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映画の心理プロファイル

『ブラインドネス』(2008 日本・ブラジル・カナダ)

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原題:『BLINDNESS』(121分)
監督:フェルナンド・メイレレス
原作:ジョゼ・サラマーゴ『白の闇』
脚本:ドン・マッケラー
音楽:マルコ・アントニオ・ギマランイス
出演:ジュリアン・ムーア
    マーク・ラファロ
    アリシー・ブラガ
    伊勢谷友介
    木村佳乃
    ガエル・ガルシア・ベルナル

『シティ・オブ・ゴッド』(2002)、『ナイロビの蜂』(2005)などで、人間の愚かさ、恐ろしさ、グロテスクさを容赦なくスクリーンに映し出してきたブラジル人監督フェルナンド・メイレレスの最新作を観た。

今回の作品は、架空の都市を舞台に、住民たちが突然視力を失う原因不明の伝染病に襲われるという怖いミステリー。

『ブラインドネス』(2008 日本・ブラジル・カナダ)_a0037414_12212633.jpg
何が怖いって、目が見えなくなる恐怖って、とっても身近なことだから。
自分の身体をスキャンしてみて、最も老化というか傷みが激しいのは目だものなぁ(^^;。
仕事が忙しくてパソコンを見つめる時間が長いと、白内障じゃないかと思うほど視界に膜がかかる。だから、この話の“視界が真っ白くなってしまうという伝染病”はリアリティがありすぎる~っのだ(>_<)

最初に視力を失うのは、伊勢谷友介扮する日本人の若者。
彼は叫ぶ。「まるでミルクの海の中にいるようだ」、と・・・。
その妻を木村佳乃が演じてる。彼女は帰国子女だと聞いたことがあるから、英語はお手のもなのかな。
キャストもスタッフもワールドワイドです。

2人は、マーク・ラファロ演じる眼科医の元を訪ねる。けれど、診た者も付き添った者も次々に失明していく。
接触感染なのか?
奇病の伝染を恐れた政府は、眼科医を始めとする患者たちを、まとめて廃墟となった精神病院に隔離してしまう。
けれど、奇病の感染力はすこぶる強く、最初の感染者が出てから数日のうちに数百人単位に患者は膨れ上がり、すし詰めになった病院の環境は一気に悪化する。
なのに政府は感染をおそれて医者も介護者さえつけてくれない。隔離して食料を配給するだけ。しかも、逃亡者が出ないように銃を携帯する兵士に施設を見張らせ、逃げ出そうとする者は容赦なく射殺してしまう。
こうして、隔離施設はアウシュビッツ並みの強制収容所と化してしまうのだった・・・・。

極限状態の中、飢えて汚穢にまみれたとき、人間は何処まで人間としての尊厳を保てるのか、
また、どこまで愚かしく残虐になってしまうのか・・・。

不安と恐怖に苛まれる患者たちにとって唯一の希望となりそうなのは、
ただ一人、目が見える眼科医の妻(ジュリアン・ムーア)なのだけれど、
その希望もしぼんでしまいそうな事態が次々に、絶望度を高めつつ彼らを襲う。
それを、メイレレス監督はドキュメンタリータッチで生々しく描いていくのだけれど、
今回のは“絶望度を高めつつ”の部分がちょっと端折り気味だったかもしれないな。

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主演のジュリアン・ムーアは、昨日(12月3日)が誕生日だったんだね。
40代も後半になると息切れする女優が多い中、彼女はこの映画でも体張って頑張ってますよ♪
by kiyotayoki | 2008-12-04 08:34 | 映画(は行)