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映画の心理プロファイル

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『カレンダーガールズ』(2003 英)

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原題:『CALENDAR GIRLS』(108分)
監督:ナイジェル・コール
脚本:ティム・ファース
    ジュリエット・トウィディ
音楽:パトリック・ドイル
出演:ヘレン・ミレン
    ジュリー・ウォルターズ
    シアラン・ハインズ
    ペネロープ・ウィルトン
    セリア・イムリー

ヨークシャーの花は 
女性に似ている
生長ごとに美しさを増し
盛りを過ぎても 見事に咲き誇る
・・・あっという間に 枯れてはいくけれど

こんな愛のある、でも茶目っ気もある詩を遺して白血病で亡くなった夫の妻アニー(J・ウォルターズ)を励まし、お世話になった病院へソファーを寄付するために親友のクリス(H・ミレン)が思いついたのがなんと自分たちをモデルにしたヌードカレンダー作りだった・・・という実話を元にした楽しい作品です。

この作品の魅力は、中年・熟年世代のおばさんたちが元気で明るいこと。
ドラマが進んでいけばいくほど彼女たちが若々しく見えてくること。
そして何よりこのお話が実話で、それが保守的で閉鎖的な田舎の町でわき起こった出来事であることでしょうか。

彼女たちが住んでいるのは、田園風景が美しいヨークシャーの片田舎。
ヨークシャーの人のことをヨーキーというそうですが、その言葉には「頑固で融通がきかない」「あか抜けない」という意味が含まれているんだそうな。
そんな土地柄の人から「中年の自分たちをモデルにしたヌード写真集を作ろう」といった発想が飛び出すのも珍しいし、だからこそマスコミが余計に飛びついたんでしょうね。
当初500部刷るつもりだったカレンダーは、最終的には欧米を中心に30万部も売り上げたのだとか。

だいたいこういう話は、『コーシャス・シフト』といって話し合いの機会を持てば持つほど、どんどん臆病な方向に意見が集約していくもの。
「世間体もあるし、やっぱりやーめた」ってなるのがオチ。
ところが、彼女たちはどんどん大胆になっていった。
これは、知られれば反対するであろう自分たちの所属する婦人会への反発心もあったんでしょうね。反対されればされるほど「絶対やるッ」って気持ちを強めていった。そういう心理を『リスキー・シフト』といいます。
こういうのって現実にはなかなかない。だから、それが実現すると、他人事ながら「やったね!」って気持ちになれる。
この映画はそういう気持ちにさせてくれる素敵な作品です。
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by kiyotayoki | 2005-10-31 20:51

『老人と海』(1958 米)

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原題:『THE OLD MAN AND THE SEA』(87分)
監督:ジョン・スタージェス
原作:アーネスト・ヘミングウェイ
脚本:ピーター・ヴィアテル
音楽:ディミトリ・ティオムキン
出演:スペンサー・トレイシー
    フェリッペ・パゾス
    バリー・ビレーヴァー

こんな有名な作品を今まで見逃していました^^;。
原作は、20世紀を代表する作家のひとり、ヘミングウェイ(1899~1961)の後期の代表作ですが、驚いたのは監督があの『荒野の七人』『大脱走』を撮ったJ・スタージェスであったこと。
こんな作品も撮っていたんですね、スタージェスさん。
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パパ・ヘミングウェイがこよなく愛した町ハバナ郊外の小さな漁村コヒマールを舞台とする、年老いた孤独な猟師サンチャゴと彼が愛し格闘した海の物語。
ヘミングウェイ自身、コヒマールの浜辺から愛艇ピラール号に乗ってカリブの海に繰り出しカジキ捕りに熱中していたといいます。だから、当然のことながらサンチャゴには彼自身が投影されてるんでしょうね。
そのサンチャゴを演じるのはパパ・ヘミとほぼ同い年の名優S・トレイシー。2人はルックスも似てるし。だから余計サンチャゴをパパ・ヘミと同一視して見ちゃうことに。

