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映画の心理プロファイル

『ベストフレンズ・ウェディング』(1997 米)

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原題:『MY BEST FRIEND'S WEDDING』(104分)
監督:P・J・ホーガン
出演:ジュリア・ロバーツ
    ダーモット・マローニー
    キャメロン・ディアス
    ルパート・エヴェレット

おかま(ゲイ)の人っていうと、「早口」「毒舌」というステレオタイプなイメージ
が勝手に出来上がっちゃってますが、この映画に登場するゲイの男性は
それとは正反対。物腰柔らかで優しく耳元て囁いてくれるようなタイプです。
あなたが女性で、ゲイの友人が持てるとしたら、さて、どちらを選ぶでしょうね。

ジュールス(J・ロバーツ)はニューヨークで働くシェフたちを戦々恐々とさせて
いる新進料理評論家。仕事が忙しくて恋は二の次。だから、変な気をつかわ
なくてすむゲイのジョージ(R・エヴェレット)はとても頼りになる、そして都合の
いい男友達でした。ジョージは彼女の本の担当編集者なのです。

そんな彼女にシカゴに住む元彼のマイケル(D・マローニー)から電話がかかっ
てきます。別れた後も親友(ベストフレンド)として連絡は取り合っていたし、
「28までお互い独身だったら結婚しよう」と約束していた相手だけに、28歳の
誕生日を3ヶ月後に控えたジュールスとしてみたら、心ときめく電話でした。
ところが電話の内容は、
「4日後に結婚する。不安で眠れないんだ。シカゴに来てくれない?」
というもの。
電話を切ってすぐジョージに電話したジュールスは彼にこう宣言します。
「シカゴへ行って彼を取り戻す。そして結婚するわ!」
ジュールスの心に『リアクタンス(心残り)』の心理が芽生えたんですね。
「逃がした魚は大きい」とよくいいますが、手を伸ばせば届くところにいると
思っていた彼が、急に手の届かないところに行ってしまうと、とても大切な
ものを失うような気がして、なんとしてでも取り戻したくなるのです。

意気込んでシカゴに乗り込んだジュールス。
でも、いきなりカウンターパンチをくらってしまいます。
マイケルと一緒に空港に迎えに来た婚約者のキム(C・ディアス)から
「嬉しい!お姉さんができたみたい。ねえ、私のブライド・メイド(付添人)を
お願いしていいかしら。あなたに私の新しい親友になって欲しいの」
と、懇願されてしまったのです。
恋人を奪い返しに来たのに、なんと2人を祝福する役をあてがわれてしまった
わけです。

まあ、ジュールスは自ら不利な立場に自分を置いてしまったんですから、
仕方のない展開だったのかも。
『ホームグラウンド効果』というのをご存じでしょうか。
これは、「自分のならばりなら心理的に優位に立てる」という心理法則です。
野球でもサッカーでもホームグラウンドで闘ったほうが勝率かいいもの。
それは、なじみの場所だけに、相手より心理的に優位に立てるからです。
恋を自分のペースで運びたいのなら、初めての店より、行きつけの店を選ぶ
べし。これは恋の心理法則でもあります。
なのにジュールスは、敵地であるシカゴへ乗り込んでしまったのです。
味方は、ゲイの友人ジョージだけ。
さて、このハンディキャップを乗り越えてジュールスは、大金持ちの令嬢で、
年齢も20歳そこそこの若いピチピチ娘から元彼を取り戻すことはできるので
しょうか。

 ※なお、この映画で心優しきゲイを演じているルパート・エヴェレットは、実
  生活でも自分がゲイであることをカミングアウトしているんだそうです。  
by kiyotayoki | 2004-09-25 08:59 | 映画(は行)