『ハード・キャンディ』(2005 米)
友人の好意で観ることができた♪
原題:『HARD CANDY』(103分)
監督:デヴィッド・スレイド
脚本:ブライアン・ネルソン
音楽:ハリー・エスコット モリー・ナイマン
出演:パトリック・ウィルソン
エレン・ペイジ
抽象画家モンドリアンの絵を思わせるシンプルなタイトルデザインからして赤が強調されているこの作品。
赤は、情熱以外に“怒り”を表す色でもある。
もし赤ずきんが怒りを内に秘め、周到な計画を立て準備万端でオオカミに対して反撃(復讐)に出たら・・・・って感じの映画でありました。
ウィキペディアによると、日本の女子高生によるオヤジ狩りのニュースに着想を得て製作されたものなんだそうな。
登場人物は、ほぼ2人だけ(ちょい役を含めてもたった5人)。
ひとりは、32歳の売れっ子カメラマン、ジェフ。もうひとりは14歳の少女ヘイリー。
終始、この2人の顔のアップばかり。場所もオープニング以外はほとんどがカメラマン宅の室内だけ。
それで最後まで観客を惹きつけてしまう構成力と演出力はこの監督、ただ者ではないのかも?
低予算映画だけれど、安っぽさは微塵も感じなかったし。
当時まだ17歳だった(もっと幼く見えます)エレン・ベイジのユニセックスな魅力も全開だ。
ただ、後味はよろしくないし、見ていて疑問符が幾つもついてしまう映画でもあった。
だって、いくら不用意だったにしてもオオカミにも反撃に出るチャンスは何度かあったし、
赤ずきんの都合のいい展開に協力さえしてしまうんだもの。
ラストにしてもさんざんいたぶられたオオカミ(カメラマン)の心理を考えると、
あの行動に出るとはちょっと思えないんだなぁ。
この映画を観ていて、思い出したある心理実験があります。
オランダで1883年に実際に行われた、今なら絶対許されないであろう禁断の実験です。
目隠しをされベッドに縛り付けられた男はブアメードという名の死刑囚。
それを取り囲む白衣の医師たちの1人がブアメードに厳かにこう告げます。
「これから行うのは、どれだけ血を取ったら人は死ぬかを確かめる実験だ。では、これから足の親指にメスを入れる」
鋭い痛みに顔を歪ませるブアメード。
ぽとりぽとりと血のたれる音がブアメードの耳にも届きます。
それは死へのカウントダウンともいえる音でした。
数時間後、医師達はブアメードに聞こえるようにこんな会話を交わしました。
「これで血液の三分の一が流れたことになるな」
「うむ、人が死ぬには十分な出血量だ」
それを耳にしたブアメードが息を引き取ったのはそれから間もなくのことでした。
死因は出血多量?
いいえ。実は、ブアメードはどこも傷つけられていなかったのです。
医師達はただ足の指に痛みを与えただけでした。
そして、用意していた金だらいに水滴をぽとりぽとりと落とし続けただけ。
なのに、ブアメードは衰弱し、とうとう死んでしまったのです。
この実験は、心の状態がいかに体の健康状態に影響を与えるかを調べるためのものだったんですね。
「病は気から」というけれど、人は気持ちが落ち込むと治る病気も治らなくなるし、
気持ちが前向きであれば薬の世話にならなくても病気に打ち勝つことだってできるということを証明した実験であったということ。
だからって、死刑囚とはいえ人を死に至らしめちゃう実験なんて、ねぇ(^^;
上の画像は、身動きできないオオカミ(カメラマン)におぞましくも屈辱的なある手術を施す前段階として、
彼の陰部の毛を剃ろうとしている赤ずきんちゃん。
さて、その恐怖の手術とはいったい・・・・