアさんがシネマティック・バトンで取り上げていらっしゃった作品です。
原題の『甜蜜蜜(ティェンミミ:蜜のように甘く)』はテレサ・テンのヒット曲のタイトルなんだそう。そんなタイトルのつくこの映画、彼女の歌声が随所で効果的に使われています。そういえば、先日見た『わすれな草』(1999)でも彼女の歌が使われていました。ただの偶然かなと思ったら、この映画を見てその理由がちょっとわかった気が。
テレサ・テンの曲って香港よりも中国本土で愛聴されていたようで、本土の人々にとっては格別に思い入れの強い歌手なんですね。でもって、2本の映画が作られたのは香港本土返還の前後。つまり2本の映画は中国13億の民を強く意識して作られた作品なんじゃないかなあって。
ま、それは置いといても、この映画ではテレサ・テンの曲が2人の恋の行方に大きく関わってきます。
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ある男女の10年におよぶ愛の物語です。
男の名はシウクアン(L・ライ)。物語は彼が天津から列車を乗り継いで香港へやってきた1986年3月1日から始まります。朴訥という言葉がぴったりの彼の夢は働いて金を貯め、恋人を呼び寄せ結婚すること。
女の名はレイキウ(M・チャン)。マクドナルドで働いているかと思えば、英会話学校では清掃係、その上花屋でもバイトもしている頑張り屋。
2人が出会ったのはマクドナルド。生まれて初めてのマクド体験で戸惑うシウクアンの対応をしたのがレイキウでした。レイキウは広東語も満足に話せないシウクアンに「香港でものをいうのは英語よ」といって英会話教室に入るよう勧めます。というのも、そうすれば学校からリベートがもらえたから。
以来、シウクアンは忙しいレイキウの仕事を手伝うように。
ある程度金がたまったレイキウは大きく稼ぐために小さな店舗を借りて大量に仕入れたテレサ・テンのカセットを売ろうと考えます。香港には大陸からの出稼ぎが大勢いる。彼らの大好きなテレサの曲なら必ず売れると踏んだからです。ところが、目算は大外れ。残ったのは借金と大量の在庫。
「出稼ぎ=テレサ・テン好き」という固定観念ができあがっているため、自分の素性を知られたくない大陸の人々は店に寄りつかなかったのです。
「広州ではあんなに売れたのに・・・」うなだれ、そうつぶやくレイキウ。
実は彼女も大陸からの出稼ぎ人だったのです。
そのことを告白(心理学風に言えば「自己開示」)してから、2人の仲は急接近。2人はベッドを共にする仲に・・・。自己開示はやはり恋の特効薬なんですね。そうそう、初めてキスを交わすシーンは、この作品のハイライトといえるほど印象的。
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けれど、2人の仲はそれ以上は進展しません。シウクワンには結婚を約束した恋人がいたし、レイキウは借金を返すために働き始めたマッサージの仕事で疲れきっていたから。
結局2人は、デリカシーのなさ過ぎる男の性(さが)、デリカシーのあり過ぎる女の性が災いして別の道を歩むことに。2人とも互いへの慕情を内に秘めながらながら・・・。

その慕情が抑圧から解き放たれる時が3度訪れます。
1度目は1990年。恋人を香港に呼び結婚したシウクワンは、黒社会のボス(E・ツァン!)の情婦となったレイキウと再会。その時流れる曲は、テレサの歌う『グッド・バイ・マイ・ラブ』。2人は互いに築いてきたものを捨ててまで一緒になろうとしますが、運命がそれを許してくれません。
2度目は1993年のニューヨーク。運命が2人をこの街に呼び寄せたかのようでしたが、運命の神様はいたずら好きでした。
そして3度目は、1995年5月8日。同じニューヨーク。この日TVではテレサ・テン急死の報を伝えていました。その時、2人は・・・。

上質の短編小説のような味わいのエンディングがまた素敵で、余韻がいつまでも心に残る作品に仕上がっています。未見の方は是非。
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by kiyotayoki | 2005-07-18 15:22 | 映画(ら行)

『グロテスク』(1995 英)

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原題:『THE GROTESQUE』(104分)
監督:ジョン・ポール・デヴィッドソン
原作・脚本:パトリック・マグラア
テーマ曲:スティング
出演:スティング
    アラン・ベイツ
    トルーディ・スタイラー
    テレサ・ラッセル
    レナ・ベティ

『ラベルづけ』という心理用語があります。
先入観で相手にレッテルを貼ってしまうことをいいます。たとえばこの映画、『グロテスク』というインパクトの強いタイトルとオープニングのウジのわく動物の死体。それを見ただけで、おおお、これはクローネンバーグ作品のようなグロい映画か?!・・・・と、思わず『ラベルづけ』しちゃいまいました。でも、映画はやっぱり見てみなきゃわかりませんね。
視覚的にグロテスクなシーンはほんのさわり程度。“グロテスクなるもの、それは人間の醜い心なり”がテーマの作品でございました。
(グロな部分を一手に引き受けているのは飼いガエルのハーバートだけ^^;)