映画はまず、この84日間というものろくな獲物が捕れないサンチャゴと、彼を慕う少年マノリーンとのお祖父ちゃんと孫のようなふれ合いを描きます。
85日目の夜明け前、サンチャゴは「今日こそ大物を!」という意気込みで浜をあとにします。浜で見送るマノリーンも今夜こそサンチャゴが小舟を獲物で満杯にして帰ってくることを期待していました。
けれど、サンチャゴは1日経っても2日経っても、3日経っても帰ってこなかったのです。
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実は、帰ってこなかったんじゃなくて、帰ってこれなかったんですね。ってのも、3日3晩、巨大なカジキマグロと1対1で死闘を繰り広げていたから。
この死闘シーン、合成技術は荒いもののかなりの迫力。この後、アクション映画の名作を撮るスタージェス監督の面目躍如といったところ。S・トレイシーの悲壮感漂う演技も見逃せません。
結局、死闘は老人の勝ち。ほとんど一睡もせずに闘ったサンチャゴは疲労困憊、へろへろになりながらも舟より胴体の長い獲物を舟の側面に縛り付け帆柱を上げて勇躍帰途につきます。

ちなみにパパヘミの愛艇ピラール号のピラールってスペイン語で「柱(帆柱)」って意味みたいで、猟師たちにとっては命の次に大切なもののようです。

けれど、勝利に酔い、ラ・マル(海)に感謝していられたのは束の間でした。
カジキマグロの流す血のニオイを嗅ぎつけたサメたちがせっかく勝ち取った獲物にむしゃぶりついてきたからです(水中カメラが写し出す彼らの獰猛さは、『ジョーズ』を彷彿とさせるほど!)。
一度は撃退したものの、度重なるサメたちの攻撃にカジキは肉をはぎ取られ、みるみるうちに骨と化していきます。このあたりの容赦のなさは弱肉強食の自然の掟を身をもって体験してきた作家ならではという感じ。

矢尽き刀折れた状態で浜にたどり着いた老人は、それでも大切な帆柱だけは背負って家路につきます。柱を背負ってヨロヨロと坂を登っていく姿は、まるで十字架と人間の業(ごう)を背負ってゴルゴダの丘へ向かうキリストのよう。

・・・今回は名作だけにネタバレも気にせずつい書き込んでしまいました^^;。
救いがないように思えるお話ですが、最後の最後で作者は老人に小さなプレゼントをします。
それは老人が粗末なベッドに倒れ込み、泥のように眠っている間に見る夢。
「夢とは自然のやさしい看護婦である」とシェークスピアも言ったように、夢には人を癒す力があるんですね。
さて、老人が見た夢は何だったと思います?
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写真は、映画の遠景に写っていた浜辺にある古い砦跡。
キューバ危機以前の作品だからか、撮影は小説の舞台であるコヒマールで実際にロケが行われたようですね。
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by kiyotayoki | 2005-10-29 11:22 | 映画(ら行)

『最後の恋のはじめ方』(2005 米)

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原題:『HITCH』(118分)
監督:アンディ・テナント
脚本:ケヴィン・ビッシュ
音楽:ジョージ・フェントン
出演:ウィル・スミス
    エヴァ・メンデス
    ケヴィン・ジェームズ
    アンバー・ヴァレッタ
    ジュリー・アン・エメリー

恋の至言格言・心理法則満載の映画です。
主人公は、恋に不器用なニューヨークの男達を幸せに導く恋愛コンサルタント(デート・ドクター)。彼の名はアレックス・ヒッチンス(愛称ヒッチ:W・スミス)。
オープニングからいきなり重要な法則がそのヒッチの口から飛び出します。
要約すると、
「人間の意志伝達の60%は言葉ではなくボディランゲージで伝わるんだ。
声の調子で30%。つまり言葉で伝わるのはたった10%足らずってこと。彼女の言葉だけを鵜呑みにして、彼女のホンネに気づかなかったらバカを見るぜ」

