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映画の心理プロファイル

『ニック・オブ・タイム』(1995 米)

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原題:『NICK OF TIME』(89分)
監督:ジョン・バダム
脚本:パトリック・シーン・ダンカン
出演:ジョニー・デップ
    クリストファー・ウォーケン
    チャールズ・S・ダットン
    マーシャ・メイスン

このところ“殺し屋”つながりで映画を選んでいますが、
こちらは、主人公が“殺し屋”になることを強いられるお話。
強いられるのは、ジョニー・デップ扮する税理士。個性的なキャラの多いデップ
が、この作品では珍しくサラリーマンスタイルで“普通の人”を演じています。
強いるのは、クリストファー・ウォーケン扮する刑事(?)。こちらはいつもの
ウォーケン。

このお話の面白いところは劇中の時間と上映時間をほぼ一致させている
ところ。映画はお昼の12時に始まり、1時半ちょっと過ぎに終わります。
つまり90分。上映時間も約90分。リアルタイムでサスペンスが進行するわけ
です。
最近でいえばTVドラマの『24』が使ってる手法ですね。映画史的にいえば
ヒッチコックが『ロープ』(1948)で実験的にやった手法。

この90分というのは、実は、心理的・生理的に見て絶妙な時間です。
というのも、人間が精神を集中できる限界の時間が90分とされているから。
映画の上映時間がだいたい90分前後なのも、大学などの授業時間が90分
に設定されているのも、そのあたりが勘案されているからです。

ロサンゼルスの駅に娘のリンと主人公ワトソンが降り立ったのが12時。
悪夢が始まったのは、それから数分後のことでした。
刑事2人に職務質問を受けたと思ったら、バンの中に引っ張り込まれ、
「この封筒の中の人物を1時半までにこの銃で暗殺しろ。さもなくば娘の命は
ない」と脅迫されたのです。

やむなく指定されたホテルへ向かうワトソン。
そのホテルは映画に登場する回数ではトップクラスのボナベンチャー・ホテル。
反射ガラス張りの円筒形の建物と外壁に設置されたエレベーターが特徴の
あのホテルです。『トゥルーライズ』『ザ・シークレット・サービス』『リーサル・
ウェポン』などなど、ここでロケをやった映画を数え上げたらキリがないほど。

ホテルではこの日、大きなイベントが開催されていました。
カリフォルニア州の女性知事エレノア・ブラント(M・メイスン)が再選を目指して
大集会を開いていたのです。ホテルロビーにはエレノアの巨大なポスターが。
それを見てワトソンは戦慄します。
封筒に入っていたターゲットの写真がエレノアその人だったからです。
ワトソンは、知事暗殺の陰謀に加担させられようとしていたのです。
陰謀の首謀者は、州を牛耳る某権力者。自分の意のままに動かない知事を
抹殺しようとしていたのです。
ワトソンはなんとかして事件が進行中であることを誰かに知らせようとしますが、
娘を人質にされている上、知事を守るべきシークレットサービスの中にも陰謀に
荷担している者がいて手も足も出ません。
そうするうちにも時間は刻々と過ぎていきます。
後ろには、ウォーケン扮する刑事がぴったりくっついていて「早く殺せ」と囁き続
けます。

ほんとにスリリングな90分。たぶん集中力がとぎれることはないでしょう。
by kiyotayoki | 2004-11-10 10:01 | 映画(な行)