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映画の心理プロファイル

『ミッドナイト・イン・パリ』(2011 スペイン・アメリカ)

公開が待ち遠しかったウディ・アレン監督の新作を観に新宿へ。
大人のメルヘンの王道を行く一作でありました。

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原題:『MIDNIGHT IN PARIS』(94分)
監督・脚本:ウディ・アレン
出演:オーウェン・ウィルソン
    レイチェル・マクアダムス
    マリオン・コティヤール

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オーウェン・ウィルソン扮する主人公ギルは、ほどほどの成功を手にしてきた男です。
ハリウッドの脚本家としては売れっ子の部類に入るし、ルックスもそれなりにいい上に
華やかな世界に住んでいるせいか女性にもそこそこモテる。
そんな男が、自分には分不相応なほどの美人(しかも超リッチ)とつき合い始め、
結婚まで決めてしまった。
ほどほどそこそこの人生からステップアップしちゃったんだね。
それが彼には重荷になってしまった。

まわりがステップアップしたので、ギルとしても自分もステップアップしなきゃと思ったんだろう。脚本家を休業して、小説家をめざし始めた(「脚本を書くのは簡単」といったセリフからみても小説を上に見ているのは明らか)。

だけど、肝心の小説がなかなか脱稿できない。ほとんど仕上がってるんだけど、自信がないので誰にも見せられないでいる。
なので、婚約者のイネズと婚前旅行でパリに来てるのに、原稿ばかりが気になって観光も食事も楽しめない。

そんなギルに業を煮やしたイネズは、もう遅いからホテルへ帰るというギルをほったらかしにして
元彼カップルと夜遊びに繰り出してしまう。
ひとり取り残されたギルは歩いてホテルへ帰ろうとするのだけれど、道に迷って途方にくれてしまう。
くたびれて石段に座り込んでしまうんですね(描かれてはいないけれど、そこでうたた寝でもしちゃったんだろう)。
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童話、たとえば『不思議の国のアリス』だったら、
そこで大きな懐中時計を持ったウサギが登場するところなんだけど、
こちらは大人の童話だから、さすがにそういう荒唐無稽なキャラは出てこない。
代わりに、深夜0時を知らせる鐘に促されるように出てきたのは、1920年代のクラシックカー。
これがニューヨークや東京なら違和感があるのだろうけど、
パリだから街の風景にもマッチして違和感がない。
それがギルの前で停まると、中からタキシード姿の紳士が出てきて、
おいでおいでと手招きをするじゃありませんか。
誘われるままに車に乗ってしまったギルだったけど、
実は、それが異世界(1920年代のパリ)に通じる扉だったんですね。
ギルは、紳士の名前を聞いて目を丸くします。
というのも紳士が「僕かい?僕は、スコット・フィッツジェラルド。こちらは妻のゼルダだ」と宣ったから。

フィッツジェラルドというと、映画ファンならこの人の小説を映画化した『華麗なるギャツビー』を思い出す人も多いのでは?
フィッツジェラルドと自由奔放なゼルダとの恋は、小説の主人公ギャツビーの恋の下敷きになっているんじゃないだろうか。

それから夜毎、車に乗って現代と1920年代のパリを行き来するようになったギルは、
ヘミングウェイやピカソ、ダリなどなどキラ星のように居並ぶ芸術家たちとと出会い、親交を深めていくんですね。
その後のお話は、ぜひ映画をご覧になって、ご自分の目でお確かめください。
(人物紹介が少々カタログ的だったのが、ちょっと不満ではあったけれど)

とにかく、ちよっぴりビターでロマンティックで、ノスタルジーが一杯詰まった映画です。
アレン特有の軽妙なストーリー展開はここでも健在。
主人公のオーウェン・ウィルソンのセリフやしゃべり方がすっかりウディ・アレンみたいになっていたのはご愛敬かな(髪形だって若い頃のアレンに似てるし)。

今年のオスカー獲得競争の注目作は、「アーティスト」と「ヒューゴの不思議な発明」だったけれど、
どちらも1920年代が舞台だった。
考えたら、オリジナル脚本賞を獲得したこの映画もそうだったんだね。


それにしても、ギルって要領がいいというかなんというか。
1920年代のパリじゃ、お金は払わず、すべて飲み逃げ、食い逃げなんですから
(ギルは当時のお金を持っていないから仕方ないんだけどね^^;)。




by kiyotayoki | 2012-06-10 11:58 | 映画(ま行)