地震の後かたづけで見つけたもの
それが下の“猫の形をした陶器製のポット”。右の前腕が注ぎ口になっている。
倒れた本棚の一番下に、スーパーの袋に包まれたダンボールの箱があった。
何だろうと思って今日開けてみたら、入っていたのがこれだった。
見覚えはある。だけど、なんでこんな物があんなところに・・・?
思いを巡らしてみて、やっと思い出した。
これは随分前、亡妻の誕生日にプレゼントしたものだった。
恵比寿に住んでいた頃は、確か食器棚に飾ってあったと思う。
そのあと引っ越しをして、しかもこのポットがあまり実用的ではない代物なので、
ダンボールに入れたままにしてあったのだろう。
だけど、プチプチに包んでダンボールに入れてあったからこそ
本棚と一緒に倒れても壊れなかったのだと思う。
棚に飾ってあったら、落ちて割れていたに違いない。
だとすると、彼女には先見の明があったということかもしれない、な。
何はともあれ、
彼女の命日に割れた猫ポットを見なくてすんだのは幸運だった。