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映画の心理プロファイル

『チョコレート・ファイター』(2008  タイ)

ある時期、ジャッキー・チェンの映画が来たら必ず映画館へ駆けつけたものだった。
なぜあんなに夢中になったのか、当時を振り返ってみると、
たぶん彼が「所詮映画は作りもの・・・」という僕の思い込みを打ち破ってくれたからかも。
もちろんジャッキーの映画も作りものに違いはないのだけれど、たかが作りもののためにそこまで体を張るか!?
とびっくりしてしまったのだ。
ちょっと間違えれば大怪我、下手をすると死んでしまいそうな過激なアクションを我が身を削ってフィルムに焼き付けていく、
そのストイックなまでの映画作りに畏敬の念まで覚えちゃったのでした。
しかもジャッキーは研究熱心な人で、キートン、チャップリン、ロイドといった往年のスラップスティックコメディの名シーンを彼流にアレンジ・再現していて、それを見つけるのも楽しかった。

そんなジャッキー・チェンも、もう50代半ばを過ぎ、最近はアクションもかなり大人しくなちゃったなぁ・・・
そう思っていたら、すこぶる活きのいいアクションを披露してくれる映画と遭遇してしまった。
しかも、主役は筋骨隆々の男じゃなく、華奢な女の子なのだ。

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原題:『CHOCOLATE』(93分)
監督:プラッチャヤー・ピンゲーオ
脚本:チューキアット・サックウィーラクン
出演:ジージャー
   阿部寛

観る前は、ありがちな女カンフー物かなと思ってた。
ところが物語は意外な展開を見せていく。
しかも、将来は大きな男どもをなぎ倒していくであろう少女はなんと自閉症児なのだ。
    
サヴァン症候群という症例があるのをお聞きになったことがあるのではないでしょうか。
映画『レインマン』でダスティン・ホフマンが演じた自閉症の男がそうだったけれど、床に散らばった爪楊枝を見て即座に246本と当ててしまったり、中には一度聞いただけの曲を完璧にピアノで再現できてしまう人もいる。
そんな具合に自閉症の人の中には、ある特定の分野にのみ驚くべき才能を発揮する人がいるらしい(サヴァン症候群のサヴァンは仏語で「賢人」という意味)。

ならば、知能ではなくフィジカルの面でもそういう特殊能力を発揮する人間がいてもいいのでは・・・・
そんなユニークな発想が元になって、この映画は作られたようです。
この少女、格闘技の高度なスキルを、目で見ただけでなんと完全コピーできるのです!
大好きなマーブルチョコ食べながらTVでカンフー映画を見てるだけで技術をマスターし、超人的なワザを実際に繰り出せちゃう。
ブルース・リーの映画も観てるので、例の怪鳥音(?)もちゃんと修得してるし。
漫画みたいな話だけど、見てるとそれほど絵空事でもないかもなぁと思わせてしまう演出がなされていて楽しませてくれる(^^ゞ

そんな少女の名前はゼン(禅)。
日本の大物ヤクザとタイ人女性ジンを両親に持つ女の子という設定で、日本のヤクザに扮しているのは我らが阿部寛だ。
成長したゼンはある日、最愛の母ジンが白血病に冒されていることを知る。
多額の治療費を工面するためには、母親が金を貸している連中から借金を取り立てる必要がある。
だけど、その連中はそろいもそろって悪い奴らばかり。金を返すどころか、ゼンを袋叩きにして追い返そうとする。
そこで、ゼンの非凡な能力が発揮されることになるのだけれど、これがかなりのハードアクションなのです。

それもそのはず、この映画はCGやワイヤーアクション、早回しなどを一切使わないってことで話題になった『マッハ!』を撮った監督の作品なんだね。
主演のジージャーことヤーニン・ウィサミタナンは、監督が4年の歳月をかけて基礎から育て上げたというアクション界期待のニュー・ヒロインなのだそうな。
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ゼンを演じたジージャーという女優さん、どこかで見たような顔をしてるなぁと思ったら、『ジョゼと虎と魚たち』で不思議な女の子を演じた時の池脇千鶴に似てるんだな、顔も、そしてキャラ的にも。


それにしても、この手の映画では恒例となっているエンディングロールのNG集。
ちょっとタイミングがズレれば大怪我は間違いなしってシーンのNGなので、その痛々しさはMAXでありました(^^;
by kiyotayoki | 2010-10-09 20:34 | 映画(た行)