『ピーターと狼』(2006 英・ポーランド)
原題:『Peter and the Wolf』(約30分)
制作会社:BreakThru Films (英)
今年のアカデミー賞で、短編アニメーション部門賞を受賞した作品をNHKのハイビジョン放送で観た。
セルゲイ・プロフィエフ作曲の同名作品を人形アニメーション化したもので、セリフは一切なし。アートな香りのする作品に仕上がっていた。
人形を微妙に動かしながら、1コマ1コマ撮影を行う人形アニメーションは1秒分撮影するのにも膨大な作業と時間がかかる。
それだけに、約30分とはいえ完成までには5年もかかったんだそうな。
映像作家たちのたゆまぬ努力の結晶、
YouTubeにさわりの映像があったので、未見の方はまずはこれを是非♪
『ピーターと狼』
コンピューターグラフィック全盛の現代、その技術を使えば人形アニメっぽく作ることもできるのに、あえて人形アニメの表現にこだわる映像作家がいるのは何より嬉しいことだ(小さい頃からこの手のアニメには魅了されてきたので^~^ゞ)。
企画からキャラクター造形まで手がけたのは、スージー・テンプルトンという英国の女性アニメーター。
彼女が創り出したピーターはおじいさんと二人暮らし。両親の愛を知らずに育った(あるいは死別?)せいか孤独で心を閉ざした、暗~い目が印象的な少年。12歳ぐらいかな。
そんなピーターの唯一の友はやせっぽちのアヒル。
そのアヒルが自分の過ちからオオカミに食べられてしまう。
後悔と怒りでいっぱいになったピーターは、オオカミを網で生け捕りにしようとするのだけれど・・・。
深層心理学的に見ると、オオカミはピーターのシャドーといえるのかも。
シャドーというのは、自分が認めたくない自分の反面。否定し切り捨ててきた人格。
自分では受け入れられない現実や価値観。文字通り、その人の暗い影の部分のこと。
『スターウォーズ』でいえば、ルーク・スカイウォーカーのシャドー的存在がダースベイダーだった。
この概念を考えたユングは、「シャドーと対決し対話し、統合することで人は自己実現(成長)できる」と説いている。
このお話は、ピーターの成長物語になってる。
さて、ピーターは、オオカミとどう対決し対話をするか・・・
それは見てのお楽しみ、かな(^^。