米国の心理学者メラービアンが実験で確かめているんですが、人の好意は相手にどういう形で伝わるかというと・・・。
《好意の総計=言葉(7%)+声のトーン(38%)+顔の表情(55%)》
という数式で表せるっていうんですね。

つまり、好意を相手に伝える一番の武器は顔の表情、次が声だということ。
逆にいうと、いくら素晴らしい言葉を連ねても、表情に熱意が感じられなければ、相手は「ステキ!」とは思ってくれないということ。
これで納得がいくのが、今の韓流ブーム。
ヨン様ファンが彼にメロメロになるのは、あの微笑みがステキ、あのソフトな声がステキだからなんですね。ヨン様が韓国語で何をしゃべってるか分からなくてもほとんど問題じゃないってわけです。
これは「口下手だから私はダメ」と思っている人には朗報ですよ♪
流暢に愛の言葉を口にできなくても、表情さえ、声のトーンさえステキで自信に満ちあふれていれば、思いはきっと相手に伝わるんですから。
今までうまくいかなかったとしたら、それは「口下手だから」というので表情が暗かったせいなのかも(^^;)。
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ヒッチは、このことを知った上で、男ってヤツは女性の言葉だけを信じて表情を読みとらないから大きな勘違いをしやすいんだって苦言を呈してるんですね。いい恋をしたいのなら、表情から彼女のホンネを読みとれってアドバイスしてるわけです。
写真のアルバート(K・ジェームズ)も、そのへんがダメで、ずっと片思いを続けている淋しい男。
ヒッチは、そんな彼に手を替え品を替え恋の手ほどきをしていきます。
たとえば・・・

「女性は10人のうち8人は最初のキスで好きか嫌いかを決める」

「人生は何年生きるかが重要じゃない。大切なのは至福の瞬間を知ることだ」

「女は恋愛に関しては親友の言葉を重視する」

「上手なキスのコツは90%相手に近づいて、そこで待つ。彼女が残りの10%の距離を縮めてくれるまで」

・・・と、こんな風に。

ところが、自分のこととなるとちょっと勝手が違うようで、彼が唱える恋のルールのようにはうまく進展していきません。恋にはハプニングがつきものだし、すべてが公式どおりにいくほど恋は単純じゃないから・・・。
事実、彼もこう述懐してるほど。
「恋の基本ルールは・・・、実のところはない」

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by kiyotayoki | 2005-10-27 13:30 | 映画(さ行)

『コンバット』と『ローハイド』

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懐かしの海外ドラマ『コンバット』と『ローハイド』が11月にNHKのBSで放送されるとか。
両方とも子供の頃に夢中になって見たドラマなので嬉しいかぎり。
どちらも16本ずつ放映されるそうですが、双方とも150本位ON AIRされてるらしいし、どのあたりのをやるんでしょうか。

ちなみに『コンバット』は1962年から1967年まで続いた戦争ドラマ。舞台は、Dデー後のヨーロッパ戦線。主役のサンダース軍曹役にはビック・モロー(今回調べて初めて知りましたが、サンダース軍曹のファーストネームはチップChipだったんですね(*_*)。ヘンリー少尉(Fネームはギル)にはリック・ジェイスン。
ダンケ(ありがとう)とかシュネル(早くしろ)とか簡単なドイツ語を覚えたのもこの番組のおかげ。
ゲストでテリー・サバラスやジェームズ・コバーンなどその後有名になった男優さんがたくさん出ているので、それを見つけるのも楽しみ。
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一方の『ローハイド』は1959年から1966年まで続いた西部劇。テキサス州からカンザス州までの長い道のりを数千頭の牛を引き連れて旅をするカウボーイたちの物語。
フランキー・レインが唄う主題歌は有名(映画『ブルース・ブラザーズ』でもジェイクたちが歌ってました)。
主役のギル・フェーバー隊長にはエリック・フレミング、牧童頭のロディ・イエーツには若き日のクリント・イーストウッド。イーストウッドはこのシリーズ後半にイタリアへ渡り、マカロニウエスタンに出演して映画スターの仲間入りをすることになるんですよね。
髭面のコック、ウィッシュポーン爺さん(ポール・ブラインガー)も印象に残ってるキャラクターです。
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by kiyotayoki | 2005-10-26 17:28 | TV

