映画の心理プロファイル

『タイム・リミット』(2003 米)

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原題:『OUT OF TIME』(105分)
監督:カール・フランクリン
脚本:デイヴ・コラード
出演:デンゼル・ワシントン
    エヴァ・メンデス 
    サナ・レイサン
    ディーン・ケイン
    ジョン・ビリングスレイ  

デンゼル・ワシントンがアカデミー主演男優賞を取った後に出た作品として
あちらではそれなりに話題になったサスペンス映画だそうです。日本では
どうだったんでしょう。

映画の舞台は、常夏フロリダの小島バニアン・キー。
主人公のマット(D・ワシントン)は4人しか職員のいない警察署の署長を務め
ています。島では人格者で通っていますが、実は、夫のいる女性と不倫の真
っ最中。というのも、8ヶ月前から妻のアレックス(E・メンデス)とは別居状態
だから。
不倫相手は、高校時代のガールフレンド・アン(S・レイサン)。
アンは夫のクリス(D・ケイン)から日夜暴力を振るわれている女性。
DV(ドメスティック・バイオレンス)の被害者なんですね。
その悩み相談を受けるうちに、一線を越えてしまった模様。

DV被害に遭って悩んでいる女性は想像以上に多いようです。
暴力を振るう男となんか別れてしまえばいいのにと思いますが、そう簡単に
いかないのがこの問題の難しいところ。
簡単にいかないのは、被害に遭う女性が『ダブルバインド(二重拘束)』の罠に
はまり込んでしまっているから。
暴力を振るう男は、だいたい決まって翌日には自分の非を認めて平謝りしま
す。なのにまた暴力を振るう。そしてまた謝るを繰り返します。
このように、まるで相反する行動を相手にとられると、人は混乱して思考停止
状態に追い込まれ、相手の言うがままになってしまいがちなのです。
それが『ダブルバインド』の恐さ。
しかも、別れるということは、今までの自分の人生を否定してしまうことになり
ます。だから、なかなか別れる決断ができないんですね。

ある日、そのアンが末期癌であることがわかります。
打ちひしがれるアンに、マットは医者に勧められたスイスでの高度医療を受け
るように説得しますが、アンにもマットにも高額な医療費をまかなえる財力は
ありません。そこでマットは、アンのために禁じ手を使う決心をします。
警察署の金庫には、麻薬取締局が押収した48万5千ドルという大金が眠って
おり、1年間はそのまま保管され続けることになっていました。
マットはそれを流用することにしたのです。
マットはアンに大金の入ったバッグを手渡し、互いに旅立つ支度をして深夜に
会う約束をします。けれど、約束の時刻になってもアンは現れません。
不安になったマットがアンの家に出向くと、なんと家は火の海。
焼け跡からは、アンと夫のクリスと見られる焼死体が発見され、また、出火の
原因は放火であることも判明します。
ただの失火が放火殺人事件へと発展してしまったのです。
しかも、その捜査に当たるのは、別居中の妻アレックス。彼女は殺人課の刑事
なのです。

調べが進んでまず疑われるのは自分だと悟ったマットはあわてます。
アンと不倫していたということだけでもヤバいのに、前夜マットがアンの家の前
をうろついていたのを隣家の人が目撃していること、アンとの通話記録、アンの
保険金の受取人が夫からマットに変更されていること、などなど状況証拠の
すべてがマットに不利なものばかり。
それまでのんびりしていたお話の展開が、ここから急に緊迫してきます。
マットは警察署長という立場をフルに活用して、不利な証拠が発覚する前に
なんとか揉み消しつつ、単独で真犯人に迫っていきます。
だから後半はハラハラドキドキの連続。
難点は先が読めてしまうことでしょうか・・・。
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by kiyotayoki | 2004-11-14 10:09 | 映画(た行)