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映画の心理プロファイル

『アズールとアスマール』(2006 仏)

ただ今、資格をとるために猛勉強中のRuijiさんに勧めていただいたアニメ映画『アズールとアズマール』。
あの『キリクと魔女』(1998)の映像作家ミッシェル・オスロ監督が2006年に発表した作品です。
アマゾンから届いたので、さっそく鑑賞(^_^)v

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原題:『AZUR ET ASMAR』(99分)
監督・原作・脚本:ミッシェル・オスロ
音楽:ガブリエル・ヤレド

『キリクと魔女』でも、その独特の色彩や造形、そしてストーリー展開に酔わせてもらったけれど、
本作も一つ一つのシーンがそのまま絵画やタペストリーとして壁に飾りたいような美しさとエキゾチックさに溢れている。
また、アラビックなお話もファンタジーとして存分に楽しめる作品に仕上がっておりました。

アズール(azur)はフランス語で「青」、アスマール(asmar)はアラビア語で「褐色」、つまり、これは『金髪碧眼のヨーロッパ人と褐色黒目のアラブ人の2人の若者』のお話。
人種や宗教の違いから起こる反目や差別、価値観の違いがベースにある。
なので、少々大人向きなのかもしれないけれど、そんなことはお構いなしに、登場人物達の魅力、色彩の豊かさに子供達もきっと魅了されるに違いない。

“いい子はね 大きくなって 海を渡るよ 救い出すよ ジンの妖精を そしてふたりは幸せに”

これはアラビア人の乳母ジェナヌが、領主の息子アズールと自分の息子アスマールに毎晩のように歌って聞かせた子守歌。

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兄弟のように育てられた2人。でも、領主である父の厳命で乳母はお払い箱に。2人は離れ離れになってしまう。
成長したアズールは、乳母の子守歌が忘れられず、妖精「ジン」を探すためジェナヌとアスマールの住む中東の国へと旅立ちます。

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演出的に面白いなと思ったのは、劇中に登場するアラビア語をあえて翻訳しないというところ。
吹替版で見たら、フランス語の部分は声優によって吹き替えられているけれど、アラビア語の部分は原語のまま。
もちろん何を言ってるのかわからない。
だけど、異文化の中に放り込まれたアズールの不安はこちらにひしひしとに伝わってくるし、それだけで異文化のムードが十分醸し出されちゃう。
オスロ監督はあるインタビューでこう答えていた。
「お互いの理解のためには、『違う』ということを受け入れなければなりません」
異文化の受容と融和、これがきっとこの監督のテーマであり、創作の原動力にもなっているんだろうな。
それは幼少時代にアフリカのギニアで過ごすという経験をしてるオスロ監督ならではなのかも。

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見ていて嬉しくなちゃったのは、『キリクと魔女』のキリクと似たキャラクターがこの作品にも出てきたこと。
それが、上の画像の真ん中にいる小さな女の子、シャムスサバ姫。
スピーディな動きにしろ、好奇心旺盛で無類のお節介焼きなところにしろ、キリクにそっくり♪
監督のお気に入りなんだろうな、このキャラは(^^。

テーマ曲を歌っているのは、スアド・マシ(Souad Massi)さんという、アルジェリアの歌手なんだそうな。




by kiyotayoki | 2010-05-25 09:51 | 映画(あ行)