映画の心理プロファイル

『ダークナイト ライジング』(2012 米)

クリストファー・ノーラン版バットマンの第一作『バットマン ビギンズ』が公開されたのが2005年。
2作目の『ダークナイト』は3年後の2008年。
そして、4年後の今年、トリロジーの完結編『ダークナイト ライジング』公開と相成った。
3作目公開までにちょっと間があいたのは、ノーラン監督が『ダークナイト』の後に
『インセプション』(2010)のメガホンをとったから。
『インセプション』は、ノーラン監督にとって、かなり思い入れの強い作品だったようで、マリオン・コティヤールや、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、トム・ハーディといった俳優を本作でも再び起用している。
そのせいもあってか、観ていて何度かデ・ジャヴを覚えるほどだった。
同じ俳優を使うのも良し悪しはあるものです。


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原題:『THE DARK KNIGHT RISES』(164分)
原案・監督:クリストファー・ノーラン
脚本:ジョナサン・ノーラン、クリストファー・ノーラン
音楽:ハンス・ジマー
出演:クリスチャン・ベイル
    マイケル・ケイン
    ゲイリー・オールドマン
    アン・ハサウェイ
    マリオン・コティヤール
   ジョセフ・ゴードン=レヴィット
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ノーラン版のバットマンの特徴は、
単純なアメコミヒーローものから極力距離を置こうとしているところ。
ヒーロー映画ならではのアクションや派手な演出はあるものの、
キャラクター設定やストーリー展開はリアリティを重視している。
2作目のタイトルから“バットマン”を外しちゃったのも驚きだったし、
前作のジョーカーというキャラクターの造形にしろ、
闘うたびに生傷が絶えないスーパーヒーローらしくないバットマンの姿にしても“リアリティ重視”の最たるものだった。
その姿勢は、本作でもオープニングからはっきり表れておりました。
中東の何処かで、CIAと思しきエージェントが国際手配犯らしき男を秘密裏に米国へ移送するところから始まるのだけれど、まるでスパイアクションでも始まりそうなオープニングなのです。
それからの航空機を使ったダイナミックな展開は、まるで007のオープニングかと思うほど。

その国際手配犯らしき男は、ハンニバル・レクターみたいなマスクをしたスキンヘッド野郎なんだけど、これが今回のバットマンの宿敵“ベイン”だった。
こいつが強いのなんの、バットマンは強化スーツを着ていても歯が立たない。ボコボコにされてしまう。
実はその強さの秘密が本作の柱になっている。で、その秘密が徐々に明らかにされていくのだけれど、
それには前の2作を観ておく必要があるから、本作だけを観た人はチンプンカンプンだったかもしれないな。

だけど、シリーズを通して観ている人間からすると、「この破天荒なストーリーをよくまとめたな」と感心することしきりだった。
それに、シリーズのファンには嬉しいサプライズがちょこちょこ織り込んであるので、
思わずニヤリとしてしまう(キリアン・マーフィの意外な場面での登場など)。

164分という長尺も気にならないくらい面白かった。
ただ、核兵器の扱い方に関しては、これがアメリカ人の常識なのかなと、また首をひねらずにはいられなかった。
シュワちゃんの『トゥルーライズ』(1994)やTVシリーズの『24』もそうだけど、
核兵器が爆発してもある程度距離が離れていれば全然ノープロブレムという描き方をしているのです。
さすが劣化ウラン弾を平気で使う国と感心してばかりはいられない。
こういう映画を観た人たちの間に、核や原子力など恐るるに足らずなんて
“常識”が根付かないとも限らないのですから。


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by kiyotayoki | 2012-08-19 12:19 | 映画(た行)