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映画の心理プロファイル

『十三人の刺客』(1963 日本・東映)

弘化元年は1844年にあたるのだそうな。
徳川幕府終焉まであと23年。坂本龍馬は9歳、近藤勇も10歳、勝海舟が21歳と、
幕末を彩る人たちはまだ幼かったけれど、幕藩体制はかなり揺らぎ、軋み出していた頃だと思う。

そんな時代を背景にした物語、それが『十三人の刺客』。
リメイク作が公開されたこともあり、改めてオリジナルのほうを観てみることにした。

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監督:工藤栄一
脚本:池上金男
音楽:伊福部昭
出演:片岡千恵蔵
   里見浩太郎
   内田良平
   西村晃

このお話の語り手(ナレーション)は芥川隆行さんだったんだね。
『水戸黄門』などのわりとくだけた口調のナレーションと違って、渋くて重々しいので、まさかこの方だとは思わなかった。

お話は、弘化元年(1844年)、
明石藩の江戸家老が、筆頭老中・土井大炊頭(どいおおいのかみ)邸の門前で訴状と共に自決するところから始まります。
訴状には、藩主・松平斉韶(なりつぐ)の異常性格と暴虐ぶりが連綿と記されていたのだけれど、
斉韶は将軍徳川家慶の弟、たとえ老中でも容易には処罰できない。

しかし、事情を知らない将軍が来春、斉韶を老中に抜擢する意向を示したことから、
老中土井(丹波哲郎)は暴君斉韶の密かなる排除(暗殺)を決意する。
その命を受けた旗本島田新左衛門(片岡千恵蔵)は12人(のちに13人)の暗殺部隊を編成し、
参勤交代により帰国途上の斉韶一行を襲撃する策を練るのだが・・・・というのが導入部のあらまし。

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暴君・斉韶がホントに憎々しく描かれているので、見てるこちらは素直に刺客たちにシンパシーを感じられるようにできている。時代劇はこうじゃなくっちゃね。
暴君を演じている菅貫太郎さんは、この名演技のおかげで「酷薄な馬鹿殿さま」のキャラが十八番になってしまったのだそうな。
リメイク作では、これを稲垣吾郎クンが演じるらしいけど、稲垣クンもこれがハマり役になっちゃったりして(^^;

このお話が優れているのは、悪をただの悪の集団にしなかったところかな。
暴君に仕えている人たちも実は心を痛めているのです。だけど主従関係は絶対のもの。
どんな悪辣な主君でも、それに付き従い、守り通すのが配下である侍の本分、
そう考え、それを実行するのが内田良平さん扮する鬼頭半兵衛。これが敵ながらカッコイイ♪
鬼頭は、暗殺団の動きを察知して先手先手と手を打つので、島田新左衛門以下12人もおいそれとは襲撃をかけられない。

そんなジレンマを抱える防衛部隊と暗殺部隊の知略、かけひきが前半の山場。
そして後半は、いよいよある宿場町を舞台にした53対13の攻防戦・剣戟戦となる。

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決戦の朝、敵方53騎が蹄の音をかき鳴らしながら霧の中から次第に姿を現すロングショットは、
日本映画史に残る名シーンのひとつかも。

13人の中で、もうけ役は剣に生きる孤高の浪人・平山九十郎(島田家の食客)。演じるのは西村晃さん。
当時は40歳ぐらいだったんだなぁ。唯一人、刀に血を吸わせた経験のありそうな人物で、その個性は際立っていた。
他の12人は、首領の島田新左衛門からして道場剣法で、実戦の経験はなかったんじゃないかしら。
そのせいかどうか、島田新左衛門は53対13と数的には圧倒的に不利なのに、
味方の加勢にも行かず、宿場町の地図を前にして配下に指図をするだけだ。
まあ、演じるのが東映の大看板・千恵蔵さんだから、泥臭いリアリズムの太刀回りなんかさせるわけにはいかなかったのかな?


あ、いま気がついたけど、この映画には新旧の黄門さまが、月形龍之介さん、西村晃さん、里見浩太朗さんと、
3人も出演していたんだね♪

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by kiyotayoki | 2010-10-12 22:55 | 映画(さ行)