人気ブログランキング | 話題のタグを見る

映画の心理プロファイル

『マイボディガード』(2004 米)

『マイボディガード』(2004 米)_a0037414_9475374.jpg
原題:『MAN ON FIRE』(146分)
監督:トニー・スコット
原作:A・J・クィネル
脚本:ブライアン・ヘルゲランド
出演:デンゼル・ワシントン
    ダコタ・ファニング
    クリストファー・ウォーケン
    ラダ・ミッチェル
    マーク・アンソニー
    ジャン・カルロ・ジャンニーニ
    ミッキー・ローク

来日記念というわけではありませんが、今日は新作『シンシティ』の宣伝で来日したミッキー・ロークも出ているこの映画をご紹介。

映画と原作はかなり違うというので、A・J・クィネルの原作本『燃える男』を読んでみました。確かに設定自体ががかなり変えられてるんですね。

《原作》
主人公クリーシーは元フランス外人部隊兵士で、白人。
イタリア・ミラノの富豪の娘のボディガードに雇われます。
その娘を誘拐するのはシチリアマフィア。
《映画》
主人公クリーシーは米軍の暗殺専門の元特殊工作員で、黒人。
メキシコの富豪の娘のボディガードに雇われます。
その娘を誘拐するのはメキシコの誘拐専門の犯罪集団。
(メキシコは誘拐発生件数世界第3位なんだそうな)

ま、原作が書かれた時代が違うので、それを今に合わせるためには想定の範囲内の変更でしょう。想定の範囲外は、「結末が違う」ということかな。

お話は、前半と後半ではガラリと様相を変えます。
前半は、16年にわたる暗殺稼業で心が荒みアル中になってしまっているクリーシー(D・ワシントン)と、彼に守られることになった9才の少女ピタ(D・ファニング)との交流が最初はぎこちなく、だんだん人肌の体温が感じられるように描かれていきます。
『マイボディガード』(2004 米)_a0037414_16305745.jpg
後半は一転、苛烈なまでの復讐劇となっていくので、『マイ・ボディガード』というタイトルからケヴィン・コスナー主演の『ボディガード』(1992)をなんとなくイメージして見る人はビックリするかも。
『マイボディガード』(2004 米)_a0037414_16345234.jpg
クリーシーは自分を父のように慕うピタに心を癒され、大切なピタを守るという強い意志から、依存していたアルコールを断ち切ることに成功します。
しかし、アルコール依存症から脱するのって意志が強いからできる、意志が弱いとできないというものでもないみたいです。というのも、アルコール摂取によって脳の大脳辺縁系が正常に働かなくなっているから。なので、どんなに強い意志で「やめよう」と思っても、脳が反乱を起こしてその意志を放棄させてしまうらしいんですね。
ということは、クリーシーは「内なる敵=自分の脳」との激烈な戦いに勝ったということ。その困難な戦いに勝てたのもピタのおかげ。そのピタが誘拐されたのですからクリーシーが猛り狂ったのは当然なのかも。

そうそう、原作者のA・J・クィネルさん、今年の7月10日に65才の若さで亡くなったそうです。
この映画で初めて知り、本も面白く読んだばかりなのに残念・・・。
ご冥福をお祈りします。
by kiyotayoki | 2005-09-30 16:31 | 映画(ま行)