『夜の大捜査線』(1968 米)

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原題:『IN THE HEAT OF THE NIGHT』
(109分)
監督:ノーマン・ジュイソン
原作:ジョン・ポール
脚本:スターリング・シリファント
主題歌:レイ・チャールズ
出演:シドニー・ポアチエ
    ロッド・スタイガー
    ウォーレン・オーツ
    リー・グラント

『踊る~』があまりに大味だったので、『夜の~』で口直しです。
BSでやっていたので久しぶりに見たんですが、シドニー・ポアチエ扮する都会の刑事がなぜ南部のド田舎の町の殺人事件に巻き込まれるのか、その発端をすっかり忘れてました^^;。
フィラデルフィア警察・殺人課のバージル・ティッブス刑事がミシシッピー州の片田舎スパルタの駅にいたのは実家に帰省した帰り、列車を乗り換えるためだったんですね。その時、たまたま町で殺人事件が起きちゃった。で、バージルは差別意識丸出しの警官サムに問答無用で警察署にしょっ引かれて行っちゃうワケでした。
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この地方の黒人に対する差別意識の強さは20年後に作られた『ミシシッピー・バーニング』(A・パーカー監督。時代設定は1964年)でもイヤというほど描かれています。
こちらもほぼ同時代ですが、殺人の容疑者として連行されるのが白人ばかりなのは、ある種の自主規制が働いたせい?もし黒人が容疑者となれば、お話はもっと過激になるでしょうし、バージルの命の危険はもっと増大したはず。
とはいえ、白人たちの差別意識は呆れるほど露骨です。バージルが犯人ではなく刑事であることがわかっても謝罪するわけでもなくニヤニヤ。
バージルも長居は無用と町を出ていこうとしますが、生憎次の列車が来るのは数時間後。仕方なく(っていうか職業意識を刺激されて)、殺人事件など扱ったことのない署長のギレスビー(R・スタイガー)に誘われるままに死体の検死を手伝うことに。
そこで発揮されるのがバージルの卓越した検死能力。今なら検死官のやるべき領域に踏み込んで、犯人像をズバリと言い当てます。だもんだから、見当違いな犯人を捕まえて悦に入っていたギレスビー以下白人警官たちはギャフン。

これ以上居座られると自分たちの立場がなくなると、ギレズビーはバーシルを追い出しにかかりますが、そこで「待った」が。かけた主は殺された白人実業家の妻(L・グラント)。役に立たない町の警察より腕利きのバージルに犯人を見つけ出してもらいたいという至極当然の要求でした。そうしなければ企業を町から撤退させるという脅しつきで。a0037414_18424739.jpg
駅で列車を待っていたバージルを引き留めに行ったギレスビー署長の殺し文句は、「お前さんは白人の鼻を明かさずにはおかん男だ。その絶好の機会を逃す気か?」。
的を射た直球勝負に、バージルは再び町へ。

お墨付きをもらったバージルが狙いを定めたのは、町の実力者で“帝王”と呼ばれている綿花工場の主エンディコットでした。奴隷制時代を彷彿とさせる白亜の大邸宅に住むエンディコットは、慇懃丁寧ながらも黒人警官を完全に見下しており、訪問の理由が殺人事件関与の疑いと知ると癇癪を起こしてバージルに平手打ちを食らわします。
と、咄嗟にバージルも平手打ちのお返し。
もしこの時、そばにいたのがギレスビー署長ではなく白人の使用人だったらバージルは確実に射殺されていたはず。それぐらい空気が張りつめた瞬間でした。
ギレスビーがバージルの行為を黙認したのは、それだけ彼を人間として認め始めていたということなのでしょう。

