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映画の心理プロファイル

『電話で抱きしめて』(2000 米)

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原題:『HANGING UP』(94分)
監督:ダイアン・キートン
製作:ローレンス・マーク
    ノーラ・エフロン
原作:デリア・エフロン
脚色:デリア・エフロン
    ノーラ・エフロン
出演:メグ・ライアン
    ウォルター・マッソー
    ダイアン・キートン
    リサ・クドロー 

昨年末、元気が取り柄の父が病魔に倒れてしまったので、この映画のテーマが他人事ではなくなってしまいました。

年老いた父と3人の娘達の物語です。
父親のルーを演じるのは、これが遺作となってしまったウォルター・マッソー。
年老いて死期の迫った父親の役なので、はまり役ではあるんですが、はまり過ぎて痛々しいくらい(;_;)。
勝ち気でしっかり者の長女ジョージアには、この映画の監督もしているダイアン・キートン。
お人好しな性格が災いして姉妹の中ではいつも貧乏くじを引いてしまう次女イヴにはメグ・ライアン。
そして自己チュウで自由奔放な末娘マディはリサ・クドローが演じています。

お話は、ボケの進んだ父ルーが入院するところから。
入院の手配から日々の世話まで父の世話を一手に引き受けているイヴは
電話でジョージアやマディに助けを求めますが、雑誌編集長をしているジョージアには創刊5周年号の準備で忙しいと断られ、TVのメロドラマ女優のマディにも「やっととれた休暇の邪魔をしないで」と電話を切られてしまいます。
長女と三女の自分勝手ぶりは今に始まったことではないので、イヴは渋々、けれど大好きな父を独り占めにできる喜びも感じながら孤軍奮闘します。

時々挿入される父との過去の思い出は決して楽しいものばかりではありません。
映画の脚本家だった父は妻が愛想を尽かして出て行ってしまった後は酒に溺れてはイヴに迷惑をかけてばかり(マッソーの熱演がまた痛々しくも嬉しい)。
でも、二人でクリスマスツリーを買いに行く回想シーンはホントに楽しそうでした。
あちらの人たちにとって、ツリーは一家団欒の象徴なんでしょうね。
そうそう、この映画の原作者の父親も『ショウほど素敵な商売はない』などの著名な脚本家。
しかも原作者も3姉妹。どうやらこの作品は原作者の体験に基づいたお話のようです。
   ※製作に名を連ねているお姉さんのノーラは、メグ・ライアンの出世作
    『恋人たちの予感』の脚本、『ユーガットメール』などの監督を務めた
    人でもあります。

「ママは俺の半分を占めていた。ママがいないと眠れん」
「ママを呼んできてくれ」
そう言ってダダをこねる父。離婚したのは20年も前だというのに。
男が未練を断ち切れない生き物であることは、心理学的にも大脳生理学的にも(また個人的な体験でも)証明されています。
「めめしい」は「女々しい」と書きますが、ホントは「男々しい」と書くほうが正しいのかも。
そんな父をイヴはこんなウソをついて慰めようとします。
「こないだ大きな地震があったでしょ。ママはそれで亡くなったの」
すると父親、「(長生きした)俺の勝ちだな」。
男は面子を保ちたがる生き物でもあるんですね。


     
by kiyotayoki | 2005-01-05 01:32 | 映画(た行)