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映画の心理プロファイル

『12人の優しい日本人』(1991 日)

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(116分)
監督:中原 俊
脚本:三谷幸喜と東京サンシャインボーイズ
出演:塩見三省(1号)   梶原 善(7号)
    相馬一之(2号)   山下容莉子(8号)         
    上田耕一(3号) 松村克己(9号)
    二瓶鮫一(4号)   林美智子(10号)
    中村まり子(5号)  豊川悦司(11号)
    大河内浩(6号)   加藤善博(12号) 
   
マイケル・ジャクソン裁判は完全無罪で決着がついたようです。
無罪になった大きな要因は、検察側が提出した証拠が曖昧だったこともありますが、それより原告母親の心証が陪審員たちにはすこぶる悪かったためといわれています。心証が決め手となるところが陪審員制度ならではって感じ。
陪審員に原告母親と同じ白人女性が数多く選ばれたのも、マイケル側の弁護士の戦略だったと思われます。女性は同性には厳しいですからね。特に“ゴネ得”をしそうな相手には。
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今回、取り上げたのは、その陪審員制度を真正面から取り上げた日本映画です。もちろん日本は陪審員制度をとっていないので、“もしも日本に陪審員制度があったら”という設定で作られています。陪審員制度を題材にした名作『十二人の怒れる男』(1957 米)のパロディともいえそうな作品ですが、12人の陪審員それぞれがいかにもっていう日本人気質を爆裂させてくれるのでニヤニヤくすくす笑いながらも、このテーマについていろいろと考えさせてくれます。

12人が審判を下すのは、元夫の殺人容疑で逮捕された女性の裁判。
被告女性は5歳の子持ちで、まだ21歳。しかも美人ということで心証が良く、同情票が集まって、いきなり全員無罪で意見が一致。あっという間に“一件落着”になりかけます(「美人は得する」という心理データは数多くあります。もちろん「損」というデータもありますが^^;)。
それに異議を唱えたのが審判員2号。
「こんなに簡単に決めちゃっていいんですか。もっと話し合いましょう」
その熱意に負けて、他の11人は渋々また席に戻ることになるんですが、みんな戻ったことに後悔したことでしょうね。その後、議論は白熱。女性被告の行動に疑問が出てきて、今度は逆に有罪に票を投じる人が増え始めます。そして、ついには1人を除いた全員が「有罪」と断じるまでに。その間の12人12様の心の移ろいを見るのが楽しいとうか興味深いというか。脚本の三谷幸喜の腕の見せどころになっています。
後半は、それまで存在感を消していた豊川悦司扮する11号の独壇場になって、また議論が白熱してくるので、場面転換がほとんどないにもかかわらず飽きることがありません。

『笑の大学』で初めて三谷映画の面白さに開眼した人には是非おすすめしたい1本です。

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by kiyotayoki | 2005-06-15 12:48 | 映画(さ行)