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映画の心理プロファイル

『デッドコースター』(2003 米)

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原題:『FINAL DESTINATION 2』(90分)
監督:デヴィッド・リチャード・エリス
脚本:J・マッキー・グルーバー
    エリック・ブレス
音楽:シャーリー・ウォーカー
出演:A・J・クック
    アリ・ラーター
    マイケル・ランデス
    トニー・ドット

レンタル・ショップで、前回ご紹介した『セルラー』の隣りに置いてあった作品です。というのも、両作とも同じ監督の手によるものだから。ついでに借りてみました。
『デッドコースター』というタイトルがついていますが、原題からもわかるように『ファイナル・デスティネーション』(2000)の続編だったんですね。
前作も今作もテーマは同じ。「死というものは誰でもそれぞれ定まっている。それを乱すと大変なことになる」というもの。その定めを破ってしまったために次々と死の恐怖に襲われていく若者たちを描いたショッキング・スリラーです。
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今作で“定めを破った”のはキンバリー(A・J・クック)という女の子。
彼女は運転中に、ハイウェイ事故に巻き込まれて死ぬという白日夢(予知夢)を見たため恐怖に襲われ、ハイウェイの入り口で車を止めてしまいます。
すると、どうでしょう。目の前で夢で見たとおりの大惨事が起きたではありませんか。おかげて彼女は命拾いできた。そして、彼女の車が停止したためにハイウェイに進入できなかった後続の車のドライバーたち(合計8人)も命拾いした。8人はそこで死ぬ運命だったのに、図らずもその定めを破ってしまったのです。
しかし、“死は決してその運命を変えることはない”ため、8人はその瞬間から死神につけねらわれることになります。
そのあとは前作同様、「こんな死に方したらイヤだろうなぁ」という残酷な死に方で1人また1人と命を落としていきます。そんな『人の死に様百態』をたっぷり味わえるのがこの映画の魅力(?)かな。
心理用語に『自己成就的予言』というのがありますが、8人は「自分はまもなく死ぬ」と思い込み、マインドコントロールされたみたいにそれを自分で成就してしまうんですね。
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この作品を見ていて思い出した日本映画があります。『幽霊繁盛記』(1960)という古い映画です。これは落語『死神』を下敷きにして作られたもの。
死神(有島一郎:個人的に大好きな役者さん)と友達になった八五郎(フランキー堺)が繰り広げるスリラーチックなコメディです。死神に連れられて冥界を訪れた八五郎が見たのは無数のロウソク。その一本一本が人間の寿命を表してるんですね。ロウソクが尽きようとしている人はもうすぐ死んじゃうし、まだロウソクが残っている人はたとえ自殺をしようとしても失敗しちゃう。死ぬのがイヤだからといってロウソクを継ぎ足すことは絶対できない。なのにそれを八五郎、やっちゃうんてすね。死ぬ運命の人を生かしちゃった。死神はもう怒り心頭です。さて、八五郎の運命や如何に・・・。
ね、お話的に似てるでしょ。
(調べてわかったんですが、落語の『死神』の元ネタってグリム童話の中にあるお話なんですって。死の概念は洋風のものなんでしょうね。似てるのはそのせいかしらん)
by kiyotayoki | 2005-09-05 00:08 | 映画(た行)