クールで一分の隙もない身のこなしがバージルの信条ですが、さすがに“帝王”エンディコット邸を訪問した時は緊張したようです。なぜなら彼がズボンのポケットに両手をつっ込んでいたから。それは相手への警戒心が強まっているサイン。自己を防衛しようとする心理の表れだからです。
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その後、事件は意外な展開を見せていくことになりますが、随所に流れるクインシー・ジョーンズとレイ・チャールズコンビによる楽曲がムードを盛り上げるのに一役買っていることは言うまでもありません。
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by kiyotayoki | 2005-10-25 19:38 | 映画(や行)

『踊る大捜査線 THE MOVIE2 』(2003 日)

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監督:本広克行
脚本:君塚良一
出演:織田裕二
    柳葉敏郎 
    深津絵里
    ユースケ・サンタマリア
    いかりや長介
    水野美紀
    真矢みき

だいぶ前に一度書きましたが、一時期、「ドラマの中の飛び降り自殺を止めるシーン」を夢中になって集めていたことがありました。
止めるのには色んな面白い心理テクニックが使われているので、心理学の教材にピッタリだったからです。

実は、TVシリーズ『踊る大捜査線』にもそんなシーン、あったんですよ。
第9話『湾岸署大パニック 刑事青島危機一髪』での一コマ。
野次馬が見上げるビルの屋上で今にも飛び降りそうにしているのは当時人気者だったつぶやきシロー。
さっそく和久さんと青島刑事が止めに入りますが、
和久さんの「死ぬんなら、どうだい、おまわりさんにならないか。拳銃も撃てるし、カッコイイぞ」って言葉に青島クンが「カッコイイけど、仕事はつらいよ」と反応したことがきっかけで、自殺志願者そっちのけで2人して刑事稼業のグチ大会になってしまいます。
「所詮おれら地方公務員だし」
「恋人もできないしな」
「うんうん・・・ほっといてください」
「俺が腰痛持ちになったのも刑事だからだぜ」とかなんとか・・・。
それを聞いてたつぶやきシローがシビレを切らして近づいてきて、
「あんたたち、もっと前向きに生きなきゃダメよ」ってお説教を始めたところを2人に脇をがっちり掴まれて、ハイ無事確保と相成るシーンでした。

これは、自殺を止めてくれるかと思ったら止めるのも忘れてグチ合戦を繰り広げる二人を見て自殺志願者の心に『リアクタンス(心残り)』の心理が芽生えたんでしょうね。でもって、フラフラ近づいてきたところを待ってましたとばかりに捕まえられちゃった。和久さんと青島クンの人柄もよく出ていて、印象的なシーンでした。

で、映画のほうはといいますと・・・。
あまり話題にしたくなかったんですが・・・。
この映画ほど録画して見て良かったと思った作品は最近ではまれです。
なぜって、つまらないトコどんどん早回しできたから。
もしオンタイムで見ていたらチャンネル変えていたな、きっと(^_^;)。曲がりなりにも最後まで見たのは、いかりや長介さんの遺作だと思えばこそ。
日本映画の作り手の皆さん、こんな作品で満足してるとアジアの映画界から取り残されちゃいますよぉ(T_T)
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by kiyotayoki | 2005-10-23 21:10 | 映画(あ行)

『海を飛ぶ夢』(2004 西)

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原題:『MAR ADENTRO』(125分)
監督:アレハンドロ・アメナーバル
脚本:アレハンドロ・アメナーバル
    マテオ・ヒル
音楽:アレハンドロ・アメナーバル
出演:ハビエル・バルデム
    ベレン・ルエダ
    ロラ・ドウェニャス
    クララ・セグラ
    マベル・リベラ

