人気ブログランキング | 話題のタグを見る

映画の心理プロファイル

『シャーキーズ・マシーン』(1982 米)

『シャーキーズ・マシーン』(1982 米)_a0037414_18301078.jpg
原題:『SHARKY'S MACHINE』(122分)
監督・製作:バート・レイノルズ
出演:バート・レイノルズ
    レイチェル・ウォード
    ヴィットリオ・ガスマン
    ブライアン・キース
    チャールズ・ダーニング
    ヘンリー・シルヴァ

先日、衛星放送で『ロンゲスト・ヤード』を見た時、「じゃあ、アレももう一度見てみたいな」と思った作品がコレ。当時、珍しくサントラを買って一時期よく聴いていたので映画の内容以上に愛着がありました。
そうしたら嬉しいことに昨夜、同じチャンネルでON AIR。やったね!

肉体派B・レイノルズ監督・製作・主演の刑事物、というとコテコテのアクション映画を思い浮かべそうですが、もちろんアクションシーンはあるものの、監督業に乗り出したB・レイノルズの気概が感じられる一編に仕上がっています。

オープニング。敏腕刑事シャーキー(B・レイノルズ)は、とんまな同僚のせいでいきなり麻薬課から地味な風俗課に転属させられてしまいます。
警察署の地下にある風俗課ははきだめのような部署で、主な仕事は風俗嬢の取り締まり。おとり捜査で命を削る仕事をしていたシャーキーにとっては気持ちが萎えてしまいそうな仕事。
そんな鬱々とした日々がある日、一転します。
いつも取り締まっているシケた娼婦ではなく、一晩1000ドルも取る高級娼婦を配給する組織が捜査線上に浮上。それに知事選に立候補している大物代議士が一枚噛んでいることがわかったのです。
シャーキーはその証拠固めに、高級娼婦ドミノ(R・ウォード)が住むマンションに盗聴器を仕掛け、向かいのビルから24時間体制で張り込みを開始します。

見張る相手ドミノは、さすが一晩1000ドル取るだけあって、ほれぼれするような美女。そんな美女を24時間監視するんですから、恋をするなというのは酷というもの。シャーキーはその美しさに心底参ってしまいます(どうも彼、独り者みたいだし)。
片思い、というより、もうストーカー状態。
ストーカーには『被愛妄想(エロトマニア)』に陥っている人が多いのですが、『被愛妄想』には妄想の度合いによって3段階に分かれます。
①「希望期」・・・・ひょっとしたら相手も愛してくれているのではと希望を抱く
           時期           
②「憤慨期」・・・・こんなに愛してるのになぜこの愛を理解してくれないんだ
           と憤懣をためこむ時期
③「怨恨期」・・・・可愛さ余って憎さ百倍。ふり向かない相手に憎悪の感情
           をむき出しにする時期。ストーカー殺人が起こるのは、まさに
           この時期です。 
ドミノが「マイ・ファニー・バレンタイン」を口ずさむのを聞きながら、シャーキーが遠く離れた部屋で、さもデュエットでもするように合わせて歌っていた時期は彼にとっては「希望期」だったのでしょう。
けれどドミノは高級とはいってもやはり娼婦。ボスのビクター(V・ガスマン)に抱かれるドミノに嫉妬の感情をむき出しにする(憤慨期)シャーキーですが、勝手に恋をしているわけですから、どうにもならないことは本人が一番よく知っていました。でも、つらいですよね。

そんなドミノが突然、ショットガンで殺害されます。殺したのはボスの弟(H・シルヴァ)。ボスのビクターは、必要のなくなった人間は容赦なく殺す男。
そして、実際に手をくだすのは冷血漢の弟でした。
その弟を演じるヘンリー・シルヴァが、まさにハマリ役!
この映画は、ヘンリー・シルヴァの冷酷非道ぶりを堪能するためにある!
と言っても過言ではないほど。
『シャーキーズ・マシーン』(1982 米)_a0037414_18413223.jpg
『シャーキーズ・マシーン』(1982 米)_a0037414_18402979.jpg
渥美清をヤセさせて恐くしたような顔(当時、裏渥美清、あるいは渥美清のダークサイドマンと個人的に呼んでいました)をしているヘンリー・シルヴァは、このお話ではいくら弾を撃ち込まれても死なない、まるでターミネーターのような男。その怪演ぶり、是非見てもらいたいなぁ。
by kiyotayoki | 2004-10-27 10:22 | 映画(さ行)