映画の舞台は、いかにもイギリスという田園地帯にある貴族の館。
ヒューゴ(Aベイツ)は8世紀続くというクルック家の末裔でその館の当主。頑固で気むずかし屋の男です。趣味人で、熱中しているのは恐竜の骨格の復元。そのせいで放ったらかしにされている夫人は平静を装ってはいるものの、内心は不満タラタラ。
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そんなクルック邸にある日、新しい執事夫婦がやってきます。これがただ者じゃないことは歴然。なにしろ執事フレッジを演じているのはスティング。元ポリスのスティングが俳優としても活躍しているのはご存じの通り。目ヂカラの強い役者さんです(でも、年をとったせいか随分柔和になりましたが)。

実際、フレッジが執事として同じ屋根の下で暮らすようになってから、それまであった秩序が少しずつ崩れ始めます。一人娘のクリオは親の反対する詩人の優男と婚約したいと言い出すし、欲求不満妻は男っぷりのいいフレッジに色目を使う。亭主は亭主でそんな妻を横目で見て楽しんでいる風でもあります。
それくらいならまだ良かったのですが、娘の恋人が忽然と館から消えてからは秩序の崩壊に加速度がつきはじめます。恋人はどうやら執事のフレッジによって殺されてしまったようなのです。
でも、なぜ?
その謎が解明されないうちに驚くべき事実が発覚するのですが、そのあたりの所はネタバレしそうなので書くのは控えておきましょう。
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by kiyotayoki | 2005-07-16 10:34 | 映画(か行)

『Mr.インクレディブル』(2004 米)

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原題:『THE INCREDIBLES』(115分)
監督・脚本:ブラッド・バード
音楽:マイケル・ジアッキノ
声:クレイグ・T・ネルソン
   ホリー・ハンター
   サラ・ヴォーヴェル
   スペンサー・フォックス
   サミュエル・L・ジャクソン
   ジェイソン・リー

ティズニー&ピクサーのフルCGアニメとしてはかなり大人向けの作品。
かつてはスーパーヒーローMr.インクレディブルとして大活躍していたボブは、今は保険会社のしがないサラリーマンとして覇気のない生活を送っています。
というのも、彼らの破壊的なスーパーパワーがかえって社会に損害を与えていると訴えられて、スーパーヒーローは全員その力の封印を余儀なくされてしまったから。
そういえば子どもの頃、思いましたものね。
ウルトラマンって怪獣と闘ってくれるのはいいけど、あんなにビル壊しちゃって、中の人はどんだけ圧死しちゃってるだろうって(^^;。

スーパーヒーローだった頃の充実感を忘れられないでいるボブに比べると、イラスティ・ガールとして彼同様悪を懲らしめていた妻のヘレンは、今や2男1女の母としてすっかり主婦になりきっています。“いつまでも夢を追いたがる男”と“巣作りをしたがる女”の典型パターンといったところ。
そんなある日、元ヒーローたちが次々と行方不明になる事件が!
そしてボブにも魔の手が伸びてきます。でも、うわべは「強力なロボットが制御不能になって暴れているので助けて欲しい」というものだったため、ボブは喜んでその誘いに乗ってしまいます。
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だけど、ユニフォームを着るのは15年ぶり。お腹まわりは贅肉つきまくりで、ボディスーツはピッチピチ(随分前の予告編ではユニフォームを着るのに一苦労するシーンが使われていましたね)。
それにしても、いつも感心するのはディズニーアニメの色使いの的確さ。
エネルギッシュな若い頃のボディスーツは、心をクールダウンさせる青い色。
中年になった今、新しく作ることになるボディスーツの色は、萎えた気持ちを奮い立たせる赤い色といった具合。

ロボットを倒して意気揚々と帰ってきたボブは、会社をクビになったのを幸いに、いつも通り出勤するフリをしてトレーニングに励むようになります。
見違えるように生気を取り戻した夫を見て最初は喜んでいたヘレンでしたが、女性からの電話に慌てるボブの態度に疑惑の念を抱き始めます。「ひょっとして浮気?」
心理実験でも、女性は男性に比べると「表情を見分ける(表情認知)能力」が高いことがわかっています。妻は夫のちょっとした表情の変化から、「何か変!」と気づきやすいのです。一方、男はパートナーの表情の変化にとても鈍感。だから、浮気されてもなかなか気づかない。
このあたりはとても大人っぽい展開。小さな子には難しいかもしれませんね。
映画の中でも、ティーンエイジャーの娘ヴァイオレットは両親の間に波風が立っていることを敏感に察知していますが、小学生の息子ダッシュはまるで能天気です。