あれは南の島へ行った時のこと。
海岸をドライブ中に天然のプールを発見。さっそく水着に着替えて飛び込み台を目指しました(当時、高所から飛び込むのがマイブームだったんです^^;)。高さは3メートルぐらいだったかな。大した高さでもないので、いきなり頭からドッブーン!
ところが意外に浅かったもんだから、さあ大変。手首はくじくし頭は底で打つしで痛~い目にあってしまいました(下が砂地だったんで大怪我をせずにすんだんですけどね)。
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なんでこんなことを思い出したかといえば、この映画の主人公が25才の時に似たようなことをして首から下が完全に麻痺してしまい、二十数年間、自宅で寝たきりの生活を送っている人だから。
男の名はラモン・サンペドロ。この映画は、実在したこの人物の手記をもとに『アザース』のアレハンドロ・アメナーバル監督がメガホン並びに脚本も音楽も手がけた問題作です。
ちょっと間違えればボクもこの人みたいになっていたかと思うとゾ~ッ(-_-;)だし、テーマが尊厳死いう重たいものとあってかなり身構えて見始めました。
でも、そういう観客のダークな心理を監督は読んでいるのか、オープニングは青い空、ふりそそぐ南の太陽、浜辺にくだける波・・・と、意外なほど明るく突き抜けたシーンから入ります。
それは、ラモンがベッドで思い描いたイメージであったことがすぐにわかるのですが、ちょっと救われるオープニングではありました。
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四肢麻痺となり、あらゆる自由を奪われベッドに横たわるだけのラモンが、せめて“死ぬ”自由を手に入れたいと願う心情は彼の口から溢れるように出てくる言葉で十分に伝わってきます(にしてもスペイン語喋る人って舌の滑りがいいというかスゴイ早口なんですね)。
けど、この二十数年、彼の手となり足となって苦楽を共にしてきた家族を思うと、素直に彼に死を選ばせていいものかどうか・・・。人は人との関わり合いの中で生きており、決してひとりで生きているわけではないのですから。
家族の思いもそれぞれで温度差があります。ラモンの兄は信心深いカトリック教徒であり、家長として弟の積極的な死は絶対認めない。一方、その妻(義姉)は最もラモンのそばにいる人間として「せめて死ぬ自由を」という彼の心情に口には出さねど理解を示しています(この義姉を演じるマベル・リベラという女優さんが素朴で実にいいんです)。若い息子(甥)はまだ“死”に対するリアリティが薄い感じ。
この家族に、尊厳死を支援する団体のジュネ、尊厳死裁判のラモン側の弁護士となるフリア、ラモンのドキュメンタリーをTVで見て感動して家を訪ねてきたロサ・・・といった女性が絡んで物語は生と死に関わるさまざまな問題を見る者に投げかけながら静かに進んでいきます。
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驚いたのは、主演のハビエル・バルデム。50代半ばの男ラモンを演じている彼、てっきりそれくらいの年齢かと思ったら、この撮影時はまだ34才だったんですね(*_*)。  
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写真家の藤原新也の有名な写真集に『メメントモリ(死を想え)』という作品がありますが、普段はどうしても避けて通りたがる“死生観”について、改めて考えるチャンスをくれる映画ではあります。
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by kiyotayoki | 2005-10-22 16:59 | 映画(あ行)

『ウィンブルドン』(2004 英・仏)

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原題:『WIMBLEDON』(99分)
監督:リチャード・ロンフレイン
脚本:アダム・ブルックス他
音楽:エドワード・シェアマー
出演:ポール・ベタニー
    キルステン・ダンスト
    サム・ニール
    ニコライ・コスタ=ワルドゥ

