メニューが1つだけの喫茶店

この週末3日間は、久しぶりに故郷で過ごした。
台風一過の熊本市内は、真夏のように蒸し暑かった(^^;。
いろいろあった3日間だったけれど、
やはりふるさとはいいものです。
ただ、故郷を離れてもう長いので、たまに帰っても
浦島太郎気分を味わってばかり。
そんな3日間で、最終日の昨日、
ひと味違う体験をしてしまった。

これ、コーヒーなんだけど、
なんだか色が薄いと思いませんか?
底が透けて見える。
味も、日本茶のようなやわらか~い風味で、
コーヒーの概念からは大きく離れてる。
しかも、店のメニューはこれだけ!
だからカウンターに座ると、
何も注文しなくてもコレが出てくる。
(なんか即席で常連客になった気分だった^^)
このコーヒーを出すお店『珈琲アロー』は、熊本市の繁華街の裏通りにある。
そこへ、「珍しい喫茶店があるから」と、連れてってくれたのは母だった。かつてはちょくちょく通っていたらしい。
シックな店内には初老のマスターがひとり。席もカウンターのみだ。
まだ昼前で、シャッターを上げたばかりだったらしく、マスターは蝶ネクタイを結びかけているところだった。
久しぶりの再会で、母と話がはずんだ。
その間に、いつの間にか蝶ネクタイはキュッときれいに結ばれていた。手慣れたものだ。
聞くと、店を開いて45年ぐらい経つという。

そのマスターが、長年研究し選び抜いた珈琲豆で
ドリップした、こだわりの琥珀色のコーヒー。
マスターによると、薄いように見えるけれど、
良質のカフェインが濃くでているアルカリ珈琲で、
体にもいいので、ご自身、一日に30杯は飲んでいるという。
砂糖、ミルクは御法度。
母が一度、所望したら、しぶしぶ出してくれたらしいけど、
賞味期限切れは確実みたいな古~いものだったらしい(^^;。
“肥後もっこす(頑固者)”という言葉があるけれど、
このこだわりぶりは、まさに“もっこす”の真骨頂でありましょうか。
いやいや、コーヒーの奥深さを知ったひとときでありました。
一杯500円という料金以上の価値はあったかな。

珈琲アロー