そうこうしているうちにも、敵の魔の手は確実にボブに迫っていました。敵の名はシンドローム。15年前にはバディという名で、Mr.インクレディブルの追っかけをやっていた生意気な若造。
“可愛さあまって憎さ百倍”とよく言いますが、ボブに邪険にされたバディは、逆恨み。Mr.インクレディブルを亡きものにして自分が世界一のスーパーヒーローになろうと虎視眈々と狙っていたのです。
さて、Mr.インクレディブルの運命やいかに。そして、ボブは浮気の疑惑を晴らし、家庭の平和を取り戻すことができるのでしょうか(^^;
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by kiyotayoki | 2005-07-13 18:41 | 映画(ま行)

シネマティック・バトン

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la-pandaさんとruiji3さんから新たなバトンをいただいてしまいました。
今度は映画に関することなので前のよりは悩まなくてすむかなと思いきや、またまたウームと頭を抱えてしまいました(^^;。

☆所有するDVD・ビデオは?
   セルDVDはまだ2、30枚程度。
   映画を録画したビデオは、他界した映画好きの友人から託された
   もの(これが2/3を占めてます)もあり7、800本か、ひょっとしたら
   1000本近くあるかも(^^:。(置き場所にホントに困ってます)。

☆最近観た映画は?
   『スターウォーズ エピソードⅢ』
   先々行オールナイトで観ました。
   いよいよ今日から一般公開ですねy(^o^)y
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☆過去1年で一番笑った映画は?
   ワハハ笑いというよりニンマリ笑いでしたが、
   ビデオで観た『奇人たちの晩餐会』(1998仏)
   おバカな人間を招待して仲間で笑い物にする
   というイヤミな晩餐会に呼ばれた男のお話。
   主人公のピニョンを演じたジャック・ヴィルレは
   惜しくも今年1月亡くなってしまいましたが(T T)。
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☆過去1年で一番泣いた映画は?
   『猟奇的な彼女』(2001韓国)。
   これもビデオで楽しく鑑賞。でも、エンディング
   テーマ聴いてたら、なぜか涙ぽろぽろ。

☆思い入れの強い5本は?
   これ、正直に書いちゃうと、この後の予定を変え
   なきゃいけなくなるので(と、変な言い訳しつつ)、
   最近、気になったことから5本映画を選んでみたい
   と思います。
   気になったことというのは、
   「大都会に住む孤独な女(男)には、なぜかゲイの
   友人がいるという設定が多い」ってこと。
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   『恋のためらい/フランキーとジョニー』(1991)
   ミシェル・ファイファー扮するフランキーのアパート
   の隣人は、ネイサン・レイン扮するゲイの男で、
   フランキーの恋路に何かと介入してきてアドバイス
   してくれます。
   ネイサン・レインは「バードケージ」でもゲイを演じ
   ておりました。

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   『ベスト・フレンズ・ウェディング』(1997)
   ジュリア・ロバーツ扮するジュリアンの友人ジョージ
   もやっぱりゲイ。ジョージも恋に奔走するジュリアン
   を一生懸命サポートしてくれます。
   演じているのは、私生活でも同性愛者であることを
   公表しているルパート・エヴェレット。  
   
   『ルームメイト』(1991)
ブリジット・フォンダ扮するアリーの住むアパートの
   階上にもゲイの友達グレアムが住んでいて、彼女
   の危機を救ってくれます。やっぱり持つべきはゲイ
   の友?
   グレアムを演じたピーター・フリードマンの写真が
   見つからなかったのは残念。

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   『フローレス』(1999)
   ロバート・デ・ニーロ扮する元警官ウォルトが脳卒
   中で半身マヒになったとき、リハビリの手助けをし
   てくれたのもアパートの階上に住むゲイのラステ
   ィ。ラスティを演じたのは芸達者なフィリップ・シー
   モア・ホフマン。エンディングの2人のNG場面が
   微笑ましいデス。

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   『フィッシャー・キング』(1991)
   これはかなり思い入れの強い映画です。
   ロビン・ウィリアムズ演じるヘンリーは大都会NY
   でホームレスをしている男。ある事件で妻を亡く
   して以来、やや正気を失っているんですが、その
   ホームレス仲間のゲイの小男を演じているのが
   今は亡きマイケル・ジェッター。恋のメッセンジャ
   ーになったジェッターは素晴らしい歌声を披露し
   て恋の仲介をしてくれます。持つべき友は歌の
   うまいゲイ?


☆バトンをまわす人

このバトン、どなたに手渡してよいものやら悩みましたが、グロリアさんにお願いできたらな、と。センスのよい方ですし、どんな5本を選んでくださるか楽しみにしていますので(^^;。

   
   
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by kiyotayoki | 2005-07-09 17:55 | 閑話休題