レンタカーを借りてウィンブルドンへ行ったのはもう随分前のこと。ロンドンの中心地から南西に下る行程は大した距離じゃなかったのに渋滞で1時間位かかったかな。
12月のウィンブルドンは人影もまばら。モスグリーンのセンターコートもガラ~ン。いかにも寒々しい感じでしたが、6月になるとここが人で満杯になるんだなぁと思ったらちょっぴり興奮したものです。

このお話の舞台は、6月のウィンブルドン。人で溢れかえっています。
人々の目的はもちろん、年に一度のテニスのメジャー大会観戦。その大会にワイルドカード(協会推薦枠)で出場するのがドラマの主人公ピーター・コルト(P・ベタニー)、32才。
かつては世界ランキング11位まで登り詰めた彼も、今や119位。この大会を最後に引退を決意しています。
そんな彼が、ひょんなことから優勝候補の米国人女子プレイヤー、リジー(K・ダンスト)と出会い恋に落ちるというラブストーリー。
年齢に問題がなければヒュー・グラントがやってもおかしくないような役ですけど、さすがに40過ぎの男にテニスプレーヤーの役は無理ですよね。その点、ポール・ベタニーは撮影時32才で役にぴったり。この人は『ロック・ユー!』 のチョーサー役が印象的でしたが、順調にスターの階段を上ってるみたいですね。
相手役のキルステン・ダンストは、どう見ても優勝候補に名があがるほどの選手には見えないんですが、そこは最新のCG技術がモノをいって素晴らしいサーブ、レシーブをキメてくれます。
恋をしたのを機に、ウソのようにトーナメントを勝ち上がっていくピーター・コルトの試合なんか軽く手に汗を握るほど。

ついに決勝まで勝ち上がったピーターでしたが、相手は強敵。ピーターの緊張は極限に達します。そういう時、緊張を和らげる手っ取り早い方法があるんですが、ご存じですか?
ボーンスタインという心理学者によると、そういう時は馴染みのある“身近な物”に触れればいいんだそうな。デートや商談など緊張する場面では自分の携帯電話を握りしめておくのもいいかもしれませんね。
テニスプレーヤーにとって身近な物といえばテニスボール。そういえばピーター、テニスボールをもてあそんでいましたが、あれで緊張を和らげてたんでしょうね、きっと。
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そうそう、試合の解説者として、往年のテニスブレーヤーのジョン・マッケンローとクリス・エバートが出ておりました。
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by kiyotayoki | 2005-10-20 23:23 | 映画(あ行)

『ヴァージン・スーサイズ』(1999 米)

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原題:『THE VIRGIN SUICIDES』(98分)
監督:ソフィア・コッポラ
原作:ジェフリー・ユージェニデス
脚本:ソフィア・コッポラ
出演:キルステン・ダンスト
    ハンナ・ホール
    ジェームズ・ウッズ
    キャスリン・ターナー
    ジョシュ・ハートネット
    ダニー・デヴィート

『ゴッドファーザー』のフランシス・F・コッポラ監督つながりで、以前から見たいと思っていた作品をご紹介。コッポラ監督の娘ソフィアの初監督作品です。
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同じソフィア監督の『ロスト・イン・トランスレーション』にも出ていたジョヴァンニ・リビシのちょっと気だるいナレーションで綴られる懐かしくも心傷むローティーン時代の思い出話。
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舞台は1970年代半ばのミシガン。美しい楡の並木通りのある、アメリカではよく見かける郊外の住宅地。その住人であるリズボン夫妻(J・ウッズ&C・ターナー)には17才を頭に5人の多感な娘達がいます。その美しさは近所でも評判で、同世代の男の子達はその姿をひと目見ようと家を遠巻きにしてのぞき込むほど。
夏の太陽のごとく一点の陰りもないように見える家族でしたが、内実は別もの。13才の五女の自殺を皮切りに、リズボン家には暗雲がたちこめ始めます。

このリズボン家、男は父親ひとりだけ。ウッズ扮する高校の数学教師の父親は優しくはあるものの、久しぶりに見たターナー扮する迫力満点の妻の前ではその存在感は限りな~く薄い。つまりリズボン家は強い母親が支配する女系家族なんですね。
家長であることを自認する母親は、得てして娘が自分を超えることを望まない傾向があります。なのに十代の娘たちはどんどん美しくなるばかり。一方、自分は歳をとるばかり。
そういう母親はメラメラ燃える嫉妬心を隠すべく、ますます強権を発動して娘達を締めつけにかかります。自由を束縛し異性との交渉も極力避けさせたがる。
実際、四女ラックス(K・ダンスト)の朝帰り事件以来、怒ったキャスリンママは娘たちを自宅に軟禁状態にしてしまいます。
セリフの中にも出てきますが、彼女たちは動物園に保護されている“絶滅危惧種”のような存在になってしまうのです。そして、絶滅危惧種の動物たちが味わっているであろう孤独感や寂寥感、絶望感を体感することに。
そんな彼女たちがとった行動は・・・・。

主演は、この頃が一番キレイだったかもしれない・・・と思ったほどのキルステン・ダンスト、当時16才。でも、まだ若いし心許ない。で、お父さんを見習ったのか、そのコネを使ったのか、ソフィア監督、ワキをベテラン俳優陣で固めています。ジェームズ・ウッズしかり、キャスリン・ターナーしかり、ダニー・デヴィートしかりです。ちょい役で出てくるマイケル・パレやスコット・グレンは監督の好みかも~(^_^;)。
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by kiyotayoki | 2005-10-18 21:50 | 映画(あ行)

『ゴッドファーザー』(1972 米)

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原題:『THE GODFATHER』(175分)
監督:フランシス・F・コッポラ
原作:マリオ・プーゾ
脚本:フランシス・F・コッポラ
マリオ・プーゾ 
音楽:ニーノ・ロータ
出演:マーロン・ブランド
    アル・パチーノ
    ジェームズ・カーン
    ジョン・カザール
    ダイアン・キートン
    ロバート・デュヴァル 

コッポラ32才、ロータ60才、ブランド47才、パチーノ、31才、カーン32才、カザール36才、キートン25才、デュヴァル40才・・・・、監督・俳優等の当時の年齢を書き出しただけでも、若い才能と熟練の技が時と場を得て絶妙のハーモニーを奏でた作品なのだなぁと改めて思わせてくれます。
今回は、ちょっと前に見た香港映画『インファナル・アフェア2』と重ね合わせながら興味深く見ました。

オープニング。夏の陽射しがふり注ぐコルレオーネ邸の屋外。そこで華やかに繰り広げられているのはマフィアのドン・ヴィトー・コルレオーネの娘コニー(タリア・シャイア:コッポラの実妹)の結婚式。
一方、ブラインドが下ろされた暗い邸内では、ドンが友人の頼み事に耳を傾けている。
光と闇のコントラスト。それがこの映画全体の基調をなしている感じ。
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この重厚な物語の主人公は、ヴィトーの三男マイケル。
父ヴィトーのような人生を否定しつつも、運命のいたずらでコルレオーネファミリーの後継者になっていく彼の苦悩と屈折した心理を、当時まだ無名だったアル・パチーノが熱演しています。が、それだけに暗く、重たくて正直言えば決して好きにはなれないキャラクターです(^^;)。

そんなマイケルが父に重症を負わせた男ソロッツォと汚職警官をレストランで談合中に射殺するという有名なシーンがあります。
緊張で顔をこわばらせるマイケル。この時、殺される2人に少しでも心理学の知識があれば、ヤバイ状況であることを悟ったかも。
というのも、マイケルの顔は左側しか笑っていなかったから。作り笑いの場合、右利きの人では笑顔は左側にしか表れない場合が多いのです。
「顔の左側に注目せよ」
これは心理戦の鉄則なのです。
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by kiyotayoki | 2005-10-16 22:06 | 映画(か行)